2017年06月27日

65歳以降も働き続けたい主婦は、雇用保険と所得税の知識を貯えておく

平成29年(2017年)6月14日のオーヴォを読んでいたら、65歳以降も働きたい! 働く主婦の過半数が就労意欲と題した記事が掲載されておりましたが、一部を紹介すると次のようになります。

『ゆっくり好きなことをして第二の人生を…という言い方は過去のもの? 働く主婦層にアンケート調査したところ(ビースタイル・東京)、過半数が65歳を超えても働きたいと答えた。

求人媒体『しゅふJOBパート』の登録者など、932人の調査結果。それによると、51.3%の人が65歳を超えても働き続けたいと思っており、そのために「健康促進に取り組んでいる」という人が44.4%、「資格の取得または勉強中」という人も36.2%いた。

もっとも、年代別に集計すると、30代以下の人で65歳以降も働き続けたいと思う人は47.5%だが、50代以上になると55.2%に上昇。

この調査では、「なぜ」働き続けたいと思っているか、が分からないが、いわゆる“定年後“をリアルにイメージするようになればなるほど、働き続けたいとの思いを強くする人が増える、といえそうだ』

以上のようになりますが、働く主婦の過半数は65歳以降になっても、働き続けたいと思っているようです。

また65歳以降も働き続けるために、今取り組んでいる事として、「健康促進に取り組んでいる(44.4%)」や「資格の取得または勉強中(36.2%)」が、上位に挙げられております。

なお下位の方を見ると、「起業のための準備(15.1%)」や「定年退職がない会社への転職活動(14.6%)」が挙げられているので、健康なうちはいつまでも働き続けたいと考える方は、意外と多いのかもしれません。

このように冒頭に掲載した記事を読んでいると、様々な考えが頭に浮かんできますが、その他にも次のような考えが頭に浮かびました。

(1)65歳以降も働き続けたいと思うのは経済的な理由
内閣府が編集している平成28年度版の高齢社会白書の、「1 経済的な暮らしについて」という部分を読むと、貯蓄や資産が老後の備えとして足りないと考える高齢者の割合(「やや足りない」と「まったく足りない」の計)は、57.0%に達しております。

このように考える高齢者が多いのは、50代までに行った老後の経済生活の備えという質問に対して46.6%の方が、「特に何もしていない」と回答しているからだと思うのです。

また「2 就労について」を読むと、収入を伴う仕事を続けたい高齢者に対して、その理由を質問しており、その回答のトップは「収入がほしいから(49.0%)」になっております。

こういったデータを見ていると、50代以上になると65歳以降も働き続けたいという意欲が高まるのは、老後資金の準備不足という経済的な理由が、一番多いのではないでしょうか?

(2)65歳以降も働き続けるなら雇用保険に加入する
従来は65歳に達した日以降に、新たに雇用された方については、「31日以上の雇用見込みがあること」や、「1週間当たりの所定労働時間が20時間以上であること」という要件を満たしても、雇用保険に加入しなかったのです。

しかし平成29年(2017年)1月1日以降は、このような要件を満たすと、65歳に達した日以降に、新たに雇用された方についても、雇用保険に加入するようになります。

雇用保険に加入するようになると、保険料を徴収されるので、損をすると思う方がいるかもしれませんが、保険料を支払うという事は、保険給付も受給できるようになります。

例えば資格を取得したいと思っている方にとっては、教育訓練施設に支払った学費の一定割合が支給される「教育訓練給付」は、便利な保険給付ではないかと思うのです。

また病気がちな家族がいる方にとっては、一定の家族を介護するために介護休業を取得した時に支給される「介護休業給付」は、役に立つ保険給付ではないかと思うのです。

このように考えると雇用保険は、たとえ手取りが少なくなったとしても、加入した方が良いのではないでしょうか?

(3)65歳や70歳を境にして所得税の取り扱いが変わる
例えば妻が年収を103万円以内に抑えていると、その夫は年末調整や確定申告の際に、38万円の「配偶者控除」を受けられます。

注:平成30年(2018年)以降は、103万円以内から「150万円以内」に引き上げされ、また配偶者控除の金額も38万円から、「13万円〜38万円」に変わります。

この配偶者控除は妻が70歳以上の場合、金額が引き上げされ、夫は48万円の配偶者控除を受けられるので、節税額が大きくなるのです。

また「扶養控除」についても、70歳以上の親族を扶養している場合、38万円から48万円に引き上げされます。

なお年金受給者の必要経費となる「公的年金等控除額」は、10月16日のブログに記載しましたように、65歳以上になると金額が変わり、所得税が課税されにくくなります。

こういった所得税に関する知識は、意外と知られていないのではないでしょうか?

以上のようになりますが、65歳以降は働きたくないという主婦は、(1)に記載しましたように、老後資金を貯えておきたいところです。

また65歳以降も働き続けたいという主婦は、(2)や(3)に記載したような、雇用保険や所得税に関する知識を、貯えておきたいところです。
posted by FPきむ at 20:43 | 年金について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月21日

平成29年(2017年)の年末調整において変更が予定されている点

第193回の通常国会は、加計学園問題などに対する野党からの追及を逃れるため、与党は会期を延長しなかったので、当初の予定通りに、平成29年(2017年)6月18日に終了しました。

これまでに実施された法改正を元にして、平成29年(2017年)の年末調整において変更が予定されている点を考えてみると、主に次のようなものがあると思います。

(1)給与所得控除の上限額の引き下げ
会社員(正社員、派遣社員、パートやアルバイトなど)の方が納付する所得税は、次のような手順を経て算出されます。

・1月から12月に支払われる給与の合計額−給与所得控除=給与所得

・給与所得−所得控除(配偶者控除や扶養控除など)=課税所得

・課税所得×所得税の税率=所得税

・所得税−税額控除(住宅ローン控除など)=最終的に納付する所得税

このうちの「給与所得控除」は、会社員の必要経費とされており、その金額は平成28年(2016年)までは、次のような金額になっておりました。

■1月から12月に支払われる給与の合計額→給与所得控除
・180万円以下 →年収×40%(最低65万円)
・180万円を超え360万円以下→年収×30%+18万円
・360万円を超え660万円以下→年収×20%+54万円
・660万円を超え1,000万円以下→年収×10%+120万円
・1,000万円を超え1,200万円以下→年収×5%+170万円
・1,200万円超→230万円

しかし平成29年(2017年)以降については、「1,000万円を超え1,200万円以下→年収×5%+170万円」と「1,200万円超→230万円」がなくなり、上限額が「1,000万円超→220万円」に変わります。

なお給与計算の仕事をしている方については、今年の初めに給与計算ソフトなどの給与所得控除の金額を変更して、源泉徴収事務を行っているはずなので、すでにご存知かと思います。

(2)住宅の再取得等に係る住宅ローン減税の特例の創設
災害により住宅ローン控除の対象となる住宅を、居住の用に供する事ができなくなった場合、被災した年については控除を受けられますが、翌年以降は控除を受けられなくなります。

しかし法改正が実施されため、被災した年の翌年以降も、住宅ローン控除の残存期間について、引き続き控除を受けられます。

この改正は住宅ローン控除の対象となる住宅を、平成28年(2016年)1月以降に発生した災害により、居住の用に供する事ができなくなった方の、平成29年(2017年)分以降の所得税に適用されます。

ただ次のいずれかに該当した場合、引き続き控除を受けられるのは、それに該当した年までになるので、この点には注意が必要です。

【被災した住宅やその敷地、被災後に新たに建築した住宅などを、事業、賃貸、親族などに対する無償の貸付の、いずれかに利用した場合】

注:被災者生活再建支援法が適用された市町村の区域内ある住宅が、災害により居住の用に供する事ができなくなったため、被災後に新たな住宅を建築して、住宅ローン控除を受けている場合などは例外となり、引き続き控除を受けられます。

【被災した住宅やその敷地を譲渡し、「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算」及び「繰越控除又は特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」の適用を受ける場合】

【被災後に新たな住宅を取得し、その住宅について、住宅ローン控除を受けるようになった場合】

注:被災者生活再建支援法が適用された市町村の区域内ある住宅が、災害により居住の用に供する事ができなくなったため、被災後に新たな住宅を取得し、住宅ローン控除を受けるようになった場合は例外となり、新旧の住宅ローン控除を重複して受けられます。

(3)配偶者控除と配偶者特別控除に関する年収の変更
例えば妻が年収を「103万円以内」に抑えていると、その夫は38万円の配偶者控除を受けられますが、これが「150万円以内」に引き上げされます。

ただ次のように夫の収入によって、配偶者控除の金額が変わる、つまり一律に38万円ではなくなり、夫の年収が1,220万円(所得:1,000万円)を超える場合には、配偶者控除を受けられなくなります。

・夫の年収が1,120万円(所得:900万円)以下→38万円

・夫の年収が1,120万円(所得:900万円)を超え、1,170万円(所得:950万円)以下→28万円

・夫の年収が1,170万円(所得:950万円)を超え、1,220万円(所得:1,000万円)以下→13万円

・夫の年収が1,220万円(所得:1,000万円)を超える→配偶者控除を受けられない

この改正は平成30年(2018年)以降の所得税から適用されるので、今年の年末調整にはまだ関係がありません。

ただ年末調整の前にはお勤めの会社から、来年分の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」が配布されると思うので、是非とも覚えておきたいところです。

なお妻の年収が150万円を超えても、201万円(現在は141万円)以下の場合には、夫の年収が1,220万円(所得:1,000万円)以下あれば、「配偶者特別控除」を受けられる場合があります。

そのため社会保険(健康保険、厚生年金保険)に加入する年収の「106万円」だけでなく、150万円や201万円も覚えておきたいところです。
posted by FPきむ at 20:19 | 年金の最新情報と法改正 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする