2020年05月20日

特別定額給付金の給付申請を急ぐのは、貯蓄ゼロ世帯と老後破産の予備群

令和2年(2020年)5月16日の京都新聞を読んでいたら、「年寄りは後回しか」10万円給付の窓口混乱 業務時間短縮でマイナンバー取得に手間もと題した記事が掲載されておりましたが、一部を紹介すると次のようになります。

『新型コロナウイルス感染による区役所などの窓口閉鎖を避けるため、京都市は窓口業務を11日から最大3時間短縮している。

10万円の特別定額給付金の手続きを進めようと、業務時間の変更を知らずに来庁する市民も多く、申請書の郵送を待つよう勧める区役所も出始めた』

『10万円給付で、市はカードを使ったオンライン申請を15日から始めたが、自宅に郵送される書類を待っていると、申請は6月上旬にずれ込むという。

開庁時間の短縮が「密」に拍車を掛け、区役所が感染拡大の場になる恐れもある。

市は、カード交付と暗証番号を忘れた場合の設定変更について、即日での手続きを原則中止。窓口では受け付けだけを行い、カードを後日郵送する方策をとる。

全国でカードの手続きが殺到し、システムに支障が出るケースがあったためだ。さらに右京区はカードの取得希望者に交付まで「少なくとも1カ月半〜2カ月かかる」と書いた説明文を配布。

職員が「給付金の郵便申請までお待ちいただいた方がいい」と口頭で勧めている。中にはカードがないと支給されないと誤解する人もいる、という。

「感染が怖いから本当は来たくなかった」。12日、同区に来庁した80代の男性は職員の説明を聞いてカード取得を断念。

「開庁時間短縮は仕方ないが、カードの有無で支給時期に差が出るから混乱する。ネットに詳しくない年寄りは後回しということか」と漏らした』

以上のようになりますが、1人10万円の「特別定額給付金」を給付申請するために、次のような方が窓口に殺到しているというのは、京都市だけの話ではないようです。

・マイナンバーカードを新たに交付申請する方
・マイナンバーカードの暗証番号を忘れた方
・暗証番号の入力間違いによって発生した、ロックの解除を求める方

また窓口の閉鎖を避けるために、窓口業務の時間を短縮しているのも、京都市だけの話ではないようです。

ただそれが3密(密閉、密集、密接)に拍車を掛けるという、残念な結果になっているのです。

特別定額給付金の給付申請は郵送であれば、マイナンバーカードを使う必要はありません。

それなのにマイナンバーカードに関する、上記のような3つの理由で、市区町村の窓口に行くのは、マイナンバーカードを使って電子申請した方が、郵送で申請するより、特別定額給付金を早く受け取るからのようです。

ただ早く受け取るといっても、おそらく数週間程度であり、1ヶ月以上は差が付かないと推測されます。

ですから新型コロナウイルスに感染する危険を冒して、市区町村の窓口に行く必要はないと思うのです。

いったいどのような方が、こういった行為をしているのかについて考えていたら、近年問題になりつつある、「貯蓄ゼロ世帯」を思い出しました。

令和元年(2019年)11月に金融広報中央委員会が発表した、「令和元年(2019年) 家計の金融行動に関する世論調査」によると、金融資産非保有世帯の割合は、単身世帯は38.0%、二人以上世帯は23.6%でした。

この金融資産非保有世帯とは、「運用の為または将来に備えて蓄えている部分」がゼロの世帯を示すため、日常生活のために使う預貯金は持っているのです。

そのため厳密な意味では、「金融資産非保有世帯=貯蓄ゼロ世帯」ではありません。

ただ金融資産非保有世帯は、貯蓄ゼロ世帯と同じように、将来に備えて蓄えている部分がないため、収入がなくなったり、減ったりしたら、すぐに家計が行き詰ってしまうのです。

こういった状態の方が、新型コロナウイルスに感染する危険を冒して、市区町村の窓口に行っているのではないでしょうか?

なお記事の最後の方を読むと、80代の男性がマイナンバーカードの交付申請のために、市区町村の窓口を訪れている事がわかりますが、これも不思議な話だと思います。

その理由として年金受給者の方は、新型コロナウイルスの影響で収入が減る事はないため、給与をもらっている現役世代より、市区町村の窓口に慌てて行く必要性は薄いからです。

このように収入が減っていないのに、特別定額給付金の受給を急ぐのは、もともとギリギリの生活をしていたからだと思います。

もしこれが事実ならば、慌てて市区町村の窓口に行った80代の男性は、老後破産の予備群と考えられます。

新型コロナウイルスによって、日本社会の問題点が浮き彫りになりましたが、貯蓄ゼロ世帯と老後破産も、その中に含まれるのではないかと思うのです。
posted by FPきむ at 20:05 | 年金について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする