森永卓郎さんが監修をしている年金は60歳からもらえという本を、6月12日のブログで紹介しました。
この本には老齢基礎年金を繰上げ(8月5日のブログを参照)している方は、意外と多いというデータが記載されておりましたが、新規裁定者の4人に1人以上が、繰上げ請求をしているそうです。
そういえばジャーナリストの蟹瀬誠一さんが司会を務める番組に、森永さんがゲストで出演されておりましたが、その時に蟹瀬さんは既に繰上げ請求をしていると、森永さんに語っておりました。
まだ現役で働いている蟹瀬さんなら、繰上げしなくても生活でき、むしろ老齢基礎年金を繰下げ(8月17日のブログを参照)して、増額させるという選択肢もあったと思いますが、迷う事なく繰上げ請求をしたそうです。
このように老齢基礎年金の繰上げ請求をする方は、「老齢基礎年金支給繰上げ請求書」を年金事務所などに提出しますが、「様式第102号」を使用する場合と、「様式第234号」を使用する場合があります。
注:様式第102号の正式名称は、「国民年金 老齢基礎年金支給繰上げ請求書」になり、様式第234号の正式名称は、「特別支給の老齢厚生年金受給権者 老齢基礎年金支給繰上げ請求書」になります。
(1)様式第102号を使用する場合
老齢給付に関する年金請求書に添付する書類については、11月3日のブログで紹介しましたが、この添付書類のひとつとして、老齢基礎年金支給繰上げ請求書を提出する場合は、様式第102号を使用します。
つまり年金請求書を提出すると同時に、老齢基礎年金の繰上げ請求をする場合は、様式第102号を使用します。
なお年金請求書の提出先については、9月21日のブログで紹介しましたが、老齢基礎年金支給繰上げ請求書の提出先も原則として、同様の考え方になります。
ただ年金制度の加入期間のすべてについて、共済年金の組合員の期間という方が、老齢基礎年金の「全部」を繰上げする場合、老齢基礎年金支給繰上げ請求書の提出先は、その人が加入していた共済組合から、年金事務所に変わる場合があります。
つまり老齢基礎年金の「一部」を繰上げする場合、老齢基礎年金支給繰上げ請求書の提出先は変わらず、その人が加入していた共済組合という意味になります。
なお全部を繰上げするのか、もしくは一部を繰上げするのかは、老齢基礎年金支給繰上げ請求書の中にある、「全部を繰上げ請求します」と「一部を繰上げ請求します」のいずれかを、○で囲んで選択します。
ただ一部を繰上げする場合には、定額部分の支給開始年齢に達するまでという制約があるので、その点には注意しますが、詳細については次のページを参照して下さい。
・男子:第1種被保険者(8月8日のブログを参照)
・女子:第2種被保険者(8月12日のブログを参照)
・長期加入者、障害者、第3種被保険者(9月14日のブログを参照)
ところで年金請求書を提出してから1ヶ月くらい経過すると、年金額などが記載された「年金証書」が届きますが、繰上げ請求をした方についても、その年金証書に記載されている年金額は、繰上げ請求をしなかった場合の金額になります。
つまり繰上げ請求をしても、年金証書は変わらないという事になりますが、繰上げ請求後の年金額については、その後に届く「決定通知書・支給額変更通知書」の、「決定・変更理由」の欄に記載されております。
なお繰上げ請求後の年金額が記載された年金証書が必要な場合、年金証書の再発行を請求しますが、誕生日の前日に年金請求書を提出した方については、繰上げ請求後の年金額が記載された年金証書が届きます。
(2)様式第234号を使用する場合
年金請求書を提出した後に、老齢基礎年金の繰上げ請求をする場合は、様式第234号を使用しますが、既に届いている年金証書を添付します。
なお様式第234号を使用する場合でも、定額部分の支給開始年齢に達するまでという要件を満たせば、全部の繰上げ請求だけでなく、一部の繰上げ請求もできます。
追記:
平成27年(2015年)10月1日に公務員が加入する共済年金は、厚生年金保険に統合されました。
これにより上記の統合日の前日において、70歳未満の共済年金の加入者は、統合日に厚生年金保険の加入者に変わり、また過去の共済年金の加入期間も、厚生年金保険の加入期間であったとみなされます。
ただ「老齢基礎年金支給繰上げ請求書」の提出先は、すぐに変更される訳ではなく、従来通り共済組合でも受け付けてくれるようです。
2013年11月09日
2013年11月07日
老齢給付に関する年金請求書を記入する際の注意点とは
平成17年(2005年)10月より、年金請求者の利便性と年金の請求漏れを防ぐため、これから老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給年齢を迎える方に対し、必要事項が印字された「年金請求書」か、ハガキ形式の「年金に関するお知らせ」が、日本年金機構から送付されるようになりました。
これについては10月23日のブログで紹介しましたが、上記のような主旨に反して、従来からある「裁定請求書」を使う場合より、年金の請求漏れが多くなっているのです。
それは裁定請求書を使う場合、自分で年金記録を記入する必要があるので、その時点で年金記録の確認が行われるのに対して、年金請求書は年金記録が印字されており、自分で年金記録を記入する必要がないので、十分な確認が行われないからです。
ですから次のようなケースでは特に、年金記録に漏れや誤りがないかを改めて確認した方が良いのですが、国民年金については3月4日のブログが、厚生年金保険については3月5日のブログが、参考になるのではないかと思います。
【独身時代に旧姓で、厚生年金保険に加入していた】
【会社員の方が別の会社に転職した場合など、加入する年金制度が変わっていないのに、手続き上のミスにより、新たな年金手帳と記号番号(6月12日のブログを参照)が発行された】
また年金記録以外については次のような点を十分に確認しますが、印字された内容が誤っている所は二重線を引いて訂正、空欄になっている所は自分で正確に記入します。
注:年金請求書は再発行されませんので、書き間違いをしないか心配という方は、年金請求書をコピーして、そちらに下書きをしてから、書き写しても良いと思います。
(1)住所
何らかの事情があり、実際に住んでいる家の住所と住民票の住所が、一致していない場合があります。
年金証書などの各種の通知書は、年金請求書に記入された住所に送付されるので、上記のような場合は、実際に住んでいる家の住所を記入しますが、住所が一致していない事について年金事務所などから、理由書を求められる場合があります。
(2)住民票コード
次のような場合には住民票コードを記入する事により、戸籍謄本や戸籍抄本、住民票などの添付を、省略できる場合があります。
【加給年金(8月10日のブログを参照)の対象となる、配偶者や子がいない場合】
【配偶者の老齢厚生年金に加給年金が加算されておらず、原則65歳になっても自分の老齢基礎年金に、振替加算(2月9日のブログを参照)が加算されない場合】
なお加給年金の対象となる配偶者や子がいる場合、もしくは振替加算が加算される場合には、住民票コードを記入しても、双方の身分関係や生計維持関係の確認が必要になるので、戸籍謄本や戸籍抄本、住民票などを添付しなければなりません。
(3)現在の年金の受給状況
「1.受けている」、「2.受けていない」、「3.請求中」の中から選択しますが、何らかの事情により、年金の全額が支給停止になっている場合は、「1.受けている」に該当します。
(4)雇用保険の被保険者番号
雇用保険の保険給付を受けられない方、もしくは雇用保険の保険給付を受ける意思のない方でも、雇用保険の被保険者番号を、記入しなければなりません。
しかし雇用保険の被保険者資格を喪失してから7年以上経過した方は、被保険者番号を記入する必要はありませんし、11月3日のブログで紹介したような、雇用保険関係の添付書類も必要ありません。
なお複数の雇用保険被保険者証を持っており、その被保険者番号が違う場合は、直近の雇用保険被保険者証に記載されている被保険者番号を記入します。
ただ被保険者番号が複数あるのは、本来あってはならない事態ですので、お勤めしている会社にお願いして被保険者番号を、ひとつに統合してもらっても構いません。
(5)年金の受取先
預貯金口座の名義人氏名(フリガナ)と、年金請求書の最初のページに印字されている、請求者本人の氏名(フリガナ)が、一致していない場合には、年金の振込みができなくなりますので、フリガナが一致している事を必ず確認します。
(6)子の氏名
子の氏名などを記入するのは、その子が8月10日のブログに記載されている要件を満たす場合、加給年金が加算されるからですが、逆に言えば加給年金が加算される要件を満たさない子の場合は、その氏名などを記入する必要はありません。
なお「生計維持証明」を記入する必要があるのも、この加給年金もしくは振替加算を受給できるか否かに、関係してくるからです。
(7)公的年金等の受給者の扶養親族等申告書
老齢基礎年金や老齢厚生年金などの老齢年金は、「公的年金等の雑所得」として所得税や住民税が課税されますが、これについては10月16日のブログを参照して下さい。
また老齢年金は給与などと同じように、「扶養控除等申告書」を提出する事により、配偶者控除や扶養控除を受けられますが、これについては10月18日のブログを参照して下さい。
つまり「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」に必要事項を記入するのは、上記のような控除を受けるためという事になりますが、年金を受給しながら会社などで働く予定の方は、その会社などの年末調整で控除を受ける事になるので、提出日と電話番号だけを記入します。
ところで65歳未満の場合は年収108万円未満、65歳以上の場合は年収158万円未満であれば、所得税は課税されませんが、この年収の根拠は次のようになります(公的年金等控除額については、10月16日のブログを参照して下さい)。
■65歳未満の場合
公的年金等控除額:60万円+基礎控除:48万円=108万
■65歳以上の場合
公的年金等控除額:110万円+基礎控除:48万円=158万
ですから例えば老齢基礎年金しか受給できず、他の収入もないという方は、年収が80万円程度になり、所得税は課税されませんので、「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」に、必要事項を記入する必要はありません。
なお遺族年金や障害年金、雇用保険の基本手当は非課税になりますので、これらだけを受給している配偶者の年収は0円になり、配偶者控除の対象になります。
これについては10月23日のブログで紹介しましたが、上記のような主旨に反して、従来からある「裁定請求書」を使う場合より、年金の請求漏れが多くなっているのです。
それは裁定請求書を使う場合、自分で年金記録を記入する必要があるので、その時点で年金記録の確認が行われるのに対して、年金請求書は年金記録が印字されており、自分で年金記録を記入する必要がないので、十分な確認が行われないからです。
ですから次のようなケースでは特に、年金記録に漏れや誤りがないかを改めて確認した方が良いのですが、国民年金については3月4日のブログが、厚生年金保険については3月5日のブログが、参考になるのではないかと思います。
【独身時代に旧姓で、厚生年金保険に加入していた】
【会社員の方が別の会社に転職した場合など、加入する年金制度が変わっていないのに、手続き上のミスにより、新たな年金手帳と記号番号(6月12日のブログを参照)が発行された】
また年金記録以外については次のような点を十分に確認しますが、印字された内容が誤っている所は二重線を引いて訂正、空欄になっている所は自分で正確に記入します。
注:年金請求書は再発行されませんので、書き間違いをしないか心配という方は、年金請求書をコピーして、そちらに下書きをしてから、書き写しても良いと思います。
(1)住所
何らかの事情があり、実際に住んでいる家の住所と住民票の住所が、一致していない場合があります。
年金証書などの各種の通知書は、年金請求書に記入された住所に送付されるので、上記のような場合は、実際に住んでいる家の住所を記入しますが、住所が一致していない事について年金事務所などから、理由書を求められる場合があります。
(2)住民票コード
次のような場合には住民票コードを記入する事により、戸籍謄本や戸籍抄本、住民票などの添付を、省略できる場合があります。
【加給年金(8月10日のブログを参照)の対象となる、配偶者や子がいない場合】
【配偶者の老齢厚生年金に加給年金が加算されておらず、原則65歳になっても自分の老齢基礎年金に、振替加算(2月9日のブログを参照)が加算されない場合】
なお加給年金の対象となる配偶者や子がいる場合、もしくは振替加算が加算される場合には、住民票コードを記入しても、双方の身分関係や生計維持関係の確認が必要になるので、戸籍謄本や戸籍抄本、住民票などを添付しなければなりません。
(3)現在の年金の受給状況
「1.受けている」、「2.受けていない」、「3.請求中」の中から選択しますが、何らかの事情により、年金の全額が支給停止になっている場合は、「1.受けている」に該当します。
(4)雇用保険の被保険者番号
雇用保険の保険給付を受けられない方、もしくは雇用保険の保険給付を受ける意思のない方でも、雇用保険の被保険者番号を、記入しなければなりません。
しかし雇用保険の被保険者資格を喪失してから7年以上経過した方は、被保険者番号を記入する必要はありませんし、11月3日のブログで紹介したような、雇用保険関係の添付書類も必要ありません。
なお複数の雇用保険被保険者証を持っており、その被保険者番号が違う場合は、直近の雇用保険被保険者証に記載されている被保険者番号を記入します。
ただ被保険者番号が複数あるのは、本来あってはならない事態ですので、お勤めしている会社にお願いして被保険者番号を、ひとつに統合してもらっても構いません。
(5)年金の受取先
預貯金口座の名義人氏名(フリガナ)と、年金請求書の最初のページに印字されている、請求者本人の氏名(フリガナ)が、一致していない場合には、年金の振込みができなくなりますので、フリガナが一致している事を必ず確認します。
(6)子の氏名
子の氏名などを記入するのは、その子が8月10日のブログに記載されている要件を満たす場合、加給年金が加算されるからですが、逆に言えば加給年金が加算される要件を満たさない子の場合は、その氏名などを記入する必要はありません。
なお「生計維持証明」を記入する必要があるのも、この加給年金もしくは振替加算を受給できるか否かに、関係してくるからです。
(7)公的年金等の受給者の扶養親族等申告書
老齢基礎年金や老齢厚生年金などの老齢年金は、「公的年金等の雑所得」として所得税や住民税が課税されますが、これについては10月16日のブログを参照して下さい。
また老齢年金は給与などと同じように、「扶養控除等申告書」を提出する事により、配偶者控除や扶養控除を受けられますが、これについては10月18日のブログを参照して下さい。
つまり「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」に必要事項を記入するのは、上記のような控除を受けるためという事になりますが、年金を受給しながら会社などで働く予定の方は、その会社などの年末調整で控除を受ける事になるので、提出日と電話番号だけを記入します。
ところで65歳未満の場合は年収108万円未満、65歳以上の場合は年収158万円未満であれば、所得税は課税されませんが、この年収の根拠は次のようになります(公的年金等控除額については、10月16日のブログを参照して下さい)。
■65歳未満の場合
公的年金等控除額:60万円+基礎控除:48万円=108万
■65歳以上の場合
公的年金等控除額:110万円+基礎控除:48万円=158万
ですから例えば老齢基礎年金しか受給できず、他の収入もないという方は、年収が80万円程度になり、所得税は課税されませんので、「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」に、必要事項を記入する必要はありません。
なお遺族年金や障害年金、雇用保険の基本手当は非課税になりますので、これらだけを受給している配偶者の年収は0円になり、配偶者控除の対象になります。