2022年10月02日

年金額が少ない事実に愕然としても、老後資金0円から抜け出せない悲劇

年金に関する情報を入手するため、ニュースサイトの記事などを読んでいると、ある現象に気が付きます。

それは記事のタイトルに、悲劇と付いたものが非常に多い事ですが、例えば次のようになります。

・低年金の高齢者を襲う悲劇
・独身年金10万円の悲劇
・「年金分割」しても月額10万円の悲劇
・意外に多い「企業年金もらい忘れ」で大損の悲劇
・月額36万円のゆとり生活で老後破綻の悲劇

また愕然というタイトルが付いた記事も、非常に多いという印象がありますが、例えば次のようになります。

・ねんきん定期便、開いて愕然!「年金がたったの月10万円」
・知らずに愕然、知っておきたい伴侶を失った後の年金支給額
・年金受給額に愕然、共働きと片働きで「1680万円」もの格差

このように記事のタイトルに対して、悲劇や愕然といった恐怖系のキーワードが付いていると、読者の不安が煽られるため、記事が読まれやすくなるのだと思います。

新型コロナの報道の際には、不安を煽るテレビの姿勢が問題になりましたが、年金に関する記事も同じ事をやっているようです。

ただ記事の中身を読んでみると、原則65歳から支給される老齢年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金)の平均額や、65歳以降の生活費の平均額などを紹介している場合が多く、決して不安を煽っていないのです。

タイトルで不安を煽っているのに中身が普通だと、その記事に対する興味を失ってしまうのです。

また老後の収入や支出には個人差があるため、あまり平均で考えない方が良いと思います。

老後の主な収入となる老齢年金については、ねんきん定期便(原則として誕生月に送付される)などを見てみると、各人の具体的な金額がわかります。

少し古い調査になりますが、男女600名を対象にして実施した、老後資金、4割以上は公的年金・2割は預貯金やタンス預金のみ!「年金は65歳から」を3割は知らない!年金制度に関するアンケート調査というものがあります。

この中に記載されている、「ねんきん定期便をチェックしていますか」という質問に対する回答を見てみると、次のような結果になっております。

はい:59.0%
いいえ:28.0%
ねんきん定期便を知らない:13.0%

調査対象者の59%は「はい」を選んでいるので、約6割の方はねんきん定期便の中身を、きちんとチェックしているようです。

50歳以上60歳未満の方に送付されている、ねんきん定期便の中身を見てみると、現在の加入条件が60歳まで継続すると仮定した場合の、老齢年金の見込額が記載してあります。

一方で50歳未満の方に送付されている、ねんきん定期便の中身を見てみると、これまでの加入実績(公的年金に加入した月数、納付した公的年金の保険料)に応じた、老齢年金の金額が記載してあります。

いずれに該当する場合であっても、ねんきん定期便をチェックした方の多くは、年金額の少なさに愕然とするはずです。

また愕然とした後には、「老後資金を準備しないと大変な事になるぞ!」というような考えが、頭に中に浮かんでくると思います。

フィデリティ・インスティテュート退職・投資教育研究所は、20〜50代の会社員1万人に、「あなたは退職後の生活のための資産(退職準備額)をいくら保有していますか」という質問を、定期的に実施しております。

退職準備額と老後資金は同じだと思うので、これを見ると一般的な会社員の老後資金の準備状況が、ある程度は把握できるはずです。

具体的な結果については、新たな資産形成の流れ 〜2000万円問題の功罪とコロナ禍の影響〜を見るとわかりますが、老後資金が0円と回答した方は、次のように推移しているのです。

平成22年(2010年):44.3%
平成25年(2013年):40.3%
平成26年(2014年):40.8%
平成27年(2015年):40.8%
平成28年(2016年):39.7%
平成30年(2018年):40.1%
令和元年(2019年):40.2%
令和2年(2020年):36.7%

直近に行われた調査では、 わずかながら数字が改善しているため、老後資金の準備が進んでいるように見えます。

ただ新型コロナの感染拡大が始まった頃に支給された、特別定額給付金(一人につき10万円)の影響によって、たまたま良い結果になった可能性があるのです。

いずれにしろ年金額が少なくて、愕然とする場合が多いのに、老後資金0円から抜け出せない方が、こんなにも沢山いるというのは、一種の悲劇ではないかと思います。
posted by FPきむ at 20:21 | 年金について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年09月04日

年金の記事は「生活保護を批判する人」と「安楽死を望む人」の溜まり場

年金の情報を入手するために、YAHOO!JAPANニュースの年金に関する記事を読んでいると、かなりの高い確率で見かけるものがあります。

そのひとつは生活保護という制度や、生活保護を受けている人々を、熱心に批判するコメントです。

記事の中に生活保護の話が、まったく登場していないのに、生活保護を批判するコメントを書き込むのですから、「そういう話は他でやってくれ!」と、突っ込みたくなります。

また頻繁に登場するコメントの例と、それに対する私の思いを記載してみると、次のようになります。

(1)年金の保険料を未納にして生活保護を受けた方が良い
会社員などが加入する厚生年金保険の場合は、給与から保険料が天引きされているため、未納にする事はできません。

一方で自営業者やフリーランスなどが加入する国民年金は、自分で保険料を納付するため、未納にする事ができます。

ただ数年前から日本年金機構は、強制徴収を強化しているため、未納の放置が続けば財産や給与などを、差し押えられる可能性があるのです。

しかも自分のものだけでなく、世帯主や配偶者のものが、差し押えられる可能性があるため、未納を放置しておくのは非常に危険なのです。

どうしても国民年金の保険料を納付できないのなら、申請を行って全額免除などを受けた方が良いと思います。

(2)生活保護費を削減しろ
こういったコメントをする方は、自分は将来的にも生活保護を受けないと、思っているのかもしれません。

しかし人生は思い通りにいかないものだし、かつ誰の人生にも浮き沈みがあるため、何かのトラブルをきっかけにして、生活保護を受けるかもしれないのです。

また「生活保護費を削減しろ」という国民の声を受け、政府が生活保護費をどんどん削減していった場合、自分が生活保護を受けるようになった時に、困ってしまう可能性があります。

こういった理由があるため、「生活保護費を削減しろ」というコメントは、控えた方が良いと思うのです。

(3)年金より生活保護費の方が金額が多いのはおかしい
このコメントに関しては納得できるだけでなく、年金の保険料をきちんと納付した方が報われないのは、問題だと考えているのです。

ただ亡くなった安倍元総理が平成24年(2012年)に、民主党を破って政権に復帰してからは、生活保護費の削減が続くと共に、これに反対する裁判が全国各地で起こされているのです。

また日本は世界でトップクラスの借金大国のため、安倍元総理以外の総理についても、生活保護のための予算を、減らしたいと思っている可能性があります。

こういった点から考えると、年金より生活保護費の方が金額が多いという今の状況は、いずれ変わってくる可能性があるのです。

以上のようになりますが、生活保護を受けると保有する財産に対して、大幅な制限を受けます。

例えば公共交通機関の利用が著しく困難な地域に住んでいて、通勤や通院などに自動車が必要などの事情がないと、原則として自動車を保有する事はできません。

都市部に住んでいれば関係ないと思いますが、公共交通機関が衰退してきた地方に住んでいる方は、かなり不便だと思います。

それ以前に生活保護を受けるためには、扶養照会(3親等内の親族に対する、援助が可能かどうかの問い合わせ)というハードルがあり、これに抵抗を感じて手続きをしない方もいるのです。

生活保護に対して批判的なコメントをする方は、この制度のメリットばかりを見て、こういったデメリットに関しては、あまり見ていないような気がするのです。

またデメリットについても見ていたら、(1)のようなコメントは、なかなかできないと思うのです。

年金の記事には生活保護を批判するコメントだけでなく、安楽死の合法化を望むコメントも、けっこう書き込まれております。

例えば今後に年金が更に減額されたら、まともな老後を送れそうにないので、安楽死を合法化してくれというものです。

ただ安楽死が合法化されたとしても、不治の病や重度の身体障害などが条件になってくるはずなので、まともな老後を送れないくらいでは、安楽死できないと思います。

また夫婦別姓すら認めてくれない保守的な政府が、安楽死を合法化するとは思えないのです。

いずれにしろ安楽死を望むほど、老後の生活が苦しい方のために、生活保護という制度があるのですから、安楽死のコメントなんかしていないで、生活保護の手続きをした方が良いと思います。
posted by FPきむ at 20:59 | 年金について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする