2018年07月14日

「平成30年7月豪雨」で年金関連の保険料を、納付できない時の対処法

平成30年(2018年)6月28日以降、西日本を中心に北海道や中部地方などの全国的に広い範囲で、台風7号や梅雨前線の影響による集中豪雨が発生しました。

これらの集中豪雨は気象庁によって、「平成30年7月豪雨」と命名されております。

この「平成30年7月豪雨」は西日本の広い範囲で、河川の氾濫、洪水、土砂災害などを起こしており、被害に遭われた方は生活の再建が、何よりも優先されると思うのです。

そこで厚生労働省は他の災害の時と同じように、住宅、家財、その他の財産について、おおむね2分の1以上の損害を受けた場合には、申請により国民年金の保険料の全額または一部の納付を、免除するという措置を発表しております。

なおこの措置による保険料の納付の免除期間は、「平成30年6月分から平成32年6月分まで」になりますが、平成30年7月分以降については、改めて免除の申請が必要になるそうです。

また災害による免除の審査は、住宅、家財、住宅以外の建物、宅地、田畑、 家畜、事業用の機械などのうち、その損害が最も大きい財産に係る損害が、おおむね2分の1以上あるのかが確認されるため、全ての財産を申請書に記入する必要はないそうです。

この他に労働保険(労災保険、雇用保険)の保険料の納付を、猶予(免除ではなく、納付の先延ばし)できる措置が発表されておりますが、厚生年金保険の保険料についての同様の措置は、今のところは発表されておりません。

ただ他の災害の時には、厚生年金保険の保険料の納付が、猶予されるという措置が実施されているので、いずれは発表されると予想しております。

また生命保険会社が販売する個人年金保険や、その他の公的な制度の保険料(掛金)については、次のように対処していけば良いと思うのです。

■個人年金保険
個人年金保険の保険料が、指定された期日までに支払われなかったとしても、保険契約が直ちに失効する訳ではなく、原則として一定の猶予期間が設けられており、この猶予期間内に支払いがあれば、保険契約は有効に継続します。

例えば保険料の支払いを「月払い」にしている場合、毎月到来する保険料の支払日が属する月の、翌月1日から翌月末日までが猶予期間になります。

また生命保険会社が解約返戻金(解約した時に戻ってくるお金)の範囲内で、保険料相当額を自動的に立て替えする「自動振替貸付」を利用できれば、猶予期間内に保険料の支払いがなくても、保険契約は失効しません。

なお解約返戻金は自動振替貸付だけでなく、解約返戻金の一定の範囲内で、保険契約者が生命保険会社から貸付を受ける「契約者貸付」としても、利用できる場合があります。

■国民年金基金
国民年金基金の「平成30年7月豪雨」に関する特例措置は、今のところは発表されていないようです。

また任意の脱退はできないため、掛金の納付が難しい状況でも、納付を続けていくしかありません。

ただ申請によって、国民年金の保険料の全額または一部の納付が免除されると、国民年金基金の加入資格がなくなり、強制的に脱退になるため、掛金を納付する必要がなくなります。

なお個人年金保険と違って、解約返戻金の制度はないため、それまでに納付した掛金を、解約返戻金として受け取る事はできません。

また契約者貸付の制度もないため、それまでに納付した掛金を、貸付金として引き出す事はできません。

■確定拠出年金(個人型)
確定拠出年金(個人型)、いわゆるiDeCoについても、「平成30年7月豪雨」に関する特例措置は、今のところは発表されていないようです。

ただiDeCoの掛金を納付するのが負担の場合、「加入者資格喪失届」を運営管理機関(窓口となる金融機関)から取り寄せ、必要事項を記入したうえで返送すれば、「加入者」から「運用指図者」に変わるため、預金口座からの掛金の引き落としは停止されます。

またiDeCoに拠出した掛金とその運用益は、最低でも60歳にならないと引き出せないのですが、「平成30年7月豪雨」により一定の障害状態になったり、死亡したりした場合には、60歳になる前でも引き出せるのです。

なおiDeCoには個人年金保険のような、契約者貸付の制度はないため、それまでに納付した掛金とその運用益を、貸付金として引き出す事はできません。

■小規模企業共済
小規模企業共済を運営する、中小企業基盤整備機構のウェブサイトを見ていたら、「平成30年7月豪雨」による特例措置として、「契約者貸付」のひとつである「災害時貸付」を、適用するというお知らせが掲載されておりました。

つまり契約者が災害の発生時までに、納付した掛金の合計額の範囲内で、中小企業基盤整備機構から事業資金などの貸付けを受けられるのです。

それと共に災害に遭遇して、掛金の納付を継続する事が著しく困難であると認められる場合には、掛金の納付を6ヶ月または12ヶ月の間、停止する事ができます。

なお例えば災害により、契約者である個人事業主が死亡した場合には、その遺族に対して共済金Aが支払われます。

また契約者である会社役員が死亡した場合には、その遺族に対して共済金Bが支払われるため、生活を再建していくための資金として活用できるのです。
posted by FPきむ at 20:06 | 年金について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月02日

国民年金の保険料の納付率が66.8%となり、6年連続での上昇へ

平成30年(2018年)6月29日の産経新聞を読んでいたら、国民年金の納付率66・3% 6年連続上昇 雇用改善、徴収強化でと題した、次のような記事が掲載されておりました。

『厚生労働省は29日、自営業者らが支払う平成29年度の国民年金保険料の納付率が前年度から1・3ポイント増加し、66・3%だったことを明らかにした。

過去最低の58・6%だった23年度から6年連続で上昇した。同省は、雇用環境の改善や強制徴収の取り組み強化などが要因としている。

29年度末の加入者は1505万人で、前年度末と比べ70万人減った。平成28年10月から厚生年金の適用対象がパートらに拡大され、厚生年金の加入者が増加したことに伴い減少した。

世代別では年齢が若いほど納付率は低く、25〜29歳が最低の54・87%で、55〜59歳が最高の76・28%だった。

都道府県別で最も納付率が高かったのは島根県の80・6%で、次いで富山県の78・7%、新潟県の78・6%などと続いた。最低は沖縄県の49・1%で、次いで大阪府の56・7%、東京都の62・4%の順となった。鹿児島県を除き、すべての都道府県で上昇した。

納付を請求する最終催告状は10万3614件、催促する督促状は6万6270件と共に過去最高。最終手段である財産差し押さえは1万4344件と過去2番目に多く、強制徴収の強化を裏付けている』

以上のようになりますが、毎年この時期になると厚生労働省から、前年度の国民年金の保険料の納付率が発表されております。

平成29年(2017年)度の納付率は、前年度から1.3%増えて66.3%になり、6年連続での上昇になったそうです。

納付率の上昇が始まった6年前は、安倍内閣が誕生した頃ですから、安倍内閣の経済政策であるアベノミクスは、やはり上手くいっていると評価できると思うのです。

ただ先日に財務省から発表された、平成29年(2017年)度の国の税収は、バブル期以来の高水準になった事を鑑みると、国民年金の保険料の納付率は、まだまだ低いような気がするのです。

なおバブル期が始まった昭和61年(1986年)度の納付率は、82.5%に達しております。

またバブル期が終わった平成3年(1991年)度の納付率は、更に上がって85.7%に達しておりますから、いずれも現在より20%くらい高いのです。

ただ当時の国民年金の保険料は、月に7,000円〜9,000円程度で、現在の16,340円の半分くらいですから、当時と比べて納付率が上昇しないのは、やむを得ないのかもしれません。

また国民年金の保険料の納付率が、バブル期以来の高水準になるためには、更なる賃上げが必要になるのかもしれません。

ところでこういった統計を発表する時に、すべての年金制度を合わせた国民年金の保険料の納付率を、なぜ発表しないのだろうか?という疑問を、いつも感じてしまうのです。

厚生年金保険に加入している会社員や公務員などは、厚生年金保険に加入すると同時に、国民年金にも加入しているため、厚生年金保険の保険料の一部は、国民年金の保険料として使われております。

ですから会社員や公務員などは原則65歳になった時に、厚生年金保険から支給される「老齢厚生年金」だけでなく、国民年金から支給される「老齢基礎年金」も受給できるのです。

こういった厚生年金保険に加入すると同時に、国民年金にも加入している方の、国民年金の保険料の納付率は、勤務先の会社などが給与から天引きして納付しているため、ほぼ100%だと思います。

そうなると国民年金だけの納付率である66.8%を確実に引き上げ、バブル期の納付率を超えるかもしれません。

こういった統計を発表しないのは、何かしらの不都合な理由があると推測しております。

例えば保険料の納付率の低迷は、強制徴収を強化する口実になるため、納付率は低く見えた方が良いのかもしれません。

また国民年金と厚生年金保険の加入者を同列に並べると、給与から強制的に国民年金の保険料を徴収されている厚生年金保険の加入者が、不公平な気持ちになってしまうため、同列に並べるような統計は発表しないのかもしれません。

いずれにしろ年金制度全体から見れば、国民年金の保険料を納付していないのは少数派であり、また後で困るのは自分ですから、保険料をきちんと納付した方が良いのであり、また納付できない方は免除を受けた方が良いのです。

posted by FPきむ at 19:52 | 年金の最新情報と法改正 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする