2018年01月23日

平成30年(2018年)から実施される年金関連の法改正とは

平成30年(2018年)から実施される予定の年金関連の法改正は、主に次のようなものがあります。

■1月からの改正点
確定拠出年金(個人型)は属性(会社員、自営業、公務員、専業主婦など)ごとに、拠出できる掛金に上限が定められております。

この上限は「月単位」で定められていたのですが、1月からは「年単位」に変更されます。

ですから例えば上限が年間で276,000円の場合には、毎月15,000円を拠出し、7月と12月のボーナス月には48,000円ずつ上乗せして、63,000円を拠出するというように、ボーナス併用払いが可能になるのです

また12月に276,000円を一括して拠出するというように、年間額のまとめ払いも可能になります。

この方法だと掛金を拠出するのが年1回になるため、掛金を拠出するたびに国民年金基金連合会に支払う手数料を節約できます。

その一方で掛金を運用する金融商品として、株式投資信託を選んだ場合には、12月に株価が高くなっていると、高値掴み(「値段の高いところで買ってしまう」という意味)をして、後日に手数料の節約分を上回る損失が発生する可能性があるのです。

ですから掛金を一括して拠出するなら、例えば定期預金のような価格変動がないもので、掛金を運用した方が良いのかもしれません。

また公的年金の分野ではマイナンバーの活用により、日本年金機構と行政機関との情報連携が可能になります。

これにより年金事務所での、年金の受給開始の申請といった手続きで、課税証明書などが不要になり、また市区町村役場での生活保護の申請などで、年金関連の書類が不要になるのです。

■4月からの改正点
野党やマスコミから「年金カット法案」と批判された法律の一部が、4月から実施されます。

例えば68歳到達年度以降の「既裁定者」の場合は原則的に、購買力を維持する観点から、次のように物価の変動率によって、新年度から年金額を改定します。

・新年度からの年金額=昨年度の年金額×物価の変動率

ただ平成16年(2004年)からは、マクロ経済スライドが導入されたので、次のように物価の変動率から、少子高齢化の進展状況などを元に算出したスライド調整率を、控除するようになったのです。

・新年度からの年金額=昨年度の年金額×(物価の変動率−スライド調整率)

しかし次の例のように物価の変動率がプラスであっても、スライド調整率を控除するとマイナスになる年度は、昨年度の年金額を0.5%減額するのではなく、昨年度の年金額を据え置きするため、年金額の改定はなしになります。

・物価の変動率(0.4%)−スライド調整率(0.9%)=−0.5%

また次の例のように物価の変動率がマイナスで、そこからスライド調整率を控除すると、更にマイナス幅が大きくなる年度は、昨年度の年金額を1.1%減額するのではなく、物価の変動率である0.2%だけ、年金額を減額するのです。

・物価の変動率(−0.2%)−スライド調整率(0.9%)=−1.1%

そうなるとこれらの年度については、マクロ経済スライドの全部または一部が発動されず、マクロ経済スライドが発動されなかった分だけ、年金財政が悪化していきます。

そのため4月からはマクロ経済スライドの適用を強化し、物価の上昇率が大きかった年度に、過去に控除できなかったスライド調整率を、一緒に控除できるようにしたのです。

ただ平成30年(2018年)度については、その年度分のスライド調整率でさえも、控除できない見込みになるようです。

■9月からの改正点
国民年金の保険料は原則として各納付期月の翌月の末日、例えば5月分の保険料なら6月末日までに、納付しなければなりません。

ただ国民年金の保険料を徴収する権利の時効は、各納付期月の翌月の末日から起算して2年のため、この期間内であればまだ納付できます。

この期間内にも納付しなかった場合には、未納期間と確定しますので、もう納付できなくなります。

しかし現在は3年間の期間限定で、国民年金の保険料の後納制度が実施されているため、保険料を徴収する権利が時効を迎え、納付できなくなくなった保険料のうちの過去5年分を、遡って納付する事ができるのです。

この後納制度が9月いっぱいで終了する予定なので、未納期間がある方については、早めに納付する必要があります。

なお後納制度はもともと平成24年(2012年)10月から、平成27年(2015年)9月までの期間限定で、過去10年分の保険料を遡って納付できる制度として開始されました。

これが過去5年分に短縮され、平成27年(2015年)10月から平成30年(2018年)9月までの期間限定で、復活したという経緯があるため、今度は本当に終わると考えた方が良いのかもしれません。
posted by FPきむ at 20:15 | 年金の最新情報と法改正 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月02日

平成30年(2018年)4月からの公的年金は、2年ぶりに据え置きへ

平成29年(2017年)12月25日の時事通信を読んでいたら、来年度の年金支給額、据え置きへ=2年ぶり、賃金マイナス基調で−厚労省と題した、次のような記事が掲載されておりました。

『2018年度の公的年金の支給額が今年度と同水準で据え置かれる見通しであることが25日、厚生労働省への取材で分かった。

年金額改定の指標の一つである過去3年間の賃金がマイナス基調にあるためで、据え置きは2年ぶりとなる。政府の18年度予算案でも年金の改定率をゼロと見込んだ。

現在の支給額は、会社員らが加入する厚生年金を受け取る標準的な夫婦世帯で月22万1277円。自営業者らが対象の国民年金は、満額1人分で月6万4941円。17年度は支給額を0.1%引き下げている。

年金支給額は、毎年の物価上昇率と、過去3年間の賃金変動率の二つの指標に基づき改定している。

同省によると、物価は上昇しているが、過去3年分の賃金が平均でマイナスとなる見通し。この場合、年金支給額は据え置きとなる』

以上のようになりますが、老齢基礎年金や老齢厚生年金などの公的年金の支給額は、原則として毎年4月になると改定され、その金額が翌年の3月まで続きますので、年度単位で改定されているのです。

また公的年金の支給額を改定するルールは次のように、「新規裁定者」と「既裁定者」で変わってくるのです。

■67歳到達年度までの「新規裁定者」に該当する方
過去3年度における現役世代の賃金変動率の平均を算出して、賃金が上昇(下降)した分だけ、4月からの支給額を増額(減額)させます。

■68歳到達年度以降の「既裁定者」に該当する方
1月頃に総務省から発表される前年の全国消費者物価指数を元に、物価が上昇(下降)した分だけ、4月からの支給額を増額(減額)させます。

しかし賃金変動率がマイナス、物価変動率がプラスになった場合には、このルールは適用されず、新規裁定者と既裁定者の両者について、昨年度の支給額を据え置きするのです。

また物価の下降率が賃金の下降率より小さかった場合にも、このルールは適用されず、新規裁定者と既裁定者の両者について、物価の下降率に合わせて支給額を減額します。

平成30年(2018年)4月からの公的年金の支給額が、2年ぶりに据え置きになるのは、賃金変動率がマイナス、物価変動率がプラスという、前者のような状況になったからのようです。

ところで平成30年(2018年)4月からは、野党が「年金カット法案」と批判した年金制度改革法案の一部が実施される事になっており、それは「マクロ経済スライド」の強化です。

マクロ経済スライドとは賃金や物価の変動率から、少子高齢化の進展状況などを元に算出したスライド調整率を控除して、公的年金の支給額を減額する仕組みであり、年金財政の均衡を保つ事ができるまで、継続していく予定になっております。

例えば賃金や物価の変動率が1.3%で、スライド調整率が0.9%の年度の場合は次のように、公的年金の支給額は0.4%しか増額しません。

・賃金や物価の変動率(1.3%)−スライド調整率(0.9%)=0.4%

ただ次の例のように、スライド調整率を控除した後にマイナスになる年度の場合には、公的年金の支給額を0.5%減額するのではなく、昨年度の支給額を据え置きするので、スライド調整率(0.9%)のうちの0.5%は、消化できずに終わります。

・賃金や物価の変動率(0.4%)−スライド調整率(0.9%)=−0.5%

また次の例のように、賃金や物価の変動率がマイナスで、そこからスライド調整率を控除すると、更にマイナスになる年度の場合には、公的年金の支給額を0.2%だけ減額するので、スライド調整率(0.9%)のすべてが、消化できずに終わります。

・賃金や物価の変動率(−0.2%)−スライド調整率(0.9%)=−1.1%

そのため法改正により、マクロ経済スライドの適用を強化して、賃金や物価の上昇が大きく、賃金や物価の変動率からスライド調整率を控除した後に、マイナスにならない年度の場合には、このように消化できずに終わった分を、ついでに控除するのです。

ただ平成30年(2018年)度の公的年金の支給額は、上記のように据え置きになりますから、その年度分のスライド調整率でさえも、控除できない状況なのです。

そうなると消化できないスライド調整率が増えていくため、年金財政が均衡してマクロ経済スライドを止められる日は、先延ばしになってしまいました。
posted by FPきむ at 20:18 | 年金の最新情報と法改正 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする