2015年05月28日

経済財政諮問会議が収入の多い高齢者の基礎年金を減額する案を検討へ



平成27年(2015年)5月19日の朝日新聞を見ていたら、収入多い高齢者の年金、減額検討へ 経済財政諮問会議と題した、次のような記事が記載されておりました。

『政府の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)は、収入が多い高齢者の年金を減らす仕組みを検討する。

学者や財界出身の民間議員が19日の諮問会議で提言し、6月末にまとめる政府の財政健全化計画に盛り込ませたい考えだ。

ただ負担増となる高齢者からの反発は避けられず、難航が予想される。

民間議員が検討している提言案によると、一定の収入を超える高齢者については、税金で半分が賄われている基礎年金(満額で月約6万5千円)の一部を給付しないようにするべきだという。

注:基礎年金とは老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金を示しており、いわゆる1階部分の年金になります。

年金を支える国の負担を減らして、主に税金を支払っている現役世代の将来負担を軽くする狙いだ。

高齢化で拡大が見込まれる医療費を抑えるため、いまは2年に1回の薬価の改定を毎年行うことも盛り込んだ。

薬価は、発売から時間がたつにつれて下がるため、改定回数を増やせば、それだけ患者の窓口負担が減ることにもつながる』

以上のようになりますが、公的年金の保険料と保険給付のバランスを取るため、5年に一度のペースで、年金財政の検証が行われております。

昨年はその5年に一度の年になり、厚生労働省は平成26年(2014年)6月3日に、年金財政の見通しを公表しました。

これについては6月4日のブログに記載しましたが、高成長ケースにおける、モデル世帯の老齢年金の給付水準は、平成16年(2004年)に目標として設定された、現役世代の平均的な手取り賃金の50%を維持できるとしております。

つまり現状維持でも公的年金を継続でき、年金の減額などの改革を行なわなくても、大丈夫だとしているのです。

それにもかかわらず経済財政諮問会議が、収入の多い高齢者の基礎年金を減額する案を検討しているという事で、あの年金財政の検証は何だったのか?と、思わず突っ込みたくなりました。

それだったらもっと悲観的な年金財政の見通しを公表して、年金の減額などの改革を行なわないと、公的年金を継続できないと認めれば良かったと思うのですが、それを認めてしまったら別な意味で問題があるのです。

その理由として平成16年(2004年)に、マクロ経済スライド(12月10日のブログを参照)の導入をはじめとする、公的年金の大改革が行なわれましたが、その際に坂口元厚生労働大臣は、こういった改革の実施により、「100年間は年金財政を安定化できる」と説明していたからです。

つまり年金の減額などの改革を行なわないと、公的年金を継続できないと認める事は、平成16年(2004年)の大改革を否定するものであり、また100年間は大丈夫と言っていたものが、10年程度しか持たなかったとなれば、国民の信頼を失ってしまいます。

しかし継続できないとわかっているに、何もしないで放置しておけば、更に国民の信頼を失ってしまいます。

ですから何らかの改革は必要になると思うのですが、収入の多い高齢者の基礎年金を減額するという案が検討されている経済財政諮問会議といえば、平成26年(2014年)3月19日に安倍総理が、配偶者控除の縮小や廃止を検討するよう指示した会議になります。

これはかなりの波紋を呼び、新聞やテレビなどで頻繁に特集されましたが、配偶者控除の縮小や廃止は、まだ何も決定されておりません。

収入の多い高齢者の基礎年金を減額するという案も、配偶者控除の縮小や廃止と同じようにどんどん先延ばしされ、いつの間にか忘れ去られてしまいそうな気もします。

ただ社会保障亡国論(著:鈴木亘)という本に、次のように記載されている事からわかるように、先延ばししている間に公的年金の積立金が、枯渇してしまう危険性があります。

『筆者の試算では、最近の経済状況好転やアベノミクスによる株高を織り込んだとしても、このままでは厚生年金は2038年度、国民年金は2040年度に積立金が枯渇すると見込まれます…(中略)…

日本の年金財政は運用の如何にかかわらず、保険料収入よりも年金支出の方がはるかに多いという構造的な問題を抱えています』

つまり先延ばししたくても、あまり先延ばしできない事情がありますので、収入の多い方は最悪の場合、基礎年金の半分(税金で賄われている分)が減額されてしまうと考え、早いうちからそれを補うための努力が必要になると思うのです。
posted by FPきむ at 20:55 | 年金裁判(調停)の記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年07月10日

年金裁判(調停)の記録(25)

年金記録確認地方第三者委員会より連絡があってから数週間後に、再度電話で連絡がありましたが、X社は年金記録確認地方第三者委員会の調査に全く協力するつもりはないようで、審議に必要な資料が揃わず困っているという話でした。

そこで年金記録確認地方第三者委員会としては、私から提出された資料のみで審議を行うという事になったそうで、裁判所に提出した訴状のコピーと、調停調書のコピーを送付して欲しいという事でした。

これを承諾して年金記録確認地方第三者委員会から、送付用の封筒が届くのを待ちましたが、封筒が届くとすぐに訴状と、調停調書のコピーを返信しました。

年金記録確認地方第三者委員会からの返事を待っている間に、X社で同僚だった方と連絡をする機会がありましたが、その方は「賞与支払届」が3回も提出されていなかった上に、3回とも保険料の控除記録が確認できたようです。

3回も提出されていなかったという事は、意図的に提出しなかったとしか思えませんが、これは業務上横領に該当するのではないかと、個人的には考えております。

4月2日のブログにも記載しましたが、平成15年4月以降に支払われる賞与は、年金の支給額に反映される事になっております。

ですから事業主は厚生年金保険の被保険者である従業員に、賞与を支払った際には、賞与の金額や支払日を記載した賞与支払届を、年金事務所に提出しなければならないのです。

また健康保険に関しても平成15年4月以降は、賞与から保険料が控除されるようになりましたので、協会けんぽや健康保険組合に賞与支払届を提出しなければなりませんが、こちらの方は事業主が提出を忘れても従業員に対して、特にマイナスの影響がある訳ではありません。

なお実際に支払われた賞与額(税引き前の総支給額)から、1,000円未満を切り捨てた額を「標準賞与額」と言いますが、この標準賞与額には次のような上限があります。

【健康保険】
毎年4月1日から翌日3月31日までの累計額で573万円

【厚生年金保険】
1ヶ月あたり150万円(同じ月に2回以上賞与が支払われた場合は累計して150万円)

この標準賞与額に「保険料率」をかけて保険料を算出しますが、厚生年金保険の標準賞与額の上限は、1ヶ月あたり150万円になりますので、同月内に150万円を超えていくら賞与が支払われても、保険料は150万円の場合と同じになります。

これを応用して月給の割合を少なくし、賞与の割合を大きくする事により、社会保険料の支払額の節約法を提案している本もあります。

しかし支払う保険料が少なくなるという事は老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金といった年金の支給額も、少なくなってしまう点に注意が必要です。

平成23年6月に年金記録確認地方第三者委員会から封筒が届きましたが、平成18年11月に支払われた賞与に関しては年金記録の訂正が認められず、平成19年8月に支払われた賞与に関しては年金記録の訂正が認められました。

この理由については4月18日のブログに記載しましたが、平成18年11月に支払われた賞与は、厚生年金保険の保険料の控除記録が、確認できなかったからだと思います。

一方平成19年8月に支払われた賞与は、厚生年金保険の保険料の控除記録が、確認できたからだと思います。

これは調停の際に入手した「賃金台帳」を見た際に、気付いていた事だったので、年金記録確認地方第三者委員会の審議結果に驚きはなく、再申立てはしませんでした。

その後X社からは何の連絡もなく、年金記録の訂正が認められた部分の保険料を支払ったのか、全くわかりませんが、平成24年1月に届いた「ねんきん定期便」で、年金記録が訂正されているのを確認する事ができました。

X社のように悪質な会社は珍しいと思いますが、年金裁判(調停)の記録が、年金記録の問題で悩む方に対して、何かしらのヒントを与える事ができたら幸いです。
年金裁判(調停)の記録(24)
posted by FPきむ at 22:09 | 年金裁判(調停)の記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする