2018年05月18日

退職金や年金の管理を人任せにしていると、ろくでもない結果になる

平成28年(2016年)9月21日のダイヤモンドオンラインを読んでいたら、金融庁がダメ出しする運用商品ワースト3というタイトルの記事が掲載されておりました。

この3つとは「(1)毎月分配型投資信託」、「(2)貯蓄性保険商品(特に外貨建て一時払い保険)」、「(3)ラップ口座(特にファンドラップ)」を示しますが、(3)については次のように解説されております。

『さて、近年、金融庁が投信の回転売買に厳しくなったことに対する、金融業界の次の一手の一つがラップ口座、特に、投資信託を運用対象とするファンドラップだった。

ラップ口座は、現在、残高が急激に伸びている。2016年3月末時点で5.8兆円あり、投資信託残高(92兆円)の6%の水準に達しているという。

金融庁のラップに対する批判は、オーソドックスに「運用コスト」に向けられている。 

レポートによると、ラップの手数料と投資対象商品の信託報酬を合わせた、ファンドラップの顧客が負担する手数料は平均で年間2.2%に達するという。 

これに対して、一般の投信の手数料を販売に3%、信託報酬で1.5%とすると、「4年を超えて投資を継続する場合、ファンドラップの方が一般の投資信託よりも保有コストは高くなる計算となる」(p69)との計算をレポートは示している。 

端的に言って、どちらもダメなのだが、ファンドラップの手数料は何とも高いということだ。

付け加えるなら、外貨建て資産の売買の際の為替手数料や、債券の売買価格などを使って、実質的な手数料をさらに仕込むことができ、ラップの手数料と信託報酬以上の手数料をむしり取られることが、対面営業型の証券会社ではあり得るようなので、ご注意されたい。

また、金融庁は、ファンドラップについて、運用対象の投資信託が、系列の投資運用業者によって設定されたものであることを指摘し、加えて、「当該助言会社の大半が系列会社となっている等、選定プロセスの透明化に向けた取り組みはいまだ途上にある」(p63)と述べている。 

投資家は、ファンドラップは、コストが高いし、プロセスが不透明だから近づかない方がいい運用サービスだ、と認識するのが素直で適切だ』

以上のようになりますが、「ラップ口座」とは個人が証券会社や信託銀行と契約して、資金の運用や口座の管理などを、契約先に一任するサービスです。

このラップ口座の一種である「ファンドラップ」とは、違うタイプの投資信託を複数組み合わせて、資金を運用していくものです。

またファンドラップに関する手数料は、資金の運用や口座の管理などのために、「運用資産残高の○○%」という形で徴収される「ファンドラップフィー」と、投資信託の「信託報酬」を合わせたものになります。

金融庁はラップ口座、特にファンドラップについて、この手数料が高すぎると批判しているのです。

またファンドラップを通じて運用する投資信託が、系列会社が設定したものになっているため、顧客にとって最善の投資信託を選んでいるのか?という疑問を、金融庁は投げかけております。

金融庁が発表したレポートによると、ファンドラップフィーと信託報酬を合わせた手数料の平均は、年間で2.2%に達するそうです。

つまり投資信託の利回りが2.2%に達しなかったら、その年は赤字になってしまい、その赤字を契約先の金融機関は補填してくれません。

また投資信託の利回りが2.2%を超えて、例えば3%になったとしても、利回りは手数料の分だけ低下するため、0.8%になってしまうのです。

ですから退職金は人任せのラップ口座に預けるのではなく、資産運用の勉強を少しずつ実施して、自分で運用した方が良いと思うのです。

ところで3月19日のブログに記載しましたように、日本年金機構が委託した業者が、「扶養親族等申告書」の入力ミスをした事などによって、年金から控除される所得税が多くなってしまい、年金が過少支給されるという問題が発生しました。

どこの業者に委託するのかは、日本年金機構が決めるのですから、個人の努力ではどうにもならない気がします。

しかし翌年に自分で確定申告をすれば、正しい税金額が算出される事により、余計に取られた所得税が還付されるため、年金が過少支給されるという問題は、個人の努力で解決できる可能性があるのです。

ですから所得税の計算を人任せにするのではなく、税金の勉強を少しずつ実施して、確定申告を通じて自分でやった方が良いと思うのです。

なお日本年金機構の所得税の計算に間違いがなくても、例えば生命保険などに加入して保険料を支払っていれば、いくらかは還付金が戻ってきます。

ですから確定申告不要制度の要件を満たす場合でも、やはり確定申告をやった方が良いのです。
posted by FPきむ at 20:08 | 年金について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月01日

2050年には公的年金の低下で、85歳世帯の約半数が預貯金ゼロへ

平成30年(2018年)5月1日のヨミドクターを読んでいたら、年金給付水準が低下…2050年には世帯主85歳で預貯金ゼロが半数と題した、次のような記事が掲載されておりました。

『公的年金の給付水準が低下し、2050年には世帯主が85歳の世帯の48.8%で、預貯金がゼロになるなど、金融資産が枯渇する可能性があるとの試算を三菱UFJリサーチ&コンサルティングがまとめた。

年金制度は少子高齢化が進んでも過度に現役世代の負担が増えないように、物価の上昇に比べて年金給付の増額を抑える「マクロ経済スライド」という仕組みが導入されている。

同社は65歳時点の貯蓄額や老後の生活費が現在の高齢者並みであると仮定し、マクロ経済スライドによる給付水準低下の影響を試算した。

一方、試算では30歳時点から年間所得の1割を毎年、資産形成にまわすと、金融資産が枯渇する世帯は48.8%から約17ポイント減少し、31.9%になるとした。

65〜74歳の10年間に毎年100万円の就労所得があれば、さらに約17ポイント減り、14.8%になるという』

以上のようになりますが、公的年金の保険料と保険給付のバランスを取るため、年金財政の検証が5年に一度のペースで実施されております。

この検証の際に年金の積立金が、どのように変化していくのかが試算されております。

例えば前回(2014年)の検証の際には、低成長が続く最悪のケースになった場合、2055年度に国民年金の積立金が枯渇すると試算されました。

今回は年金の積立金ではなく、個人の預貯金がどのように変化していくのかが試算されており、とても斬新だと思うと同時に、次のような感想が頭に浮かんできました。

(1)自分達の業界が儲かるような仕組みを提言するのは良くない
この記事だけでは試算の詳細がよくわからなかったので、情報ソースとなったと思われる「〜私的年金に関する3つの政策提言を発表〜」を見たところ、次のような3つの提言が掲載されておりました。

■提言1
企業年金がないすべての被用者に対して脱退選択(オプトアウト)可能な確定拠出型企業年金を導入する。その際、本人の年金口座への直接的な財政支援を行う。

■提言2
企業年金および退職一時金受取の年金化を促進する税制を目指すことにより高齢期所得に安定性をもたらす。

■提言3
公的年金支給開始年齢のオープンエンド化と高齢就労促進によって、長寿リスクに備えるとともに高齢期所得保障に厚みをもたらす。

注:オープンエンド化とは、個人の事情に合わせて年金の支給開始年齢を、自由に選べるようにする事のようです。

以上のようになりますが、いずれについても十分に納得できる、なかなか良い提言をしていると思いました。

ただ提言1が実施された場合には、確定拠出型企業年金のための金融商品を提供する、三菱UFJフィナンシャル・グループ内の企業や、その同業者にビジネスチャンスがやってきます。

また提言2が実施された場合には、年金として支払う前の資産は、どこかに預けたり、運用して増やしたりする必要があるため、三菱UFJフィナンシャル・グループ内の企業や、その同業者にビジネスチャンスがやってきます。

このように自分達の業界が儲かるような仕組みばかりを、提言しているような印象があり、それは良くないと思うのです。

ただ1月7日のブログに記載しましたように、生命保険協会は政府に対して、「長寿安心年金」という個人年金保険の創設を提言していたので、提言というのは基本的に、自分達の業界が儲かるものばかりになるのかもしれません。

(2)老後資金は「資産運用」と「高齢期の労働」以外でも準備できる
三菱UFJリサーチ&コンサルティングは老後資金を準備する方法として、資産運用と高齢期の労働を薦めておりますが、これらに加えて支出を減らす、つまり節約を実施すれば、更に老後資金を準備できます。

老後資金を準備する方法として節約をイメージする方は、多いような印象があるので、資産運用と高齢期の労働の2つに加えて、節約を実施した場合の試算結果も、示すべきだったと思いました。

なお老後の生活に不安がある方が、どのような節約を実施しているのかについては、6月10日のブログを参照して下さい。

(3)内閣府も同じような内容の警告をしている
民間企業が実施する調査や、その調査結果に基づく提言は、(1)に記載しましたように、自分達の業界が有利になる方向へ偏りがちです。

そこで内閣府という公的機関が行った調査について紹介してみると、7月7日のブログに記載しましたように、50代までに老後資金の準備を何もしていない方は、4割超もいるという調査結果が出ております。

このような調査結果を受けて内閣府は、「若い時期から老後を見据えて準備を始めることが重要」と警告しております。

そのため三菱UFJリサーチ&コンサルティングの試算のように、85歳で預貯金が枯渇しないため、早めに老後資金の準備を始めた方が良いのは、どうやら間違いないようです。
posted by FPきむ at 20:23 | 年金の最新情報と法改正 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする