2014年12月15日

日本の年金制度は建て替えではなく増築なので難しい

先日図書館に行った際、家相の科学(著:清家清)という本を、たまたま見つけたのですが、そこには「二階を増築するのは大凶」と題した、次のような文章が記載されておりました。

『前からあった平屋の柱に新しい柱をつぎたし、二階家にするのは、ひじょうに悪い家相であると言っています。平屋の上につけたした二階のことをお神楽といい、現在でも大工さんはきらいます。

これは、前の項目で、改造を凶とした三つの理由、つまり、家の寿命が短くなること、不経済であること、美観を損なうことと同じ理由によるものです。なかでも、第一の家の寿命をちぢめること、つまり危険性は、平屋の改造よりもはるかに高くなります』

以上のようになりますが、この文章を読んでいて思い出したのは、日本の年金制度になります。

日本の公的制度は原則として既得権を保護してきたため、新たな住民が増えた際には、一階部分の住民をいったん他の場所に引っ越しさせて、建て替えを行なうのではなく、二階部分の増築を行なってきました。

例えば平成27年10月から、厚生年金保険と共済年金が統合される事については、11月6日のブログで紹介しましたが、すでに受給している退職共済年金(共済年金)がこの日を境にして、老齢厚生年金(厚生年金保険)に変わる訳ではありません。

つまり原則として既得権を保護するので、老齢厚生年金を受給する事になるのは、平成27年10月以降に65歳となり、新たに受給権を取得する方からになります。

そのため共済年金の受給者(一階部分の住民)と、老齢厚生年金の受給者(二階部分の住民)が、同じ厚生年金保険(同じ家)の中に、共存する事になります。

これが年金の理解を難しくしておりますが、現在の年金制度は増築を繰り返してきたので、二階どころではなく、タワーのような高さになっております。

ですからこれから年金を勉強する方は、おみくじで大凶を引いた時と同じような、憂うつな気分になると思います。

ところで健康保険や雇用保険などは原則として、既得権を保護してこなかったので、新たな住民が増えた際には、一階部分の住民をいったん他の場所に引っ越しさせて、建て替えを行います。

そして戻ってきた際には、一階部分の住民と二階部分の住民に、同じ制度が適用されるので、年金と比べて理解しやすいのです。

例えば平成15年4月から健康保険の自己負担は、2割から3割に法改正されましたが、平成15年3月の段階で治療している病気やケガも、法改正された後に新たに治療した病気やケガも、一律に3割負担となりました。

そのため年金の難易度が大凶なら、雇用保険は末吉、健康保険は吉といったところでしょうか?

このように難易度の高い日本の年金制度を理解するには、増築された部分のうち一番上の住民、つまり最新の制度を理解する事から始めます。

それが理解できたら下の階の住民、つまり過去の制度を理解するようにするのが、良いのではないかと思うのですが、上の階から徐々に、下の階へ降りていくのです。

日本の公的制度は上記のように原則として、既得権を保護してきたため、タワーのような高さになっておりますので、下の階の住民はかなり沢山おります。

しかし下の階の住民は、全員が生きている訳ではないので、下へ降りていくという勉強法は、いつか終わりがきます。

例えば厚生年金保険の戦時加算(2月27日のブログを参照)などは、あと数十年もすると、これが適用される方がいなくなるので、覚える必要のない知識になります。

これで少しは日本の年金制度が理解しやすくなったかと思いますが、どうしても押さえておきたい、必要最小限の年金の知識については、7月11日のブログを参照して下さい。
posted by FPきむ at 21:24 | 社会保険労務士資格の活用と勉強法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月13日

日本年金機構の採用試験を受ける方のダブルライセンスは行政書士

このブログに設置されたアクセス解析を見ていると、「日本年金機構試験問題」や「日本年金機構 面接」など、日本年金機構の採用試験を受ける方が使いそうなキーワードで、このブログに辿り着いた方をたまに見かけます。

しかし残念ながらそういった情報は、このブログにはいっさい記載されておりませんし、また私は採用試験を受けた事がないので、どういった内容なのか全くわかりません。

ですから何もアドバイスはできないのですが、日本年金機構の採用試験を受ける方が、不採用になった時に備え、その試験勉強と並行して、何か資格を取ろうと思うなら、社会保険労務士や年金アドバイザーより、行政書士の方が良いという事だけは、アドバイスしておきたいのです。

私のケースを例に挙げて説明しますと、「社会保険労務士→2級FP技能士→証券外務員二種」の順に資格を取得しましたが、社会保険労務士と2級FP技能士の試験は共通して、社会保険や公的年金に関する問題が出題されます。

ですから2級FP技能士の資格を取る時は、社会保険労務士の資格を取る時に勉強した、社会保険や公的年金に関する知識が頭に残っていたので、その部分は全く勉強する必要がありませんでした。

また2級FP技能士と証券外務員二種の試験は共通して、債券投資や株式投資の問題が出題されますが、出題範囲がかなり重なっていたので、証券外務員二種の資格を取る時は、あまり勉強しないで合格する事ができました。

このように出題範囲が重なる資格を取っていくと、勉強時間を短縮できるのですが、おそらく日本年金機構の採用試験は、公務員の採用試験と同じように、一般教養と法律(特に行政法)が中心になると思うのです。

また年金に関する問題は採用試験に登場せず、日本年金機構に入ってから研修で、勉強する事になると思うのです(あくまで推測ですので、実際はわかりません)。

つまり年金などの専門的な知識を問う、社会保険労務士や年金アドバイザーの試験とは、出題範囲は全く重なりません。

ですから日本年金機構の採用試験を受ける方が、不採用になった時に備え、その試験勉強と並行して、これらの資格を取るための勉強を続けるのは、かなり大変だと思うのです。

逆に行政書士は一般教養と法律(特に行政法)で、出題範囲が重なりますので、並行して勉強するなら、こちらの方が良いと思うのです。

ただ行政書士は以前と比較して、かなり難しい資格になっておりますから、民法などで出題範囲が重なる、次のような資格の取得を目指しても良いかと思います。

・宅地建物取引士(旧:宅地建物取引主任者)
・ビジネス実務法務検定
・法学検定

以上のようになりますが、つまり社会保険労務士や年金アドバイザーは、すでに日本年金機構の採用試験に合格した方、もしくはあと数年後に採用試験を受ける予定の方が、取得すべき資格であり、並行して勉強するなら上記のような、法律系の資格の方が良いと思うのです。

注:日本年金機構の役員または従業者として、社会保険諸法令の実施事務に従事した期間が、通算して15年以上になる方は、社会保険労務士試験の一部科目が、免除されるという特例がありますので、こういった意味でも採用後の方が良いのです。

なお「あと数年後に採用試験を受ける予定の方」とは、大学の1年生や2年生を想定しておりますが、大学において一般教養科目の単位を、62単位以上修得した方は、社会保険労務士の受験資格が発生します。

また行政書士には受験資格がなく、誰でも受験できますが、行政書士の資格を持っていれば、上記のように一般教養科目の単位を修得していなくても、社会保険労務士の受験資格が発生します。

ですから志の高い学生さんは、「行政書士→社会保険労務士→日本年金機構の採用試験」の順で、チャレンジしていけば良いかと思います。
posted by FPきむ at 20:14 | 社会保険労務士資格の活用と勉強法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする