2017年12月07日

確定拠出年金(個人型)の掛金を、年末調整の書類に記入する時の注意点

企業型と個人型に分かれている確定拠出年金は、平成13年(2001年)10月に開始され、当初は「日本版401k」などと呼ばれておりました。

この理由として日本の確定拠出年金のモデルになった、アメリカの代表的な確定拠出年金は「401kプラン」と呼ばれ、それは内国歳入法の第401条k項に、税制優遇が定められていた事に由来しております。

この二つのうち確定拠出年金(個人型)は、平成29年(2017年)1月から対象者が拡大され、今まで加入資格がなかった公務員や専業主婦も、新たに加入できるようになったのです。

またそれと同時に確定拠出年金(個人型)の愛称は、公募により「iDeCo(イデコ)」に決定しました。

そうなると現在は確定拠出年金(個人型)を、「日本版401k」と呼ぶベテランの加入者と、「iDeCo(イデコ)」と呼ぶ新規の加入者が、並存していると考えられます。

また新規の加入者の中には、確定拠出年金(個人型)の掛金を、年末調整の書類に記入するのが、初めてという方もいると思いますので、その注意点について紹介してみます。

(1)掛金の変更は「年度」、年末調整は「暦年」
日本の社会は年度(一般的には「4月1日〜翌年の3月31日」)を、基準にしているものが多くあります。

確定拠出年金(個人型)の中にも、そのルールが取り入れられており、例えば拠出する掛金額の変更は、年度あたりで1回となっております。

しかし年末調整については、暦年(1月1日〜12月31日)の間に拠出した掛金の合計額を、暦年の間に会社から受け取った給与所得の合計額から控除しますので、年度単位ではありません。

(2)生命保険の保険料と違って全額を控除できる
例えば生命保険の保険料は、給与所得から控除できる金額に上限が設けられており、暦年の間に支払った保険料の合計額が8万円を超えると、給与所得から控除できる金額は、一律で4万円になってしまいます。

しかし確定拠出年金(個人型)の掛金は、給与所得から控除できる金額に上限がないため、「暦年の間に拠出した掛金の合計額=給与所得から控除できる金額」になるのです。

ですから節税面で考えれば、生命保険より確定拠出年金(個人型)の方がお得になります。

ただ確定拠出年金(個人型)は、拠出できる掛金に一定の上限が設けられており、これを超える拠出はできません。

(3)加入者本人の給与所得から控除する
確定拠出年金(個人型)の掛金は、年末調整や確定申告の際に、「小規模企業共済等掛金控除」として給与所得から控除します。

この小規模企業共済等掛金控除の特徴としては、加入者本人の給与所得からしか控除できない点です。

例えば専業主婦の妻が確定拠出年金(個人型)に加入した場合、妻の口座から掛金が引き落としされているとしても、その口座の中に入っているお金の一部は、夫が稼いだ給与の可能性があります。

そうなると夫の給与所得から、確定拠出年金(個人型)の掛金を控除できそうな気もしますが、加入者本人である妻の給与所得からしか、控除できないのです。

(4)年末調整の書類に金額を記入して証明書類を添付する
確定拠出年金(個人型)の掛金の納付方法としては、お勤め先の会社が給与から控除して、その会社の口座から引き落としされている場合と、自分の口座から引き落としされている場合の、2種類があります。

前者の場合にはお勤め先の会社が、暦年の間に拠出した掛金の合計額を把握しているため、原則的には年末調整の書類に掛金の合計額を記入したり、その金額を証明する書類を添付したりする必要はありません。

しかし後者の場合にはお勤め先の会社が、暦年の間に拠出した掛金の合計額を把握しておりません。

そのため年末調整の書類(給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書)に、掛金の合計額を記入したり、その金額を証明する書類(掛金払込証明書)を、添付したりする必要があります。

(5)年末調整で控除ができなかったら、再年末調整か確定申告を行う
年の後半に加入手続きを始めたため、初回の掛金の引き落としが10月以降になった場合には、国民年金基金連合会から掛金払込証明書が送付されてくるのが、翌年になる可能性があります。

そうなると年末調整の書類を提出する期限は過ぎており、また年末調整も終わっております。

しかし源泉徴収票を従業員に配布する1月末日までであれば、原則的には再年末調整が可能ですので、お勤め先の会社にお願いして、再年末調整を行ってもらうのです。

お勤め先の会社から再年末調整は無理だと言われた場合、または掛金払込証明書が届いたのが1月末日を過ぎた場合には、自分で確定申告を行い、還付金を受け取るのです。

なおこのような還付申告は、年末調整で控除を受けられなかった翌年の1月1日から5年以内であれば、税務署はいつでも確定申告の書類を受け付けてくれるので、2月から3月頃の混雑している時期に行く必要はありません。
posted by FPきむ at 20:49 | 確定拠出年金で自分年金を作る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月26日

老後資金の準備で節約疲れなら、哲学を学び、マスメディアから離れる



平成29年(2017年)11月9日のTHE PAGEを読んでいたら、「孤独死」は怖くない 「老後破産」も気にならなくなる幸せな生き方とは?と題した記事が掲載されておりましたが、一部を紹介すると次のようになります。

『この数年、「老後破産」とか「下流老人」ということがメディアで取り上げられるようになりましたが、わたしは常々その取り上げられ方に違和感を覚えます。

より正確に言えば、「老後破産しないためには何歳までに何千万の貯蓄が要る」というような論じ方に違和感を覚えます。

「なぜ、今の生活レベルを維持することを前提にして、貯蓄に励めというのだろう? なぜ、収入が減ったなりのつつましい暮らしの中での満足を得るよう気持ちを切り替えよう、とは言わないだろう?」という違和感です』

『「あれがほしい」、「これがほしい」と思う欲求は、本当の自分の自然な欲求ではなくて、マーケティングによって操られ、吹き込まれた偽りの欲望ではないのでしょうか?

マーケティングの手練手管に操られ、「あれも欲しい、これも欲しい」という欲望に身を任せ、毎月何十万もの生活費が要ると信じ込んだあげくに、老後の生活資金が足りないと不安におびえるのは、冷静に振り返ると滑稽なことではないでしょうか。人はもっとシンプルに生きていけるのです。

これはわたしのオリジナルな意見でも何でもありません。2000年以上も前から、エピクロスやブッダや老子、荘子といった人たちが語ってきたことです。

「禍(わざわい)の最たるは足るを知らざるなり」……。最大の不幸は「これでいい」と満足できないこと。逆から言えば、「足るを知る」、「これでいい」と満足できることが幸せの基本なのです』

以上のようになりますが、老後資金を準備する方法としては、次の3種類があると思います。

(1)収入を増やす
収入の多い仕事に転職する、副業をする、定年後も健康なうちは働き続ける(老後を短くする)、起業をする、資格や技能を身に付ける(収入が上がったり、高齢になっても働けたりする)

(2)支出を減らす
変動費(食費や水道光熱費など)や固定費(生命保険の保険料や携帯電話の料金など)の節約をする、運動や食事により健康な状態を維持する(医療費や介護費の節約になる)

(3)運用利回りを上げる
個人型の確定拠出年金やNISAなどで資産運用を始める

この3つを組み合わせて実施していくのが理想だと思うのですが、(2)の「支出を減らす」の中の、変動費の節約がもっとも簡単であり、また手軽にできるため、これに偏ってしまいがちになるのです。

しかし過度な節約生活を続けていると、気持ちがすさんできたり、節約疲れになったりします。

これを解消する方法としては、変動費の節約を控えめにして、固定費の節約もする事だと思います。

その理由として固定費は1回見直しすると、その節約効果が自動的に続いていくので、日々の生活の中で特に何もする必要がないからです。

また冒頭の記事の中に記載されているように、エピクロス、ブッダ、老子、荘子などの哲学を学び、「足るを知る」の精神を身に付けるのも良いと思います。

それによって既に持っているもので満足できるようになれば、節約のために欲しいものが買えないというストレスを軽減できるため、節約疲れにならずに済むのです。

冒頭の記事を読んでいると、哲学を学ぶ事の他に、マスメディア(テレビ、新聞、ラジオ、インターネットなど)から離れる事も大切だとわかります。

その理由としてマスメディアや、その中に掲載されている広告は、マーケティングの手法を駆使して、「欲しい」という気持ちを人々に植えつけるからです。

そういえばナマケモノでも「幸せなお金持ち」になれる本(著:アーニーJ・ゼリンスキー 、訳:前田曜)という本を読んでいたら、次のような文章が記載されておりました。

『エーリッヒ・フロムは著書「自由からの逃走」(邦訳:東京創元社)でこう記している。

“現在人は自分が何を買いたいか理解しているつもりだが、実際のところは、買うように仕向けられた商品を買っているにすぎない”。

まさにそのとおりで、今日のような消費社会では、人々の購買行動は広告やマスコミによって支配されている。

大衆の多くは、本当に幸せをもたらすのは何かと考えることなく、このシステムにどっぷりとつかっているだけだ』

以上のようになりますが、マスメディアから離れ、本当に必要なものだけを求めるなら、節約のために欲しいものが買えないというストレスは、軽減していくと思うのです。

そうなれば節約疲れによるストレスを発散するため、ついつい衝動買いをしてしまうなどという事は、なくなっていくのではないでしょうか?
posted by FPきむ at 20:50 | 年金について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする