2015年10月17日

厚生年金保険の被保険者の種別の「号」と「種」の違いとは

公務員や私立学校の教職員が加入する共済年金は、平成27年(2015年)10月1日に、厚生年金保険に統合されました。

これによって発生する年金制度の変化については、11月6日のブログに記載しましたが、どうも書き忘れている事があったようです。

それは共済年金と厚生年金保険の統合により、厚生年金保険に種別ができるというものですが、具体的には次のようになります。

■第1号被保険者
第2号から第4号に該当しない厚生年金保険の被保険者は、第1号被保険者になります。

要するに従来から厚生年金保険に加入していた、民間企業に勤務する会社員などは、厚生年金保険の第1号被保険者になるという事です。

■第2号被保険者
国家公務員共済組合の組合員である厚生年金保険の被保険者は、第2号被保険者になります。

■第3号被保険者
地方公務員共済組合の組合員である厚生年金保険の被保険者は、第3号被保険者になります。

■第4号被保険者
私立学校教職員共済制度の加入者である厚生年金保険の被保険者は、第4号被保険者になります。

以上のようになりますが、要するに「第1号=会社員」、「第2号=国家公務員」、「第3号=地方公務員」、「第4号=私立学校の教職員」という事です。

このような種別ができた理由を考えてみると、老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金などの金額の決定、またその支給を行なう機関は、共済年金が厚生年金保険に統合された後も、すぐには変わらないからだと思うのです。

例えば地方公務員として10年働き、その後は会社員として35年働いた方の場合、地方公務員共済組合から10年分の老齢厚生年金が支給され、また日本年金機構から35年分の老齢厚生年金が支給されます。

もし共済年金が厚生年金保険に統合された後は、すべての年金を日本年金機構が支給する事にした場合、このような種別による区分は、必要なかったと思うのです。

なお厚生年金保険の被保険者の期間は、7月1日のブログに記載しましたように、暦の月を単位とし、何月あるかで受給資格期間を満たせるか、また年金額がいくらになるかが決まります。

そのため例えば同一の月の中に、二つの種別の期間がある場合、どちらの種別の月になるかという問題が発生しますが、これについては月末を基準に判断します。

例えば10月15日に地方公務員から会社員に転職し、月末は会社員だった方の場合、10月は第1号被保険者であったとみなされるのです。

ところで厚生年金保険の被保険者の種別は、1月20日のブログに記載しましたように、第1号から第4号の他に、第1種から第3種があります。

具体的には第1種は「男子」の厚生年金保険の被保険者、第2種は「女子」の厚生年金保険の被保険者、第3種は「船員や坑内員」の厚生年金保険の被保険者です。

注:3月28日のブログに記載しましたように、過去には第4種被保険者も存在しておりました。

要するに性別や職種によって、厚生年金保険の被保険者の種別が変わります。

このように種別が違うと、65歳になる前に支給される特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢が変わったり、厚生年金保険の被保険者期間を計算する時の方法が、少しだけ変わったりします。

現在は厚生年金保険の被保険者の種別において、昔から存在する「種」と、共済年金と厚生年金保険の統合により創設された「号」が並存していて、わかりにくい状況が続いております。

しかしいずれは「種」の方がなくなり、「号」しか存在しない時代がやってくるので、両者が並存する状態は解消されます。

現行の厚生年金保険法には性別や職種によって、年金の支給開始年齢や、被保険者期間の計算方法が変わるなどという規定はありません。

それは昭和61年(1986年)4月に新法が始める時に、このような規定は廃止すると決定されたからです。

しかしいきなり全廃してしまうと、生活設計に影響を与えますので、段階的に廃止される事になりました。

現在はその段階的な廃止が実施されている最中であり、完全に廃止されてしまえば、第1種から第3種という区分は不要になります。

ただそれは何十年も先の話になりますので、当面は第1号被保険者の中に第1種〜第3種被保険者がいると、覚えておけば良いと思います。
posted by FPきむ at 20:24 | 年金の基礎知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月19日

保険給付の受給権の制限と不当利得の徴収とは

国民年金や厚生年金保険から支給される保険給付を受ける権利は、担保に供したり、差し押さえたりする事はできませんが、この保険給付を受ける権利とは、保険給付を請求する権利だけでなく、その支払いを受ける権利も含みます。

注:保険給付とは年金と一時金を示しますが、つまり老齢給付、障害給付、遺族給付とは次のように年金だけでなく、一時金も含みます(ただすべての保険給付について、一時金がある訳ではありません)。

■老齢給付
【国民年金から支給される年金】
→老齢基礎年金、付加年金(7月27日のブログを参照)

【厚生年金保険から支給される年金】
→老齢厚生年金

■障害給付
【国民年金から支給される年金】
→障害基礎年金

【厚生年金保険から支給される年金】
→障害厚生年金

【厚生年金保険から支給される一時金】
→障害手当金

■遺族給付
【国民年金から支給される年金】
→遺族基礎年金、寡婦年金(1月15日のブログを参照)

【国民年金から支給される一時金】
→死亡一時金(1月13日のブログを参照)

【厚生年金保険から支給される年金】
→遺族厚生年金

ただ年金を受ける権利については、別に制定される法律の定めにしたがって、担保に供する事ができるという例外があります。

また老齢基礎年金、付加年金、老齢厚生年金を受ける権利は、国税滞納処分(その例による処分を含む)により、差し押さえられる場合があります。

以上のようになりますが、特に年金は老後の生活費の中心になりますので、上記のように税金を払わないなど、一部の例外に該当しない限り、継続して受給する事ができます。

ただ年金制度の目的や運営を阻止する場合、もしくは社会通念上好ましくない場合には、次のような保険給付の受給権の制限や、不当利得の徴収などが行われます。

(1)保険給付の受給権の全部制限
国民年金や厚生年金保険の被保険者、または被保険者であった者が故意に、障害やその直接の原因となった事故を生じさせた場合、その障害については、障害給付の全部が支給させません。

また国民年金や厚生年金保険の被保険者、または被保険者であった者を、故意に死亡させた者については、遺族給付の全部が支給されません。

その他として国民年金や厚生年金保険の被保険者、または被保険者であった者の死亡前に、その者の死亡によって遺族給付の受給権者になるべき者を、故意に死亡させた者についても、遺族給付の全部が支給されません。

これは例えば遺族厚生年金なら、「@配偶者、子→A父母→B孫→C祖父母」というように、受給できる順位が決まっておりますが、自分より順位が先の者を故意に死亡させて、自分が遺族厚生年金を受給できるようにする事を示します。

また遺族基礎年金や遺族厚生年金の受給権者が2人以上いる時に、受給権者のひとりが、他の受給権者を故意に死亡させた場合、その者の受給権は消滅します。

(2)保険給付の受給権の全部または一部制限
国民年金や厚生年金保険の被保険者、または被保険者であった者の故意の犯罪行為、重大な過失、正当な理由がなく療養に関する指示に従わない事により、障害になったり、死亡したり、障害の程度が重くなったり、回復が遅れたりした場合、保険給付の全部または一部が支給されません。

なお障害厚生年金の受給権者に関しては、故意もしくは重大な過失、または正当な理由がなく療養に関する指示に従わない事により、障害の程度が重くなったり、回復が遅れたりした場合、障害厚生年金の等級を上げて、年金額を増額する事はありません。

また時には障害厚生年金の等級を下げて、年金額を減額する事もありますので、注意する必要があります。

(3)年金の支給停止
年金については次のいずれかに該当する場合、その全部または一部が支給停止されます。

・年金の受給権者が行政庁の調査に対して、正当な理由なく、その調査に応じないとき

障害基礎年金や障害厚生年金の受給権者や、加給年金(8月10日のブログを参照)の対象となる障害のある子が、正当な理由なく、医師の診断を拒んだとき

なお障害厚生年金の受給権者や、加給年金の対象となる障害のある子が、故意もしくは重大な過失、または正当な理由がなく療養に関する指示に従わない事により、その障害の回復を妨げた場合、年金の全部または一部が支給停止されます。

(4)年金の一時差し止め
年金の受給権者が正当な理由なく、現況届(11月17日のブログを参照)などの書類を提出しない場合、年金は一時差し止められますが、後日にきちんと提出すれば、一時差し止め時に遡って年金が支給されます。

(5)不正利得の徴収
偽りその他不正の手段により、保険給付を受けた者がある時に日本年金機構は、受給額に相当する金額の全部または一部を、その者から徴収する事になりますが、それと同時に懲役や罰則も、課せられる可能性があります。

posted by FPきむ at 20:34 | 年金の基礎知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする