2017年03月28日

「後回し+言い訳=老後貧乏」を脱するには、貯まりやすい仕組みを作る



先日人生をシンプルに変えよう!(著:川田久里央)という本を読んでいたら、「できる人の優先順位」と題した、次のような文章が掲載されておりました。

『仕事や勉強は、4つのタイプに分類できるといいます。

1.重要で、急ぎのもの
クレーム対応や、締め切りギリギリのタスク、中間・期末テストの対策

2.重要でない、急ぎのもの
メールの返信・電話応対、突然の来訪への対応

3.重要でなく、急ぎでもないもの
ひまつぶし、気晴らし、逃避

4.重要だが、急ぎでないもの
中長期的なスキルアップ、準備・計画、得意科目や苦手科目の対策など

私たちは反射的に、1〜3を優先する傾向があります。その結果、毎日がその場しのぎになってしまうのです。

一方、仕事や勉強のできる人ほど、日頃から「4.重要だが、急ぎでないもの」を優先する習慣があります。

耳の痛い話ですが、グズな人ほど、これを後回しにしてしまうそうです。

「4.重要だが、急ぎでないもの」は、今すぐやらなくても支障をきたしませんが、後になって、ツケが回ってくるやっかいなものです』

以上のようになりますが、我々が日常的に使うお金も、次のように4つのタイプに分類できると思うのです。

1.重要で、急ぎのもの
子供の教育費、住宅ローン(家賃)、水道光熱費

2.重要でない、急ぎのもの
近いうちに行く事が決まっている旅行代金

3.重要でなく、急ぎでもないもの
いつか行こうと約束した飲み会の代金

4.重要だが、急ぎではないもの
老後資金(老後の生活費や、医療や介護の費用)

以上のようになりますが、このうちの1〜3については、家庭によって多少の違いがあると思います。

しかし「4.重要だが、急ぎでないもの」に、老後資金が該当する事については、どの家庭でも同じではないかと思うのです。

また仕事や勉強と同じように、私たちは反射的に1〜3を優先してしまい、4の老後資金の準備については、ついつい後回しにしてしまうのです。

この後回しの習慣に「言い訳」が加わると、老後貧乏が待っているかもしれません。

そのように考える理由としては、平成29年(2017年)3月26日の投信1に、【ブックレビュー】『貧乏は必ず治る。』〜貧乏は生活習慣病だった?と題した、次のような文章が掲載されていたからです。

『身につまされるのは、貧乏人には「後回し」や「言い訳」が多いという点だ。「明日からがんばる」「向いていない」「面倒だからやりたくない」――

今、生活習慣病でなくても、当座のお金に困っていなくても、普段から似たようなことを言っていないだろうか。

喫煙、飲酒、食生活、運動不足など、さまざまな日常生活の悪癖が積み重なって生活習慣病を発症するように、日頃のお金に関する悪癖が積み重なることで貧乏を発症するとするなら、そうならないように予防しておきたいものだ』

以上のようになりますが、今はたとえ貧乏でなくても、後回しと言い訳を繰り返していくと、貧乏が発症するという訳です。

個人的には貧乏が発症するのは、老後資金の準備を怠ったツケが回ってくる、老後になる場合が多いと考えております。

ただ後回しと言い訳の習慣から脱するのは、簡単な事ではないと思うので、その改善を目指すよりも、老後資金が貯まりやすい仕組みを作った方が良いと思うのです。

その仕組みとは例えば、給与の振込口座から、毎月決まった日に、決まった金額を、自動的に引き落とし、定期預金や投資信託などを購入するようにしておくというものです。

このような仕組みを一度作ってしまえば、後回しと言い訳の習慣が改善しなくても、老後資金は定期的に貯まっていきます。

なお確定拠出年金(個人型)に加入すると、最初の段階でこの仕組みを作る事になり、また利子などに対して課税されないという、税制面の優遇があるので、老後資金が貯まりやすくなります。

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2017年03月24日

公的年金の積立金の運用益が、過去最高を更新した事実から考えること

平成29年(2017年)3月3日の日本経済新聞を読んでいたら、公的年金の運用益、最高の10兆4973億円 10〜12月 GPIF発表と題した記事が掲載されておりましたが、一部を紹介すると次のようになります。

『公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が3日発表した2016年10〜12月期の運用実績は、10兆4973億円の黒字になった。

黒字は2四半期連続。比較可能な01年度以降、四半期ベースの運用益として過去最高となった。

米トランプ政権に対する政策期待などによる円安・株高の進行を背景に運用益が大幅に増加した。

16年末時点の運用資産は144兆8038億円で、10〜12月期の運用利回りはプラス7.98%だった。運用資産は9月末(132兆751億円)を上回った』

以上のようになりますが、公的年金の積立金は平成27年(2015年)7〜9月期に、四半期ベースで過去最高の運用損を記録しました。

この時の運用損の金額は7兆8899億円であり、運用利回りはマイナス5.59%でした。

新聞やテレビなどのマスコミは、このような巨額の運用損を出した事について、大きく報道しておりましたが、今回のように四半期ベースで過去最高の運用益を記録した時は、あまり報道しておりません。

こういったマスコミの姿勢は、フェアでないと思うと同時に、次のような考えが頭の中に浮かびました。

(1)金融商品を購入する際は、利益より損失に注目する
人間は利益から得る満足より、損失から得る苦痛の方を約2倍に評価してしまう、「損失回避性」を持っていると言われており、つまり利益より損失に敏感なのです。

新聞やテレビなどのマスコミが、過去最高の運用損を記録した時は大きく報道して、過去最高の運用益を記録した時はあまり報道しないのは、この損失回避性によって、過去最高の運用損の方が注目されやすい事を、知っているからではないでしょうか?

ところで何かしらの金融商品を購入する際は、その金融商品を保有する事により、どのくらいの利益を得られるかに、注目する場合が多いと思うのです。

しかし人間は上記のように、利益より損失に敏感という、損失回避性を持っているのですから、どのくらいの利益を得られるかより、いくら損失を出すかに注目した方が良いのです。

より具体的に言うと、その金融商品から発生した過去最大の損失を調べてみて、その損失が自分の許容できるものである時に、購入を決断すべきだと思うのです。

(2)「損小利大」は投資で利益を出すための基本原則
株式などをやっている方なら「損小利大」という言葉を、一度は聞いた事があると思います。

これは「損失は小さく抑え、利益は大きく取りなさい」という意味の言葉であり、株式などで利益を出したい時の、基本原則になるのです。

例えば損失と利益の割合を「1:1」にして、10回の勝負をした場合には、6勝4敗以上にならないと利益は出ません。

しかし例えば損失と利益の割合を「0.5:1」にして、10回の勝負をした場合には、4勝6敗でも利益が出るようになり、勝率が5割を切っても良いのです。

ですから損小利大が大切なのですが、人間は利益が出ている場合には、その利益を早く確定したくなり、また損失が出ている場合には、その損失の確定を先延ばししたくなります。

つまり「損小利大」の逆となる、「損大利小」をやってしまうので、なかなか利益が出せないのです。

そこで年金の積立金の運用利回りを見てみると、過去最高の運用損を出した時はマイナス5.59%で、過去最高の運用益を出した時はプラス7.98%でした。

年金の積立金の運用利回りが、自主運用の開始から平成28年(2016年)度第3四半期までの通年で、プラス2.93%を確保している要因のひとつは、このように損小利大が守られているからだと思うのです。

(3)積立金の運用利回りがプラスでも、老後資金の準備は欠かせない
公的年金の積立金の運用益は通年で、プラス2.93%を確保しているので、今のところは問題がないように見えます。

しかし平成21年(2009年)度以降は、少子高齢化などの影響により、公的年金の加入者から徴収する保険料だけでは、すべての年金受給者に年金を支給できなくなっているため、積立金の一部を取り崩して、年金の支給のために使っております。

つまり運用益がたとえプラスであっても、積立金は徐々に減っており、具体的には毎年4兆円近い金額が、年金の支給のために取り崩されているのです。

そのため積立金を枯渇させないため、年金の支給額の引き下げや、年金の支給開始年齢の引き上げが、実施されるかもしれません。

なお2月18日のブログで紹介した社会保障亡国論では、厚生年金は2038年度、国民年金は2040年度に、積立金が枯渇すると予想されておりました。

そうなると積立金の運用利回りがプラスであっても、老後資金を貯めるための自助努力は、誰にとっても欠かせないものになると思うのです。

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posted by FPきむ at 20:21 | 年金について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする