2020年02月20日

「年金2,000万円問題」と「年金記録問題」には、セットで取り組もう

令和2年(2020年)2月4日のモーニングスターを読んでいたら、iDeCoの12月の新規加入者は前年同月比5%減、「年金2,000万円問題」加入者増は一巡と題した記事が掲載されておりましたが、一部を紹介すると次のようになります。

『国民年金基金連合会が2月3日に発表したiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)の業務状況によると、12月の新規加入者数は3万2,570人で加入者総数は146万5,487人になった。

月間新規加入者数は11月と比べて3,962人増えた。ただ、前年同月と比較すると1,883人(5.5%)減少した。「年金2,000万円問題」をきっかけとした加入者増は一巡したようだ。

12月の新規加入者の内訳は、第1号加入者が3,021人(前月3,222人)、第2号加入者は2万8,417人(前月2万4,167人)、第3号加入者は1,132人(前月1,219人)となった。

第2号加入者の中では、企業年金なしの新規加入者が1万5,962人(前月1万4,603人)、共済組合員(公務員)の新規加入者は8,026人(前月5,768人)となった。

なお。iDeCoに事業主が掛金を上乗せする制度である「iDeCo+(イデコプラス)」の導入事業所数は1,131、対象従業員数は7,476人になった。

19年6月に国会等において「老後資金として2,000万円が不足する」問題が大きく取り上げられ、iDeCoの新規加入は7月以降11月までは5カ月連続で前年同月を上回っていたが、12月は前年同月の実績を割り込んだ。

加入資格別では第2号加入者(会社員と公務員)の中で、「企業年金なし」のみが、かろうじて前年同月の実績を上回っている状況だ。全般には関心が薄らいでいる状況が感じられる』

以上のようになりますが、夫が65歳以上、妻が60歳以上の夫婦のみの無職世帯は、収入と支出の差によって、平均で毎月約5万円の金融資産の取り崩しが発生しております。

そのため夫婦共に20年生きると約1,300万円、30年生きると約2,000万円の金融資産を、取り崩す必要があるのです。

このような内容が記載された金融庁の報告書が、令和元年(2019年)6月頃に話題になったため、翌月に開催された参議院選挙の、争点のひとつになりました。

また「年金2,000万円問題(老後2,000万円問題、老後資金2,000万円不足問題)」として、マスコミによく取り上げられるようになりました。

冒頭で紹介した記事によると、金融庁の報告書が話題になった翌月から、iDeCo(個人型の確定拠出年金)の新規加入者数は、前年同月を上回る勢いで増えていったのです。

しかし12月になると新規加入者数は、前年同月比で減少に転じたので、「年金2,000万円問題」の影響による新規加入者数の増加は、わずか半年で失速したのです。

最近はこの問題を取り上げるマスコミを、まったく見かけないので、このような結果になったのは、やむを得ないと思います。

ただ政府から何かしらの解決策が打ち出された訳ではないので、老後に2,000万円くらいのお金が必要になる状況は、何も変わっていないのです。

ですから年に1回くらいは、金融庁の報告書が話題になった時と同じような、国民が老後に対して危機感を持つ状況を作り出して、iDeCoなどの新規加入者数を、継続的に増やしていく必要があると思うのです。

ところで様々な解決策が打ち出されたけれども、未だに解決していない問題があり、それは平成19年(2007年)に発覚した、「年金記録問題(宙に浮いた年金記録問題)」になります。

これは誰のものかが判別できない、身元不明の年金記録が、社会保険庁(現在は日本年金機構)のコンピューターの中に、5,095万件もあったという問題です。

最後の記録解明とされていた、平成22年(2010年)から平成25年(2013年)までの、集中作業期間が終わった後に、日本年金機構から報告書が発表されました。

これによると5,095万件のうち、解明できたのは2,983万件、また解明できなかったのは2,112万件だったそうです。

つまり身元不明の年金記録の4割くらいは、まだ誰のものかが判別できていないのです。

それにもかかわらず年金記録問題が発生した事が、世の中から忘れ去られていくのは、とても残念な事だと思います。

また年金記録問題が世の中から忘れ去られると、自分の年金記録に関心を持たない方が、以前より増えていく可能性があります。

普段は自分の年金記録に関心を持たない方でも、誕生月(1日生まれは誕生月の前月)に、ねんきん定期便が届いた時くらいは、しっかりと中身を確認しておきたいところです。

ねんきん定期便の中身をしっかりと確認すると、多くの方は受給できる年金額が想像より少なくて、老後に対して危機感を覚えると思います。

それによりiDeCo、つみたてNISA、個人年金保険などが気になってきて、金融機関に資料請求をしたり、セミナーに参加したりするかもしれません。

このような状態になった方は、「年金2,000万円問題」と「年金記録問題」に対して、セットで取り組む事になるため、今までよりも老後の不安が減ると思うのです。
posted by FPきむ at 20:49 | 年金について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月01日

地方自治体のウェブサイトを見るのも、老後対策のひとつだと考える理由

令和2年(2020年)1月25日のマネージンを読んでいたら、老後の備え「対策していない」57.6%、ビジネスパーソンの17.4%が貯蓄ゼロという結果もと題した記事が掲載されておりましたが、一部を紹介すると次のようになります。

『セコム株式会社は、20歳以上の男女500名を対象に「老後の不安に関する意識調査」を実施し、その結果を2019年12月18日に発表した。調査期間は2019年10月25日から27日。

調査対象者のうち、老後に不安を感じている436名に、不安に感じている内容を具体的に聞くと、「病気やケガなどの健康不安」72.2%、「経済的な負担に関する不安」71.8%、「介護に関する不安」52.8%が上位にランクインした。

また、最も不安を感じることを選んでもらうと「経済的な負担に関する不安」が47.0%で最も多くなり、「病気やケガなどの健康不安」32.8%や「介護に関する不安」6.4%を上回った。

続いて老後に備えた対策の有無を聞くと、半数を超える57.6%が「対策をしていない」と回答。

対策をしていると回答した212名にその内容を聞くと、「貯蓄する」と「定期的な健康診断や人間ドックを受診する」が54.2%で最も多かった。

対策をしていないと回答した288名にその理由を聞くと、「具体的にどのような対策をすればよいかわからない」が57.6%で最も多く、「費用がかかるから」26.4%と「社会情勢がどうなっているかわからない」22.2%が続いた』

以上のようになりますが、この調査の存在を知ったのは、今年に入ってからになります。

しかし平成24年(2012年)から、定期的に実施されているため、意外に歴史のある調査のようです。

また調査結果の詳細が知りたいという方は、「老後の不安に関する意識調査」を参照して下さい。

これを読んでいて最初に気になったのは、87.2%の方が「老後の不安を感じる」と回答しているのに、57.6%の方が老後対策を、何もしていないと回答している点です。

なお何もしていないと回答した方の割合は、平成29年(2017年)は62.4%、平成30年(2018年)は59.8%でした。

老後対策を何もしていない方は、相変わらず多いのですが、過去のデータと比較してみると、少しずつ減少しているため、老後対策が進んでいるとわかります。

ただ平成30年(2018年)と、令和元年(2019年)の調査の間には、多くの人々を不安な気持ちにした、「老後2,000万円不足問題」が発生しているため、もっと減少しても良かったと思うのです。

一方で老後対策をしていると回答した方が、どのような事をやっているのかを調べてみると、次のような調査結果が見つかりました。

・定期的に健康診断や人間ドックを受診する:54.2%
・貯蓄する:54.2%
・食べ物に気をつける(健康食品を利用する等):53.3%
・身体を鍛える(スポーツジムに通う等):46.2%
・家族と老後について話をする:23.1%
・脳を鍛える:18.9%
・GPS機能などで居場所がわかるサービスを利用する:6.1%
・ホームセキュリティを利用する:3.3%
・その他:2.4%

以上のようになりますが、このような老後対策に関する選択肢を、同様の調査と比較してみると、突っ込みどころが多いように感じます。

例えば老後資金を貯める事を、「貯蓄する」と一括りにしておりますが、実際はその貯蓄方法に、かなりの違いがあると思います。

おそらく定期預金などの預貯金で貯蓄する方が、もっとも多いと思うのですが、個人年金保険、iDeCo(個人型の確定拠出年金)、一般NISA、つみたてNISAなどで貯蓄する方もいるはずです。

ですから「貯蓄する」と一括りにするのではなく、より具体的な貯蓄方法を、選択肢に加えて欲しいと思いました。

更に突っ込みたくなったのは、「GPS機能などで居場所がわかるサービスを利用する」や「ホームセキュリティを利用する」を、選択肢の中に加えている点です。

その理由としては、今回の調査を実施しているセコムさんが、さり気なく自社のサービスを紹介しているからです。

こういった事をやっていると、調査全体の信憑性が薄れてしまうと思うので、残念な気持ちになりました。

ただお金や健康に関する事以外の老後対策を、選択肢の中に加えた点は、評価できると思いました。

そこでお金や健康とは、関係がないように思える老後対策を考えてみると、そのひとつは地方自治体(都道府県、市区町村)の、ウェブサイトを見る事になります。

その理由としては、地方自治体のウェブサイトを見ると、例えば介護が必要な状態になって、住宅をリフォームした時に、地方自治体から支給される補助金の情報などが掲載されているからです。

もちろん介護が必要になった時だけでなく、出産した時、失業した時、収入が低下した時、病気やケガになった時、災害に遭った時、死亡した時などに支給される補助金(助成金)の情報もあります。

こういった情報は地方自治体が、積極的に教えてくれる訳ではないので、自主的に地方自治体のウェブサイトをチェックし、要件に該当しそうなものがあったら、漏れなく請求したいところです。
posted by FPきむ at 20:25 | 年金について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする