2019年02月15日

健康の大切さを実感した、尾畠春夫さんの年金(月5.5万円)の使い道



平成31年(2019年)2月10日のPRESIDENTを読んでいたら、尾畠春夫さん年金月5.5万の家計簿公開と題した、興味深い記事が掲載されておりました。

尾畠春夫さんとは平成30年(2018年)8月頃に、山口県周防大島町で2歳の男児が行方不明になった時、捜索のボランティアに参加し、その男児を山から見つけ出した事で有名になった、70代後半のスーパーボランティアの男性です。

この尾畠さんは月5.5万円の年金をやり繰りして、全国各地でボランティア活動を続けているようですが、上記の記事によると年金の具体的な使い道は、次のようになっております。

光熱費:6,000
交通費:10,000
新聞代:3,000
食費:27,000
税金等:9,000

これを見た時に驚いたのは、光熱費の低さですが、この理由について尾畠さんは、次のように説明しております。

『家にいることも少ないですし、光熱費も最低限という値段でしょうか。外で火をおこして菜っ葉を茹でることもあります』

また交通費の高さにも驚いたのですが、この理由について尾畠さんは、次のように説明しております。

『ガソリン代はたしかにかかります。例えば今回の広島・呉であれば往復で1万円くらいです。高速道路は基本的には使いませんが、災害から何日かすると、手続きさえすれば無料で使えるようになることもある。そういうときは利用させてもらっています』

つまり光熱費が低いのは、全国各地のボランティアに参加しているため、家にいる時間が少ないからであり、また交通費が高いのは、ボランティアに行くまでのガソリン代に、お金がかかるからのようです。

こういった特殊な事情を除けば、尾畠さんの年金の使い道は、けっこう参考になると思ったのですが、個人的には次のような点が参考になりました。

(1)平均額を受給できても対策が必要になる
会社員は厚生年金保険に加入すると同時に、国民年金にも加入しているため、原則65歳になった時に、国民年金から支給される「老齢基礎年金」だけでなく、厚生年金保険から支給される「老齢厚生年金」も受給できます。

その一方、65歳でリタイアするまで、大分県で鮮魚店を営んでいた尾畠さんは、おそらく長期間に渡って、国民年金だけに加入していたと推測されます。

そうなると老齢厚生年金をほとんど受給できず、国民年金から支給される老齢基礎年金が、主な収入になっていると考えられるのです。

年金の金額が月5.5万円と少な目なのは、このような理由があるからだと思います。

ただ厚生労働省が作成している「平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、直近の老齢基礎年金の平均受給額は、月に55,615円(厚生年金保険の加入歴がない方は51,648円)です。

つまり尾畠さんの年金額は少ないように見えて、かなり平均受給額に近いのです。

このように国民年金だけに加入していた場合、平均受給額に近い金額を受給できたとしても、生活はかなり苦しくなるため、個人型の確定拠出年金(iDeCo)に加入するなどの対策を、早めに実施すべきだと思います。

(2)住宅ローンの返済が終わった持ち家は老後を支える
尾畠さんが月5.5万円の年金で生活できている大きな要因は、家賃や住宅ローンの返済がないという点であり、これらがあったら厳しくなります。

ですから「賃貸VS持ち家」という長年の論争は、住宅ローンの返済が年金の支給開始までに終わるなら、持ち家に軍配が上がると思います。

ただ冒頭の記事には鮮魚店を畳む時、それを売ったお金で、今の家を買ったという話が記載されているので、尾畠さんが賃貸派から持ち家派に転向したのは、それほど昔の話ではないようです。

(3)健康であれば医療費の支出を抑えられる
かなり前に読んだ老後が危ない!(著:畠中雅子)という本には、夫婦の年金額の合計(手取り)が月12万円、つまりそれぞれの年金額が月6万円だった場合の、支出の目標額が記載されており、それは次のようになります。

食費:3万円
日用雑貨費:5千円
光熱・水道・電話代:2万円
教養娯楽費:5千円
レジャー費:5千円
交際費:5千円
医療費:1万円
被服費:0円
夫小遣い:1万5千円
妻小遣い:1万円
雑費:5千円
社会保険料:1万円

それぞれの年金額が月6万円だったとしても、夫婦で合わせれば月12万円になるため、尾畠さんより少し余裕があるように見えます。

また尾畠さんの支出の中には登場しなかった、「医療費:1万円」が登場しております。

そうなると健康である事が、少ない年金でもボランティア活動を続けられる、要因のひとつになっていると考えられるのです。

ボランティア活動だけでなく、夫婦で旅行に行ったり、スポーツを楽しんだりできるのも、健康があればこそですから、健康の大切さを改めて実感しました。
posted by FPきむ at 20:17 | 年金について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年02月03日

国民年金は明朗会計な制度のため、加減乗除すれば信頼できるかがわかる

平成31年(2019年)1月15日のTRILLを読んでいたら、希望はまだある!最新調査で日本人の「老後に不安を抱きすぎている可能性」が明らかにと題した記事が掲載されておりましたが、一部を紹介すると次のようになります。

『セコムが20代以上の男女500名を対象に行った調査で、「最近、何かに不安を感じていることはあるか」という問いに「感じている」「どちらかといえば感じている」と答えた人が72.4%にのぼりました。

特に女性では、20代(84%)、30代(76%)、40代(78%)といずれも高い割合になっています。

では、いったい何に不安を感じている人が多いのでしょうか? 不安の1位は「老後の生活や年金(71.8%)」、続いて、2位「健康(67.4%)」、3位「地震(50.6%)」という結果になりました』

『老後への不安の有無を聞いたところ、全体の82.8%が「老後に不安を感じている」という結果になりました。この数字は、2014年の調査開始以来最高値となっています。

最も老後を不安に感じているのは40代男性・女性(90%)で、具体的には「経済的な負担に関する不安」および「病気やケガなどの健康不安」が1位、2位となりました』

『また、年金を払い始める新成人は、老後のお金についてどう思っているのでしょうか?

こちらも調査によると上昇傾向。「国民年金制度を信頼できる」と答えた人が41%で2014年以降で最も高い割合となりました。

「年金の額が減るのでは」「もらえないのでは」という厳しい見方もありますが、「国の制度だから信頼できる」という期待の声もあがっています。やはり若者は年配者よりポジティブ思考のようです』

以上のようになりますが、この記事を読んでいると、老後に対して不安を感じている方が、かなり多いとわかります。

また特に40代は他の世代よりも、老後に対して不安を感じている方が多いようです。

平成29年(2017年)1月からは、国民年金の第3号被保険者となり、自分で保険料を納付する必要のない「専業主婦」、または「公務員」についても、iDeCo(個人型の確定拠出年金)に加入できるようになりました。

そのため公的年金(国民年金、厚生年金保険)の加入者であれば、国民年金の保険料の納付を免除された方などの一部を除き、誰でもiDeCoに加入できるようになったのです。

この改正の後にiDeCoの加入率がもっと伸びたのは、40代というデータがありますから、40代は他の世代よりも、老後に対して不安を感じているという調査結果には、とても納得できるのです。

その一方で、国民年金を信頼できると回答した新成人が、増えているという調査結果には、あまり納得できないのです。

なお国民年金を信頼できると回答した新成人の割合は、次のように推移しております。

2014年:26.8%
2015年:30.2%
2016年:28.6%
2017年:30.2%
2018年:33.2%
2019年:41.4%

このように国民年金を信頼できる新成人が、増えている理由について考えてみると、政権交代のきっかけにもなった、平成19年(2007年)の「宙に浮いた年金記録問題」から、かなりの年数が経過したため、これを知らない世代が、増えている影響かもしれません。

もう過去の話になってしまいましたが、平成29年(2017年)3月時点において、身元がわからない年金記録、いわゆる宙に浮いた年金記録は、約1,951万件も残っているそうなので、この問題を風化させてはいけないと思います。

ただマイナンバーの普及などにより、これから新たに宙に浮いた年金記録が発生する可能性は低いため、別の角度から国民年金が信頼できるのかを、判別する必要があるのです。

その一番簡単な方法は、国民年金に関連した数字を、加(+)減(−)乗(×)除(÷)してみる事だと思います。

例えば国民年金の保険料は、平成30年(2018年)度額で16,340円になるため、国民年金に加入する必要のある、20歳から60歳までの40年間に渡って納付すると、7,843,200円(16,340円×12ヶ月×40年)になります。

また原則として65歳から支給される老齢基礎年金の満額は、平成30年(2018年)度額で779,300円になります。

前者の生涯に納付する保険料を、後者の老齢基礎年金の満額で割ってみると、「7,843,200円÷779,300円=10.06…」です。

つまり現在の制度が大きく変わらなければ、65歳から老齢基礎年金の受給を始め、10年くらいが経過すると元がとれ、それ以降は長生きするほどお得になるのです。

日本人の平均寿命から考えると、75歳くらいまでは生存している可能性が高いので、やはり国民年金は信頼できると思います。

しかし支給開始年齢が70歳以上に引き上げされると、元をとるのが難しくなるため、国民年金は信頼できなくなってきます。

このように簡単な加減乗除をすれば、信頼できるかの目安がわかるため、国民年金は明朗会計な制度ではないかと思うのです。
posted by FPきむ at 20:44 | 年金について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする