2018年09月02日

社会保険の適用を拡大するなら、迷っている暇はないと思う3つの理由

平成30年(2018年)8月26日の日本経済新聞を読んでいたら、厚生年金のパート適用拡大 厚労省検討、月収要件など緩和へと題した記事が掲載されておりましたが、一部を紹介すると次のようになります。

『厚生労働省は厚生年金に加入するパート労働者の適用対象を拡大する。本人の月収要件を8.8万円以上から6.8万円以上に引き下げるなど加入者を最大で200万人増やす案を軸に検討する。

国民年金に限られるパート労働者の老後への備えが手厚くなる。勤め先企業は保険料を折半負担することになるが、人手不足でパートの処遇改善の動きが広がる中、厚労省は議論を進めやすい環境だと判断した』

以上のようになりますが、平成28年(2016年)10月1日からは、次のような要件をすべて満たす場合、パートやアルバイトなどの短時間労働者であっても、社会保険(健康保険、厚生年金保険)に加入する必要があります。

(A)1週間あたりの勤務時間が20時間以上

(B)月額賃金が8万8,000円以上(年収106万円以上)

(C)勤務期間が1年以上

(D)学生ではないこと

(E)従業員の人数が、501人以上の企業に勤務していること

なお(E)の要件が少しだけ改正され、社会保険に加入する事について、労使(労働者と使用者)の合意がある場合には、従業員の人数が500人以下の企業でも、平成29年(2017年)4月1日から、社会保険に加入するようになりました。

冒頭の記事は(B)の要件に関するものであり、もし記事の通りに改正が実施されると、「月額賃金が8万8,000円以上(年収106万円以上)」は、「月額賃金が6万8,000円以上(年収81万6,000円以上)」に変わります。

そうなると年収が100万円未満の方でも、社会保険に加入するようになるため、大幅に加入者が増えると予想されます。

またこの改正を本当に実施するなら、次のような3つの理由により、できるだけ早い時期に実施した方が良く、迷っている暇はないと思うのです。

(1)人手不足が解消されるまでは企業の反発が起きにくい
例えば給与から厚生年金保険の保険料として、1万円が天引きされている場合、企業は同額の1万円を拠出し、両者を併せた2万円を、日本年金機構に納付します。

ですから社会保険の適用が拡大されると、企業の負担は増えるため、今回の改正案に反発する企業は、多いのではないかと思います。

ただ冒頭に紹介した記事の中に記載されているように、現在は少子高齢化や人口減少による人手不足を受け、パートなどの処遇改善の動きが広がっているため、以前より反発は起きにくいのです。

また金融業と保険業を除いた全産業の、平成29年(2017年)末時点の内部留保(利益剰余金)が、過去最高の417兆2,895億円になり、企業内部に大きな貯えがある事も、以前より反発を少なくすると思います。

しかし東京オリンピックが終了した後に景気が悪くなって、人手不足の解消が進んだり、内部留保が少なくなったりすると、再び反発が大きくなるため、できるだけ早い時期に、実施した方が良いと思うのです。

(2)今だったら給与の手取りが減るデメリットを受け入れられる
平成28年(2016年)10月1日から上記のように、社会保険の適用が拡大される時、厚生労働省は新たに約25万人の方が、社会保険に加入すると予想しておりました。

しかし実際は厚生労働省の予想を超えて、新たに約37万人(平成29年度末時点)の方が、社会保険に加入したそうです。

厚生年金保険に加入すると、原則として65歳になった時に、国民年金から支給される老齢基礎年金に上乗せして、厚生年金保険から支給される老齢厚生年金を受給できます。

そうなると厚生労働省の予想よりも多くの方が、社会保険の保険料の天引きにより、給与の手取りが減るデメリットを受け入れて、将来に受給できる年金額を増やす事を選択したのです。

しかし東京オリンピックが終了した後に景気が悪くなって、給与の金額が減ってしまうと、給与の手取りが減るデメリットを、受け入れられない方が出てくる可能性があるので、できるだけ早い時期に、実施した方が良いと思うのです。

(3)国民年金の保険料の未納を放置すると生活保護が破綻する
厚生労働省が発表した平成29年(2017年)度の、国民年金の保険料の納付率は、過去最低の58.6%から、6年連続で上昇して、66.3%になったそうです。

この6年は有効求人倍率や失業率などの、雇用関係の指標が大幅に改善されており、例えば大卒の就職内定率は、過去最高を更新しております。

こういった状況にもかかわらず、まだ4割程度は納付していないのですから、この先に納付率が、更に改善されるとは思えず、たとえ改善されたとしても、微増に止まると思うのです。

国民年金の保険料の未納を放置しておくと、その分だけ年金額が少なくなり、また未納期間が長くなると、最悪は年金を受給できなくなります。

このようにして低年金や未年金になり、そのうえ働けなくなれば、生活保護を頼るしかなくなり、また低年金や未年金になった方の多くが、生活保護を受けるようになれば、制度が破綻するかもしれません。

ですからできるだけ早い時期に、社会保険の適用を拡大し、国民年金の保険料の代わりに、厚生年金保険の保険料を納付させる事により、低年金や未年金の発生を、未然に防止した方が良いと思うのです。
posted by FPきむ at 20:16 | 年金について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月17日

老後資金を貯められる方と、貯められない方の格差が、広がっていく理由

平成30年(2018年)4月8日のLISMOを読んでいたら、お金が増える人・増えない人の4つの差とは?と題した記事が掲載されておりましたが、一部を紹介すると次のようになります。

『物事に「早め」に取り掛かることは、お金が増える人に共通するポイントです。

たとえば、5分もかからないけれど「来週末までにやっておいてね」と渡された資料があるとしますよね。

このとき、「5分もかからないし、来週末だと忘れてしまうかもしれないからやってしまおう」と考えられるのが「お金が増える人」です。

逆に、「来週末までにやればいいや」と考える人は、お金を貯めることに関しても後手に回ってしまうことが多く、なかなか取り掛かれないまま時間ばかりが過ぎていくことに。

そうなることを防ぐために、思い立ったら即行動を心がけましょう。

よくありがちなのが、「家計簿をつけ始めたいけれど、月の半ばで中途半端だから次の給料日からにしよう」とか、「毎月3万円貯金するような習慣をつけたいけれど、もうすぐ給料日だからそこからにしよう」というもの。

気持ちはわかりますが、それではその当日まで覚えておかなくてはならないですし、忘れたときのリカバリーもしづらいですよね。

中途半端になってもいいから次の給料日を待たず、とにかく今日から始めてみることが大事です』

以上のようになりますが、フィデリティ退職・投資教育研究所は、サラリーマン1万人に対して、「退職後の生活用として準備できている資金は」という質問をしました。

平成22年(2010年)の調査では、0円と回答した方が44.3%もいたのです。

つまり老後資金を全く準備していない方が、約4割もいたという事になります。

その後も同研究所はサラリーマン1万人に対して、同じ質問を継続的にしており、その結果は「フィデリティ退職・投資教育研究所レポート(2016.05)」によると、次のようになっております。

平成25年(2013年):40.3%
平成26年(2014年):40.8%
平成27年(2015年):40.8%
平成28年(2016年):39.7%

これを見るとわかるように、老後資金を全く準備していない方の割合は、ほとんど変化がありません。

冒頭で紹介した記事の中には、「(先延ばしする方は)なかなか取り掛かれないまま時間ばかりが過ぎていくことに」と記載されております。

このように先延ばしする方は、老後資金の準備でも、なかなか取り掛かれないまま時間ばかりが過ぎていくため、6年が経過しても0円の割合に、ほとんど変化がないのだと思うのです。

その一方で早めに取り掛かる方は、すぐに老後資金の準備を始めるため、着々と老後資金を貯めていきます。

これでは老後資金を貯められる方と、貯められない方の格差は、どんどん広がっていくのです。

実際のところ上記のレポートによると、老後資金を1,000万円以上準備している方は、次のように着々と増えております。

平成22年(2010年):13.3%
平成25年(2013年):16.6%
平成26年(2014年):18.3%
平成27年(2015年):20.1%
平成28年(2016年):20.0%

それに加えて老後資金を準備するための制度の中で、最近注目されている個人型の確定拠出年金、いわゆるiDeCoは60歳という、掛金を拠出できる年齢の上限があります。

また過去の分の掛金を、遡って拠出する事はできないので、後から始めた方が先に始めた方に追いつくのは、制度的にかなり難しいのです。

ですから冒頭で紹介した記事の中に記載されている、「中途半端になってもいいから次の給料日を待たず、とにかく今日から始めてみることが大事です」のように、少ない金額でも良いので、例えばiDeCoやNISAを、早めに始めてみる事が大切だと思います。

その理由としてたとえ少ない金額でも、自分のお金が使われると、真剣な気持ちになるからです。

そうすると今まで関心のなかった、例えば投資や経済などについて、自然に勉強するようになると思います。

またこのようにして身に付けた、投資や経済などに関する知識は、仕事や日常生活の中で役に立つかもしれません。
posted by FPきむ at 20:21 | 年金について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする