この本は余裕資金の運用方法、住宅ローンの見直し、老後の住まい、老後の保険、病気や介護への備え、相続対策、退職後に必要な手続きなど、老後の生活に必要な知識が幅広く記載されており、とても役に立つと思いました。
そういった中で、この本ならではだと思ったのは、次のように夫婦の年金額の合計(手取り)が16万円、20万円、24万円、12万円だった場合を想定して、支出の目標額を解説している点です。
(1)夫婦の年金額の合計(手取り)が「16万円」だった場合
夫婦の年金額の合計が16万円だった場合、支出の目標額は次のような金額になるようです。
食費:3万円
日用雑貨費:1万円
光熱・水道・電話代:2万円
教養娯楽費:1万円
レジャー費:1万円
交際費:1万円
医療費:1万円
被服費:5千円
夫小遣い:2万円
妻小遣い:1万円
雑費:5千円
社会保険料:2万円
なお著者の畠中さんは、夫婦の年金額の合計が16万円だった場合、次のような点が大切だとしております。
『年金が16万円の場合、ひと月の食費の予算は3万円程度に抑えたいもの。
前のページでもご紹介したとおり、年金は2カ月に1度の支給になりますので、2カ月で6万円程度に食費を抑えるのが目標になります』
(2)夫婦の年金額の合計(手取り)が「20万円」だった場合
夫婦の年金額の合計が20万円だった場合、支出の目標額は次のような金額になるようです。
食費:4万円
日用雑貨費:1万円
光熱・水道・電話代:2万5千円
教養娯楽費:1万5千円
レジャー費:1万5千円
交際費:1万5千円
医療費:1万5千円
被服費:5千円
夫小遣い:2万円
妻小遣い:1万円
雑費:1万円
社会保険料:2万円
なお著者の畠中さんは次のように、夫婦の年金額の合計が20万円ある事が、赤字を出さないための最低ラインと考えているようです。
『実際に年金額がひと月20万円あると、食費や公共料金、教養娯楽費などの基本生活費は、年金収入の中だけでやりくりするのも無理なことではありません。
年金暮らしの家計診断をしている中では、この20万円という金額が、赤字を出さずにやりくりできる年金暮らしの最低ラインになるようにも感じます』
(3)夫婦の年金額の合計(手取り)が「24万円」だった場合
夫婦の年金額の合計が24万円だった場合、支出の目標額は次のような金額になるようです。
食費:5万円
日用雑貨費:1万円
光熱・水道・電話代:3万円
教養娯楽費:1万5千円
レジャー費:1万5千円
交際費:2万円
医療費:2万円
被服費:1万円
夫小遣い:2万5千円
妻小遣い:1万円
雑費:5千円
社会保険料:3万円
なお著者の畠中さんは次のように、夫婦の年金額の合計が24万円ある場合には、冠婚葬祭費などのために使う、予備費の予算を立てる事が可能だとしております。
『年金月額が20万円くらいまででは、予備費の予算までは取りにくいですが、24万円の年金があれば、ひと月2万円程度は予備費の予算を立てることができます。
予備費の予算を立てておくと、不意の出費があった場合に、予備費から捻出することができるようになります』
(4)夫婦の年金額の合計(手取り)が「12万円」だった場合
夫婦の年金額の合計が12万円だった場合、支出の目標額は次のような金額になるようです。
食費:3万円
日用雑貨費:5千円
光熱・水道・電話代:2万円
教養娯楽費:5千円
レジャー費:5千円
交際費:5千円
医療費:1万円
被服費:0円
夫小遣い:1万5千円
妻小遣い:1万円
雑費:5千円
社会保険料:1万円
なお著者の畠中さんは次のように、夫婦の年金額の合計が12万円しかない場合には、赤字を出さないでやりくりするのは、かなり難しいと考えているようです。
『年金月額12万円というのは、厚生年金の加入期間が短かったり、自営業者のご夫婦の場合に考えられる年金額です。
自営業者のご夫婦で、仕事を続けながらの12万円であれば、それなりに生活は成り立つかもしれませんが、年金だけで暮らしていく場合の12万円は、厳しいやりくりを強いられるはずです』
以上のようになりますが、これを見ると「居住費(例えば住宅ローンなど)」や、「支払保険料(例えば生命保険など)が、全く記載されておりません。
これについて著者の畠中さんは、住宅ローンは返済方法の見直しなどにより、定年までに返済を終わらせるべきだとしております。
また生命保険は次のように、死亡保障は見直して、医療保障は残しても良いとしております。
『また、年金暮らしになってからも生命保険料などの負担が数万円単位で続いているご家庭をよく見受けます。死亡保障の保険は、見直しておく必要があります。
医療保険の保険料支払いは仕方がありませんが、その場合でも夫婦の保険料の合計額は1万円から1万5000円までに収めることが大切です』
更に老後が危ない!



