2011年10月16日

公的年金等控除額とは

会社員の方には自営業者の必要経費にあたる「給与所得控除」が認められており、1月1日から12月31日までの給与の合計額から、給与所得控除を引き所得を算出します(この先の計算方法については、8月16日のブログを参照して下さい)。

年金収入で生活している方にも自営業者の必要経費にあたる「公的年金等控除額」が認められておりますが、障害年金や遺族年金には税金が課税されませんので、公的年金等控除額を引いて税金を算出するのは老齢年金だけになり、これは「公的年金等の雑所得」として所得税が課税されます。

公的年金等控除額を引く事のできる老齢年金には、主に以下のようなものがありますが、公的年金等控除額を利用できるため老齢年金には、あまり税金が課税されないようになっております。

・老齢基礎年金、老齢厚生年金、退職共済年金などのように、国民年金法、厚生年金保険法、国家公務員等共済組合法などの法律の規定に基づく年金

・恩給(一時恩給を除く)や過去の勤務に基づき使用者であった者から支給される年金

・適格退職年金、確定拠出年金、確定給付企業年金、厚生年金基金、国民年金基金から支給される年金

・小規模企業共済から支給される共済金の全部または一部を、分割により受け取った場合の年金

以上が公的年金等控除額を引く事のできる老齢年金になりますが、生命保険契約や生命共済に関する契約に基づいて支給される年金や互助年金などは、公的年金等控除額を引く事ができません。

9月11日のブログでは掛金や保険料の節税効果について、国民年金基金と個人年金を比較してみましたが、年金を受け取る段階でも個人年金は公的年金等控除額が使えないため、国民年金基金よりも税金の面で不利になってしまいます。

ちなみに個人年金から支給される年金は「その他の雑所得」として所得税が課税されますが、年金の額からこれに対応する払込保険料を控除した額に対して所得税が課税されます。

公的年金等控除額の金額は以下のようになりますが、65歳を境にして金額が少し変わります。

■年金収入→公的年金等控除額(公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額が、1,000万円以下の場合の金額)

・65歳未満
130万円以下→60万円
130万円を超え410万円以下→年金収入×25%+27.5万円
410万円を超え770万円以下→年金収入×15%+68.5万円
770万円を超え1,000万円以下→年金収入×5%+145.5万円
1,000万円超→195.5万円

・65歳以上
330万円以下→110万円
330万円を超え410万円以下→年金収入×25%+27.5万円
410万円を超え770万円以下→年金収入×15%+68.5万円
770万円を超え1,000万円以下→年金収入×5%+145.5万円
1,000万円超→195.5万円

この公的年金等控除額の金額は年額になりますが、例えば65歳以上で年金収入が330万円以下だったら公的年金等控除額は110万円になりますので、毎月の年金収入が10万円(120万円÷12ヶ月)程度だったら税金は課税されません。

ただ配偶者控除などの所得控除を引く前の数字ですので、実際は10万円よりも非課税ラインは高くなると思います。

また確定拠出年金や小規模企業共済から支給される給付は、年金での受け取りだけでなく一時金を選択する事もでき、その一時金は節税効果の高い退職所得控除額を引く事ができます。

年金で使える公的年金等控除額と、一時金で使える退職所得控除額を上手に組み合わせ、これらの節税効果を最大限に活用しましょう。
posted by FPきむ at 19:47 | 年金と税金 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月13日

老齢給付を一時金で受け取ると退職所得扱いになる

10月11日のブログで退職金は退職所得として、所得税が課税されるという話をしましたが、

・確定拠出年金から支給される老齢給付金を一時金で受け取った場合

・小規模企業共済から支給される老齢給付を一時金で受け取った場合

には、退職所得扱いになります。

退職所得扱いになるという事は、これらの老齢給付に課税される税金を計算する時には、「退職所得=(老齢給付−退職所得控除額)×1/2」という、退職金に課税される税金を算出する時と同じ計算式を使います。

上記の計算式でポイントとなるのは「退職所得控除額」であり、これを老齢給付から控除できる事により大きな節税効果が期待できますが、退職所得控除額を計算する時の勤務年数は、これらの制度への加入年数に変換します。

確定拠出年金から支給される給付には老齢給付金、障害給付金、死亡一時金がありますが、老齢給付金は加入期間によって受け取り始める事ができる年齢が違います。

・加入期間10年以上:60歳
・加入期間8年以上〜10年未満:61歳
・加入期間6年以上〜8年未満:62歳
・加入期間4年以上〜6年未満:63歳
・加入期間2年以上〜4年未満:64歳
・加入期間1ヶ月以上〜2年未満:65歳

例えば確定拠出年金の加入期間が9年の方は、61歳以上になったら一時金か年金、または一時金と年金の組み合わせで、老齢給付金を受け取る事ができます。

一方小規模企業共済から支給される給付には共済金、準共済金、解約手当金がありますが、65歳以上の方で掛金を180ヶ月以上納付している場合には一時金か年金、もしくは一時金と年金の組み合わせで、共済金を受け取る事ができます。

このような形で共済金を受け取るのを「老齢給付」と言いますが、その他には個人事業を廃止した場合、個人事業主が死亡した場合などにも、共済金を受け取る事ができます。

では同一人物が会社を退職する時に退職金を受け取り、確定拠出年金と小規模企業共済からも一時金を受け取った場合には、どのように税金を計算するのでしょうか?

確定拠出年金か小規模企業共済もしくは会社から、一時金か退職金を受け取り、次に別の制度もしくは会社から、一時金か退職金を受け取った場合、二度目に一時金か退職金を受け取った年の前年以前4年内に、最初の一時金か退職金の支給日がある時には注意が必要です。

なぜなら二度目に受け取った一時金か退職金の退職所得控除額を計算する時、重複した期間を除いて計算する必要があるからです。

例えば30歳で独立をして自営業を始め、独立と同時に確定拠出年金と小規模企業共済に加入したAさんが、60歳まで確定拠出年金の掛金を拠出(30年)して、63歳で確定拠出年金から一時金を受け取り、65歳まで小規模企業共済に加入(35年)して一時金を受け取った場合(4年内のケース)

・確定拠出年金の退職所得控除額
800万円+70万円×(30年−20年)=1,500万円

・小規模企業共済の退職所得控除額
800万円+70万円×(35年−20年)=1,850万円
1,850万円−1,500万円(重複した期間)=350万円

一方このAさんが60歳で確定拠出年金から一時金を受け取り、65歳で小規模企業共済から一時金を受け取った場合(4年超のケース)

・確定拠出年金の退職所得控除額
800万円+70万円×(30年−20年)=1,500万円

・小規模企業共済の退職所得控除額
800万円+70万円×(35年−20年)=1,850万円

二度目の一時金を受け取った年の前年以前4年内に、最初の一時金の支給日があるかないかで、1,500万円(1,850万円−350万円)も退職所得控除額に差が出てしまいます。

更に会社から退職金、もしくは小規模企業共済から一時金を受けた後に、確定拠出年金から一時を受け取ると、この4年が14年に延長され損をしてしまいますので、もしすべてを一時金で受け取る予定があるなら、確定拠出年金からの一時金は先に受け取っておきましょう。
posted by FPきむ at 20:09 | 年金と税金 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする