2011年12月01日

小規模企業共済等掛金控除とは

年末調整や確定申告の時に所得から控除できる所得控除のひとつに、「小規模企業共済等掛金控除」がありますが、支払った掛金が小規模企業共済等掛金控除に該当すると、その全額を所得から控除する事ができます。

小規模企業共済等掛金控除に該当する掛金には、以下のようなものがありますが、それぞれの制度には支払う事のできる掛金の上限がありますので、その点は注意が必要です。

(1)小規模企業共済の掛金
独立行政法人中小企業基盤整備機構と契約した共済契約(旧第2種共済契約を除きます)に基づいて支払った掛金は、小規模企業共済等掛金控除に該当しますが、これは小規模企業の事業主や役員のための公的な退職金制度である、小規模企業共済の掛金を示しております。

もし掛金を前納した事により前納減額金の支払を受けている場合には、支払った掛金の額からその前納減額金を差し引いた金額が、控除の対象になります。

なお小規模企業共済の掛金の上限は月額70,000円になりますので、年間あたり最高840,000円が、小規模企業共済等掛金控除として所得控除できます。

(2)確定拠出年金(個人型)の掛金
確定拠出年金(個人型)の加入者掛金は、小規模企業共済等掛金控除に該当しますが、確定拠出年金(企業型)で企業が拠出した掛金は損金に算入されますので、従業金の所得から控除する事はできません。

ただ平成23年に確定拠出年金法が改正され、確定拠出年金(企業型)において従業員の掛金拠出(マッチング拠出)が可能になりますので、その従業員が拠出した掛金は今後、小規模企業共済等掛金控除の対象になるのではないかと思います。

なお確定拠出年金(個人型)の掛金の上限は、国民年金基金の掛金と合わせて月額68,000円になりますので、年間あたり最高816,000円が、小規模企業共済等掛金控除として所得控除できます。

(3)心身障害者扶養共済制度の掛金
地方公共団体が条例の規定により実施する、いわゆる心身障害者扶養共済制度で、一定の要件を備えているものに基づいて支払った掛金は、小規模企業共済等掛金控除に該当します。

この心身障害者扶養共済制度とは、地方公共団体の条例において心身に障害のある人を扶養する人が加入者となり、その加入者が地方公共団体に掛金を納付し、その地方公共団体が心身に障害のある人を扶養するための給付金を定期に支給することを定めている制度のうち、一定の要件を備えているものを言います。

以上が小規模企業共済等掛金控除に該当する掛金の例ですが、社会保険料控除は生計を共にしている配偶者や親族の社会保険料を支払った場合にも適用されますが、小規模企業共済等掛金控除は本人が支払った掛金しか対象になりません。

例えば夫が妻の国民年金の保険料を代わりに支払った場合、その金額を夫の所得から、社会保険料控除として所得控除する事ができますが、夫が妻の小規模企業共済の掛金を代わりに支払っても、その金額を夫の所得から小規模企業共済等掛金控除として、所得控除する事はできません。

また翌年以後に納期の期日が到来する小規模企業共済などの掛金を、一括して支払った場合の、いわゆる「前納掛金」については、社会保険料を前納した場合の社会保険料控除と、同じ取扱いになります。

前納保険料の総額(前納により割引をされた場合には、その割引後の金額)×前納保険料に係る本年度中に到来する納付期日の回数/前納保険料に係る納付期日の総回数

これが社会保険料を前納した場合の、社会保険料控除の取扱いになりますが、小規模企業共済等掛金控除に該当する掛金も、同じように計算します。

ただし前納の期間が1年以内のものについては、所得者本人が本年度の所得控除とする事を希望した場合、年度をまたぐ事なく一括して本年度の所得から所得控除する事ができます。

小規模企業共済等掛金控除を受けるためには証明書が必要ですが、会社員で毎月の給与から掛金が控除されている場合には、掛金を支払った事を証明する書類は必要ありません。

しかし本人が直接支払った掛金について、小規模企業共済等掛金控除を受けるためには年末調整でも確定申告でも、掛金を支払った事を証明する書類を添付しなければなりません。

最後に個人的な失敗談を紹介しますが、初めて年末調整をした時に「○○共済の個人年金」と書かれた共済掛金払込証明書が添付されていたので、小規模企業共済等掛金控除として所得控除してしまいそうになりましたが、共済を含めた生命保険会社の個人年金の掛金は、「個人年金保険料控除」として所得控除します。
posted by FPきむ at 21:14 | 年金と税金 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月18日

扶養親族等申告書とは

年金の受給を開始してから2年目以降になると、毎年10月下旬から11月上旬にかけて、日本年金機構からハガキで「扶養親族等申告書」が送付されてきます。

記載されている内容に変更がないかを確認して、必要事項を記入したうえ、12月初旬の指定期限の日までに日本年金機構へ返送します。

ではこの扶養親族等申告書とは何のために送られてくるものであり、もし返送するのを忘れてしまった場合には何か不利になるのでしょうか?

10月16日のブログでは老齢年金、障害年金、遺族年金のうち老齢年金だけが「公的年金等の雑所得」として所得税が課税されると書きましたが、この老齢年金の金額が一定額以上ある方に対しては、皆さんが指定した銀行口座などに年金を振り込む前に、日本年金機構が所得税を源泉徴収しております。

給与に課税される所得税を計算する時に妻がいる方は配偶者控除、扶養家族がいる方は扶養控除が使え、その分だけ所得税が安くなる事は皆さんもご存知だと思います。

年金に課税される所得税を計算する時にも同じように、配偶者控除や扶養控除が使えますが、扶養親族等申告書を提出すると日本年金機構は、配偶者控除や扶養控除を考慮して源泉徴収する所得税を計算してくれます。

また扶養控除等申告書が年末に送られてくる事からわかるように、ここに記載された妻や家族の情報をもとに決定した所得税を源泉徴収するのは、翌年になってからになります。

日本年金機構が源泉徴収する所得税を計算する時の式は下記のようになりますが、計算式の中にある「各種控除合計額」は、65歳を境にして公的年金等控除額の金額が変わりますので、65歳の前後で金額が少し変わってきます。

源泉徴収税額=(年金支払額−各種控除合計額)×5%

(1)65歳未満の各種控除(月割控除額)
・公的年金等控除額および基礎控除相当
→「年金月額×25%+65,000円」または「90,000円」の高い方

・配偶者控除相当→32,500円

・扶養控除相当→32,500円(1人)

(2)65際以上の各種控除(月割控除額)
・公的年金等控除額および基礎控除相当
→「年金月額×25%+65,000円」または「135,000円」の高い方

・配偶者控除相当→32,500円

・扶養控除相当→32,500円(1人)

以上が各種控除になり(1)または(2)の方は、それぞれ3つの控除を合計して各種控除合計額を算出しますが、注意点がいくつかあります。

・老人控除対象配偶者である時は、月40,000円になります。

・老人扶養親族は月40,000円、特定扶養親族(16歳以上〜23歳未満の扶養親族)は月52,500円になります。

・本人または扶養親族が障害者である時には1人月22,500円、特別障害者である時は1人月35,000円が加算されます。

もし扶養控除等申告書の返送を忘れた場合、日本年金機構は上記のような計算を行わず、以下のような計算式で源泉徴収額を計算します。

源泉徴収税額=(年金支払額−年金支払額の25%)×10%

これだと妻や扶養家族がいる方は、所得税が取られすぎになってしまいますが、翌年の原則2月16日から3月15日までに確定申告をする事により、余計に源泉徴収された所得税は還付されます。

また扶養控除等申告書を返送した時には独身だった方が、翌年に結婚をして配偶者控除が受けられるようになった場合、本来よりも余分に所得税を源泉徴収されてしまいますが、これも確定申告をする事により還付されます。

あと生命保険に加入している方は生命保険料控除を受けられますが、日本年金機構は誰がどんな生命保険に加入しているのかまでは把握しておらず、源泉徴収税額を計算する時には生命保険料控除の事を考慮して計算しておりません。

ですから生命保険に加入している方は確定申告をする事により、所得税が還付される場合が多いのですが、日本年金機構が把握していない事情(一定額以上の医療費の支払いがある、住宅ローンが残っており住宅ローン控除を受けたい)がある方も確定申告をした方が良いのです。

最後に老齢年金の支給額が年額で108万円未満の方(65歳以上の方は年額で158万円未満の方)は、老齢年金から所得税を源泉徴収しない事になっておりますので、扶養控除等申告書を提出する必要がありません。
posted by FPきむ at 20:00 | 年金と税金 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする