令和4年(2022年)1月21日の朝日新聞を読んでいたら、2022年度の年金支給額を0.4%引き下げ 2年連続減と題した記事が掲載されておりましたが、一部を紹介すると次のようになります。
『高齢になった時にもらう国の年金支給額が4月から、今より0・4%下がることになった。厚生労働省が21日発表した。
年金の保険料を納める現役世代の賃金が減ったためで、引き下げは2年連続となる。4月の見直しを過去10年でみると2014年(0・7%減)に次ぐ引き下げ幅となった。
支給額は人によって違う。65歳の人が新たに受け取り始める例(月額)でみると、自営業や専業主婦が入る国民年金(1人分)は、今よりも259円減って6万4816円に。
会社員らが入る厚生年金(2人分。40年間働いた夫と専業主婦というモデル世帯)は、今より903円減って21万9593円になる。6月に受け取る年金(4、5月分)から変わる。
年金支給額は物価や現役世代の賃金の動きに合わせて毎年増減する。物価(昨年)は0・2%減、賃金(18〜20年度平均の動向などを反映)は0・4%減だった。
今回のように、物価よりも賃金の変動が下回る場合は、賃金の動きに合わせて年金支給額も変える仕組みになっている。
一方、将来にわたって年金制度を維持するため、物価と賃金が増えた際に高齢化などの影響をみて、年金額を差し引く仕組み(マクロ経済スライド)は、物価も賃金もマイナスだったため、2年連続で使われなかった。
差し引かれていない分は計0・3%で、将来この仕組みが使われるときにまとめて引き下げることになる。このため、将来物価が増えたとしても、年金額も増えるとは限らない』
以上のようになりますが、日銀が令和4年(2022年)2月10日に発表した、1月の企業物価指数(企業間で売買される商品の価格変動を示す指標)は、前年同月比で8.6%も上昇しました。
このように上昇率が5%を超えるのは8ヶ月連続であり、1970年代のオイルショック以来の長さになるそうです。
また企業は企業物価指数の上昇を、商品の価格に転嫁する方向に動き始めたので、当面は商品の値上げが続いていきそうな感じがします。
こういった中で年金支給額が、0.4%引き下げられるのですから、年金受給者にとっては痛手になると思います。
ところで令和3年(2021年)12月20日の日本経済新聞に、9月末の家計金融資産、前年比5.7%増の1999.8兆円 過去最高 日銀統計と題した記事が掲載されておりましたが、一部を紹介すると次のようになります。
『日銀が20日発表した7〜9月期の資金循環統計(速報)によると、家計が保有する金融資産の残高は9月末時点で前年比5.7%増の1999.8兆円だった。
残高は過去最高となった。民間企業が保有する金融資産のうち、現金・預金の残高は4.4%増の321兆円だった』
以上のようになりますが、年金支給額が引き下げられると、高齢者の節約志向が更に強まる可能性があります。
これによりお金を使わなくなれば、家計が保有する金融資産の残高、特に預金の残高が、再び過去最高を更新するかもしれません。
預金が増えるのは良い事ですが、現在のように物価が上昇している局面では、悪い面もあると思うのです。
そのように考える理由として、物価上昇により物の価値が上がっていくと、預金の実質的な価値が目減りするからです。
例えるなら預金をまったく使っていないのに、いつの間にか残高が減っているような感じです。
もちろん物価上昇と同じくらいに、預金の金利が上がれば、この実質的な価値は目減りしませんが、現在のような低金利が当たり前の時代に、そのような金利上昇を期待するのは、かなり難しいような気がします。
ですから資産運用が必要になってくるのですが、高齢者の方が元本割れするような資産運用をするのは、望ましくないと思うのです。
そこで満期時の元本の支払いや、半年毎の利子の支払いを、国が責任をもって実施する、個人向け国債を購入するのです。
この個人向け国債を購入する時は、「固定5」(固定金利型5年満期)や「固定10」(固定金利型10年満期)より、「変動10」(変動金利型10年満期)を選んだ方が良いと思います。
その理由として「変動10」は実勢金利の動きに応じて、半年毎に利率が変動する変動金利タイプになるため、物価上昇が続く局面では、金利が半年毎に上がる可能性があるからです。
また変動10には年0.05%(税引き前)という、最低金利保証があるため、これ以上は金利が下がらないというのも、メリットではないかと思います。