2014年12月27日

確定拠出年金の掛金に関する経理処理(仕訳、勘定科目)と税務

格付会社であるモーニングスターのサイトを見ていたら、確定拠出年金(個人型)の運営管理手数料(口座管理手数料)の年額に関する、平成26年(2014年)4月1日時点の、ランキングが記載されておりましたが、それは次のようになります。

SBI証券(DC資産50万円以上)→0円
スルガ銀行(加入者)(DC資産50万円以上の運用指図者)→0円
スルガ銀行(DC資産50万円未満の運用指図者)→3,240円
損保ジャパン日本興亜DC証券(運用指図者)→3,420円
三井住友海上(運用指図者)→3,564円
東京海上日動火災(運用指図者)→3,624円
三井住友海上(加入者)→3,660円
りそな銀行→3,792円
SBI証券(DC資産50万円未満)→3,888円
ソニー生命→3,888円
大和証券→3,888円
損保ジャパン日本興亜DC証券(加入者)→3,888円
三井住友銀行→3,888円
みずほ銀行→3,888円
横浜銀行→3,948円
野村證券→4,104円
三菱東京UFJ銀行(運用指図者)→4,212円
第一生命→4,260円
富国生命→4,272円
東京海上日動火災(加入者)→4,272円
労働金庫(中央労働金庫:関東地区)→4,272円
岡三証券→4,404円
明治安田生命→4,404円
ゆうちょ銀行(ゆうちょAプラン)→4,440円
ゆうちょ銀行(ゆうちょBプラン)→4,464円
三菱東京UFJ銀行(加入者)→4,536円
日本生命→4,656円
日興年金コンサルティング→5,040円

以上のようになりますが、上位の方を見ると「運用指図者」に関するものが、多い事に気が付きます。

注:運用指図者とは確定拠出年金(企業型)から脱退した後に、確定拠出年金(個人型)の加入資格(2月26日のブログを参照)を満たせなかったなどの理由で、掛金を拠出できず、ただ資産の運用だけを行う者になります。

運用指図者は掛金を拠出できないので、運営管理手数料(口座管理手数料)を安くして、利用しやすいようにしたのだと想像しますが、10月24日のブログに記載しましたように厚生労働省は、確定拠出年金(個人型)の加入資格を、拡充しようとしております。

もしこれが実現すれば運用指図者は減り、また新たに確定拠出年金(個人型)を始める方が増えるかもしれませんが、そうなると次のような掛金の経理処理(仕訳、勘定科目など)と、税務についての知識が必要になってくると思うのです。

■確定拠出年金(企業型)
企業型年金規約に定めがある場合には、平成24年(2012年)1月から、マッチング拠出が可能になりましたが、これは事業主の掛金の拠出に上乗せして、従業員も掛金を拠出できる制度になります。

このマッチング拠出を実施している場合、従業員に給与(300,000円)を支払う際、社会保険の保険料と同じように、掛金の金額(5,000円)を控除しますが、その仕訳は次のようになります。

【借方】                【貸方】
給与・報酬(費用の発生)    現金(資産の減少)
300,000円             295,000円
                    預り金(負債の増加)
                     5,000円

また事業主が負担する分(20,000円)と併せて、掛金を納付する際には、次のような仕訳を行ないますが、マッチング拠出を実施していなければ、預り金の部分は不要になります。

【借方】               【貸方】
預り金(負債の減少)      現金(資産の減少)
5,000円              25,000円
退職給付費用(費用の発生)
20,000円

なおマッチング拠出で従業員が拠出した掛金の、1年(1月〜12月)分の合計は、年末調整や確定申告の際に、小規模企業共済等掛金控除(12月1日のブログを参照)として、その従業員の所得から控除します。

■確定拠出年金(個人型)
確定拠出年金(個人型)の加入者には、国民年金に加入している「第1号加入者」と、厚生年金保険に加入している「第2号加入者」がおります。

このうちの第2号加入者の掛金は原則として、第2号加入者が勤務する事業所を経由して納付するので、確定拠出年金(企業型)と同じように、従業員に給与(300,000円)を支払う際には、その金額(5,000円)を次のように控除します。

【借方】                【貸方】
給与・報酬(費用の発生)    現金(資産の減少)
300,000円             295,000円
                    預り金(負債の増加)
                     5,000円

ただ確定拠出年金(個人型)には、事業主が負担する分がなく、従業員の代わりに納付しているだけなので、掛金を納付する際には次のように、退職給付費用という勘定科目はありません。

【借方】                【貸方】
預り金(負債の減少)       現金(資産の減少)
5,000円              5,000円

また第1号加入者の掛金は、本人の口座から直接引き落としされ、かつ小規模企業共済の掛金と同じように、必要経費にはなりませんので、個人事業主であったとしても、特に仕訳を行なう必要はありません。

注:第2号加入者であっても掛金を、本人の口座から直接引き落としされる事を選んだ場合には、第1号加入者と同じように、特に仕訳を行なう必要はありません。

なお第1号加入者か第2号加入者であるかを問わず、納付した掛金の1年(1月〜12月)分の合計は、年末調整や確定申告の際に、小規模企業共済等掛金控除として、その者の所得から控除します。

追記1:
確定拠出年金(個人型)の掛金を「借方:事業主貸、貸方:現金(預金)」で、仕訳するというサイトを見かけました。

これは個人の口座から負担すべきもの、つまり必要経費にならないものを、事業用の口座から支払ったという意味になります。

ですから確定拠出年金(個人型)の掛金を、個人の口座から支払ったのなら、このような仕訳は必要ありません。

また事業主貸を使えるのは個人事業だけであり、法人では使えない勘定科目になります。

追記2:
法改正により「従業員数が100人以下」などの条件を満たす中小企業であれば、従業員が確定拠出年金(個人型)の掛金を拠出する際に、事業主が上乗せして掛金を拠出できるようになります。

これは「小規模事業主掛金納付制度」と呼ばれ、公布日(2016年6月3日)から2年以内の、政令で定める日に実施されます。

この小規模事業主掛金の仕訳は、上記の確定拠出年金(企業型)の掛金と同じように、「退職給付費用」で良いのではないかと思うのです。
posted by FPきむ at 20:02 | 確定拠出年金で自分年金を作る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする