『前からあった平屋の柱に新しい柱をつぎたし、二階家にするのは、ひじょうに悪い家相であると言っています。平屋の上につけたした二階のことをお神楽といい、現在でも大工さんはきらいます。
これは、前の項目で、改造を凶とした三つの理由、つまり、家の寿命が短くなること、不経済であること、美観を損なうことと同じ理由によるものです。なかでも、第一の家の寿命をちぢめること、つまり危険性は、平屋の改造よりもはるかに高くなります』
以上のようになりますが、この文章を読んでいて思い出したのは、日本の年金制度になります。
日本の公的制度は原則として既得権を保護してきたため、新たな住民が増えた際には、一階部分の住民をいったん他の場所に引っ越しさせて、建て替えを行なうのではなく、二階部分の増築を行なってきました。
例えば平成27年10月から、厚生年金保険と共済年金が統合される事については、11月6日のブログで紹介しましたが、すでに受給している退職共済年金(共済年金)がこの日を境にして、老齢厚生年金(厚生年金保険)に変わる訳ではありません。
つまり原則として既得権を保護するので、老齢厚生年金を受給する事になるのは、平成27年10月以降に65歳となり、新たに受給権を取得する方からになります。
そのため共済年金の受給者(一階部分の住民)と、老齢厚生年金の受給者(二階部分の住民)が、同じ厚生年金保険(同じ家)の中に、共存する事になります。
これが年金の理解を難しくしておりますが、現在の年金制度は増築を繰り返してきたので、二階どころではなく、タワーのような高さになっております。
ですからこれから年金を勉強する方は、おみくじで大凶を引いた時と同じような、憂うつな気分になると思います。
ところで健康保険や雇用保険などは原則として、既得権を保護してこなかったので、新たな住民が増えた際には、一階部分の住民をいったん他の場所に引っ越しさせて、建て替えを行います。
そして戻ってきた際には、一階部分の住民と二階部分の住民に、同じ制度が適用されるので、年金と比べて理解しやすいのです。
例えば平成15年4月から健康保険の自己負担は、2割から3割に法改正されましたが、平成15年3月の段階で治療している病気やケガも、法改正された後に新たに治療した病気やケガも、一律に3割負担となりました。
そのため年金の難易度が大凶なら、雇用保険は末吉、健康保険は吉といったところでしょうか?
このように難易度の高い日本の年金制度を理解するには、増築された部分のうち一番上の住民、つまり最新の制度を理解する事から始めます。
それが理解できたら下の階の住民、つまり過去の制度を理解するようにするのが、良いのではないかと思うのですが、上の階から徐々に、下の階へ降りていくのです。
日本の公的制度は上記のように原則として、既得権を保護してきたため、タワーのような高さになっておりますので、下の階の住民はかなり沢山おります。
しかし下の階の住民は、全員が生きている訳ではないので、下へ降りていくという勉強法は、いつか終わりがきます。
例えば厚生年金保険の戦時加算(2月27日のブログを参照)などは、あと数十年もすると、これが適用される方がいなくなるので、覚える必要のない知識になります。
これで少しは日本の年金制度が理解しやすくなったかと思いますが、どうしても押さえておきたい、必要最小限の年金の知識については、7月11日のブログを参照して下さい。



