2017年03月02日

確定拠出年金の給付金に関する経理処理(仕訳、勘定科目)と税務

このブログに設置されたアクセス解析を見ていたら、「確定拠出年金 老齢給付金 経理処理(仕訳、勘定科目)」などといったキーワードで検索して、このブログに辿り着いた方を見かけました。

確定拠出年金には企業型と個人型の2種類があり、いずれについても平成13年(2001年)から始まったので、そろそろ老齢給付金を受給する方が現れても不思議ではありません。

老齢給付金をはじめする確定拠出年金の給付金(年金または一時)について、改めて紹介すると次のようになります。

(1)老齢給付金(3月27日のブログを参照)
確定拠出年金の加入期間が10年以上あると60歳から受給でき、加入期間がそれより短い場合には、61歳〜65歳になります。

また老齢給付金の受け取り方は、「年金」、「一時金」、「年金と一時金の併用」の、いずれかを選択します。

(2)障害給付金(3月29日のブログを参照)
確定拠出年金の加入者が70歳になる前に、政令で定める一定の障害状態になった時に受給できます。

また障害給付金の受け取り方は、「年金」、「一時金」、「年金と一時金の併用」の、いずれかを選択します。

(3)死亡一時金(4月3日のブログを参照)
確定拠出年金の加入者や、老齢給付金や障害給付金を受給している方が死亡した時に、その遺族が受給できます。

また死亡一時金の受け取り方は、老齢給付金や障害給付金と違い、「一時金」のみになります。

(4)脱退一時金(4月10日のブログを参照)
例えば国民年金の保険料の納付を免除され、確定拠出年金の加入資格がなくなった場合など、一定の要件を満たす時に、例外的に受給できます。

また脱退一時金の受け取り方は、死亡一時金と同じように、「一時金」のみになります。

以上ようになりますが、これらの経理処理(仕訳、勘定科目)について調べている方がいるのは、個人的にはすごく不思議な事だと思うのです。

例えば自営業を営む個人事業主であれば、「個人用の口座」の他に「事業用の口座」を作り、老齢給付金などの振込先は、個人用の口座を選択していると考えられます。

その理由として老齢給付金などは、事業の収入ではないからであり、事業の収入でなければ、仕訳をする必要はありません。

老齢給付金などの経理処理(仕訳、勘定科目)について、検索して調べている方というのは、老齢給付金などの振込先を、事業用の口座にしている方、または個人用と事業用の口座を、分けていない方だと思うのです。

こういった方が例えば500,000円の老齢給付金を、事業用の口座で受け取った場合、次のように仕訳をすれば良いと思います。

【借方】                 【貸方】
現金(資産の増加)        事業主借(負債の増加)
500,000円             500,000円

この老齢給付金は事業の収入ではないので、事業主借の部分を「雑収入」にするのは、間違いではないかと思うのです。

ところで老齢給付金などを受け取った後に、経理処理が必要なくても、確定申告が必要になる場合があり、それについてまとめると次のようになります。

(1)老齢給付金
年金で受給する場合は公的年金と同じように、「雑所得」として所得税や住民税が課税されます。

また一時金で受給する場合は退職金と同じように、「退職所得」として所得税や住民税が課税されますので、自分が確定申告をしなければならないかを、調べてみる必要があるのです。

(2)障害給付金
障害基礎年金や障害厚生年金などと同じように、非課税になりますので、年金と一時金のいずれで受給しても、確定申告は必要ありません。

(3)死亡一時金
相続税が課税されますので、自分が確定申告をしなければならないかを、調べてみる必要があります。

(4)脱退一時金
「一時所得」として所得税や住民税が課税されますので、自分が確定申告をしなければならないかを、調べてみる必要があります。

以上のようになりますが、自分が確定申告をしなければならないかを、調べてみる必要があるのは、確定申告が必要な給付金であっても、受給した金額から各種の控除を引くと0円になる場合には、確定申告は必要ないからです。

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2017年02月25日

日本の年金制度が最悪でも、その代わりを自分で準備できるとは思えない



先日あるインターネットの掲示板を見ていたら、「日本の年金制度は最悪だから、すぐに潰して、今まで納付したお金を返してほしい。その返ってきたお金で、自分で資産運用した方がマシだ」という、かなり過激な意見が書いてありました。

私はこのような年金制度の廃止論に対して、次のような理由で反対したいと思います。

(1)年金制度の利回りを超えるのは意外と難しい
作家の橘玲さんのブログを読んでいたら、年金の支給開始が70歳になったら、「金融商品」としての損得はどうなるのだろうか?という記事が掲載されており、その一部を紹介すると次のようになります。

『国民年金は20歳から40年間、保険料を積み立てて、65歳から毎月払い戻しを受ける積み立て型の終身年金だ。

保険料は2017年に月額1万6900円まで引き上げられ、それ以後は変わらないことになっているので、毎年の支払額は20万2800円、40年間の総支払額は811万2000円になる。

それに対して受給額(保険金)は月額6万5741円(年78万8892円)で、これが生涯にわたって支払われる。

年金に加入する20歳の若者の平均余命は、男性で59.66年、女性で66.39年だ。

年金は65歳から支給されるから、国民年金に加入したばかりの彼らは、平均すれば一生のうちに、男性で14年8ヶ月分、女性で21年5ヶ月分の年金を受け取ることになる。

これはつまり、平均的に生きた場合、男性で約1235万円、女性で約1766万円が国民年金の総受給額になるということだ。

保険料や保険金はインフレ率によって調整されることになっているが、実質利回りは同じになるはずなので、試算としてはこの数字で十分だろう。

40年かけて811万円を積み立て、総額1235万円(男性の場合)を受け取るのは、はたして得なのか、損なのか?

積み立てたお金が1.5倍に増えるのだから得なようにも思えるが、その一方で、40年も保険金を払いつづけ、65歳まで待ったのに、たった1.5倍にしか増えていないともいえそうだ。

そこでEXCELのIRR関数で内部収益率を計算してみると、20歳の若者にとっての国民年金の投資利回りは、男性で年率1.48%、女性で年率2.44%になった(女性の方が利回りが高いのは長生きだからだ)』

以上のようになりますが、これを読むと国民年金の投資利回りは、意外と悪くない事がわかります。

また年金の積立金を運用する、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のホームページの中にある、最新の運用状況ハイライトというページを見ると、年金の積立金の収益率がわかります。

これによると年金の積立金の収益率は、平成13年(2001年)度の自主運用開始から、平成28年(2016年)度の第2四半期までの通算で2.47%となっており、これも意外と悪くないと思うのです。

現在のように日銀がマイナス金利政策を実施して、預貯金の金利がほとんどゼロの時に、「国民年金の投資利回り」や「年金の積立金の収益率」を超える資産運用を自分でできる方は、おそらく少数派ではないでしょうか?

(2)お金を返しても老後資金の準備に使われるとはかぎらない
お金に関する本や雑誌などを読むと、「人生の3大費用」という言葉がよく登場します。

この人生の3大費用とは「子供の教育費」、「住宅の購入費」、「老後の生活費」を示しており、この3つはいずれであっても、多額の資金が必要になるため、その準備に時間がかかるのです。

また住宅の購入費については、住宅ローンの返済中にローン契約者が死亡すると、残された家族が困るので、それぞれの費用に対応した、次のような保険が販売されております。

子の教育費:学資保険
老後の生活費:個人年金保険
住宅の購入費:団体信用生命保険(略して「団信」と呼ばれております)

NTTコムリサーチが平成25年(2013年)6月26日〜7月1日に、20代〜50代の男女(1,076人)に実施した調査「学資保険に関する調査」によると、10歳未満の子供がいる方の、学資保険の加入率は57.2%でした。

また住宅ローンの一種である「フラット35」の利用者の、実質的な団信の加入率は、加入が強制ではないにもかかわらず、95%を超えていると言われております。

その一方で生命保険文化センターが実施した調査「平成25年度生活保障に関する調査」によると、個人年金保険の加入率は20.6%で、他と比べてかなり低めです。

私はこの背景には、目先の事(子の教育費、住宅の購入費)を過大評価し、遠い先の事(老後の生活費)は過小評価してしまう、「双曲割引の心理」があると考えております。

ですから年金制度を廃止して、今まで納付したお金を返した場合、そのお金は老後資金の準備ではなく、目先の何かのために使われる可能性が高いと考えており、そうなると老後資金の準備不足が、現在よりも深刻化すると思うのです。

(3)平均寿命より遥かに長生きした場合には対応できない
定年退職を迎えるまでに準備をしておきたい、老後資金の目標額については、7月24日のブログで紹介しました。

これは平均寿命くらいまで生きる事を想定したものであり、年金制度を廃止して、自分で老後資金を準備する場合にも、同じような想定で目標額を決めると思います。

しかし実際に何歳まで生きるかは、神のみぞ知る話であり、平均寿命より遥かに長生きした場合には、老後資金が枯渇する可能性があります。

その一方で公的年金であれば、生涯に渡って支給されるため、平均寿命より遥かに長生きした場合にも対応でき、このようなメリットは自分で資産運用を行った場合には、得がたいものだと思うのです。

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posted by FPきむ at 20:42 | 年金について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする