2017年11月17日

会計検査院の調査により、約5億円の国民年金の保険料の未徴収が発覚へ

平成29年(2017年)11月10日の読売新聞を読んでいたら、年金保険料や延滞金、5億円未徴収…催促怠りと題した、次のような記事が掲載されておりました。

『日本年金機構が、国民年金保険料の滞納者に対する文書での催促や財産の差し押さえを怠り、保険料や延滞金計5億2810万円を徴収できていなかったことが、会計検査院の調べでわかった。

このうち計2億1558万円は、消滅時効(2年)の成立により、年金機構が徴収できる期限を過ぎていた。

国民年金には、6月末現在で自営業者や農家ら約1500万人が加入するが、2016年度の保険料の納付率は65%にとどまる。

年金機構は、保険料の負担能力がある滞納者に対し、督促状を送るなどして納付を求め、応じない場合には財産を差し押さえる強制徴収を行う。

また、督促状の指定期限までに保険料が納付されない場合は、延滞金を徴収する』

以上のようになりますが、日本年金機構は国民年金の保険料を納付しない方に対して、まずは「催告状」を送付します。

この催告状にはいくつかの種類があり、一般的には「催告状→特別催告状→最終催告状」という順番になっているようです。

また催告状が送付されても保険料を納付しない場合には、期限を指定して「督促状」を送付します。

そして督促状の期限内に保険料を納付しない場合には、給与、預貯金、車などの財産を差し押さえする、強制徴収を実施するのです。

なお督促状が送付された場合には、指定された期限の翌日から、完納または財産差押の日の前日までの期間の日数に応じ、年14.6%(期限の翌日から3ヶ月までは年7.3%)の延滞金を、保険料に上乗せして徴収するのです。

日本年金機構は平成26年(2014年)度から、強制徴収を強化する方針をとっており、その対象になる方は次のようになっております。

■平成26年(2014年)度〜
年間所得が400万円以上で、未納月数が13ヶ月以上

■平成27年(2015年)度〜
年間所得が400万円以上で、未納月数が7ヶ月以上

■平成28年(2016年)度〜
年間所得が350万円以上で、未納月数が7ヶ月以上

■平成29年(2017年)度〜
年間所得が300万円以上で、未納月数が13ヶ月以上

このように日本年金機構は強制徴収の対象者を、毎年度に渡って拡大しているにもかかわらず、冒頭の記事に記載されているように、保険料や延滞金を合計で5億2,810万円も、徴収できていなかった事になるのです。

しかもこのうちの2億1,558万円は、消滅時効(保険料の納付期限から2年)が成立しているため、日本年金機構は保険料や延滞金の徴収権がなくなっているのです。

注:国民年金の保険料は原則として、翌月の末日が納付期限になるため、例えば10月分の保険料は、11月31日までに納付しなければなりません。

なお国民年金の保険料を納付しない方に対して、上記の督促状を送付すると、進行中の時効がリセットされ、振り出しに戻ります。

ですから単純に納付期限から2年が経過すれば、保険料の徴収が終わるというものではないのですが、現実として2億1,558万円は、消滅時効が成立しているのです。

消滅時効が成立すると、その期間に関する保険料を納付する必要はなくなるので、逃げ得のように感じますが、個人的にはそう思いません。

その理由として基礎年金(老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金)の2分の1は、税金を財源にしているからです。

そのため20歳から60歳まで全額免除を受けて、保険料をまったく納付しなかったとしても、原則65歳から満額の2分の1の老齢基礎年金を受給できます。

また国民年金の保険料の滞納を続けて、老齢基礎年金を受給できなくなった場合、買い物のたびに徴収された消費税や、給与から控除された所得税などが、自分のところに返って来なくなります。

このように考えると逃げ得どころか、逃げ損ではないかと思うので、保険料を納付するだけの経済的な余裕がない方は、しっかりと免除(全額、4分の3、半額、4分の1)を受けて、少しでも多くの税金を取り戻したいところです。
posted by FPきむ at 20:47 | 年金の最新情報と法改正 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月02日

老後資金の準備を何もしていない方は、66.0%という調査結果が発表へ

平成29年(2017年)10月28日のマネージンを読んでいたら、老後資金、86.8%が「不安がある」一方で65歳からの年金受給を「知らない」約3割と題した記事が掲載されておりましたが、一部を紹介すると次のようになります。

『株式会社クラウドポートは9月14日、老後資金に関するアンケート調査結果を公表した。調査対象は20代から60歳以上の男女583名で、9月6日から8日にかけて実施された。

まず、老後資金に不安があるか聞いたところ、86.8%が「不安がある」と回答した。

そこで、老後資金に必要な金額についてどのくらい必要と思うか聞くと、最も多かったのは「3,001万円から5,000万円」の26.1%で、以下、「1,000万円から3,000万円」(18.9%)、「5,001万円から7,000万円」(13.6%)が続いた。

その一方で、25.9%の人が「わからない・イメージできない」と回答するなど、漠然としていて具体的なイメージができていない人も多かった。

老後資金のために準備していることがあるか聞くと、「ある」は34.0%で「ない」の66.0%を大幅に下回った。

老後の準備をしている人に具体的な方法を複数選択で聞くと、「貯蓄」が87.4%で最も多く、以下、「年金」(43.9%)、「投資信託」(23.2%)、「株」(22.7%)、「FX」(3.5%)が続いた』

以上のようになりますが、これと同じような老後資金に関する調査を調べてみると、その結果に共通点が多い事に気が付きます。

例えば12月2日のブログで紹介した、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会が実施した調査では、この調査と同じように約80%の方が、老後資金に関して不安があると回答しております。

また12月8日のブログで紹介した、明治安田生命が実施した調査によると、この調査と同じように老後資金として、約3,000万円は必要になると考えている方が多いようです。

しかしこの調査が他の調査と大きく違う点があり、それは老後資金の準備を何もしていない方の割合です。

この調査では「老後資金のために今準備していることはありますか?」という質問に対して、66.0%の方が何もしていないと回答しております。

しかし2月13日のブログで紹介した、フィデリティ退職・投資教育研究所が実施した調査や、7月7日のブログで紹介した、内閣府が実施した調査では、何もしていない方は約40%です。

約40%でも十分に多いのに、それが66.0%まで増えているのですから、深刻な事態ではないかと思うのです。

もちろん調査対象などに違いがありますので、これらの調査を横並びで比較してはいけないと思いますが、少なくとも老後資金の準備が後退している傾向があると、推測できるのではないでしょうか?

この理由について考えてみると、社会保険の保険料の値上げなどにより、給与の手取りが少なくなってしまい、老後資金を準備するだけの余裕がなくなっているのかもしれません。

また給与の伸びが弱いため、物価上昇に追いついておらず、給与の実質的な価値が下がっているのかもしれません。

前者への対策としては、6月10日のブログで紹介したような節約術を実施して、手取りが少なくなった分をカバーするのが良いと思います。

また後者への対策としては、NISAや確定拠出年金(個人型)による資産運用を実施し、物価上昇率を上回る収益を目標にするのです。

これら以外の対策として、高齢になっても働き続けられる、資格や技能を身に付けたり、健康な体を作ったりするのも、良い事ではないかと思います。

その理由として高齢になっても働き続ければ、預貯金の取り崩しを少なくでき、また健康であれば医療や介護にかかる費用を節約できるからです。

いずれにしろ86.8%の方が、老後資金に関して不安があるのに、何かしらの準備をしている方は34.0%しかいない状況は、問題があるのではないかと思います。

ストレスの多い仕事をしているので、そんなに長生きするとは思えないと、楽観的に考えている方もいるようですが、平成28年(2016年)の日本人の平均寿命は、男性は80.98歳、女性は87.14歳となり、また過去最高を更新したのです。

厚生労働省は「医療技術が進歩すれば、さらに平均寿命が延びる余地がある」としているので、良かれ悪しかれ長生きするという前提で、老後資金の準備をしたり、健康な体を作ったりする必要があります。
posted by FPきむ at 19:46 | 年金の最新情報と法改正 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする