2018年10月30日

確定拠出年金の加入資格の範囲を、65歳まで拡大する案が議論開始へ

平成30年(2018年)10月28日の毎日新聞を読んでいたら、<厚労省>確定拠出年金、65歳まで加入期間延長へと題した記事が掲載されておりましたが、一部を紹介すると次のようになります。

『厚生労働省は、公的年金に上乗せする確定拠出年金について、原則60歳までとなっている加入期間を65歳まで延長する検討に入る。

60歳を超えても働き続ける人が増えている実情を踏まえ、掛け金を払い込める期間を延長し、老後の備えを手厚くするのが狙いだ。

年明けに厚労省の社会保障審議会企業年金部会で議論を始め、2020年の通常国会に確定拠出年金法の改正案を提出する方針だ。

確定拠出年金は、公的年金に上乗せする私的年金の一つ。個人が任意で加入する個人型(イデコ)と、勤め先の企業が運営する企業型があり、いずれも加入者自身が掛け金を運用し、運用成績次第で受け取る年金額が変わる。

掛け金は全額が所得控除の対象で税負担が軽減され、受け取る際も税制優遇が受けられる。

加入資格者は現在、個人型が60歳未満。企業型も原則60歳までだが、同じ事業所で勤め続ける場合に限って規約で定めれば65歳まで延長できる。

厚労省は、個人型、企業型とも65歳まで加入できるようにしたい考えだ。加入期間が延びれば、運用できる原資も増え、将来への備えが手厚くできるようになる』

以上のようになりますが、60歳以降も働く方が増えているため、この記事の中に記載されているように、確定拠出年金の加入資格の範囲が65歳まで拡大されるのは、時間の問題ではないかと思います。

もし法改正が実施された場合には最長で、厚生年金保険に加入している方は、中学を卒業してから65歳になるまで、国民年金に加入している方は、20歳から65歳になるまで、確定拠出年金に加入できるようになります。

ただ何らかの公的年金に加入している事が前提になるため、例えば60歳で定年退職を迎え、それ以降は厚生年金保険にしない、短時間労働者として働いている場合には、法改正が実施された後も、確定拠出年金には加入できないはずです。

こういった方が60歳以降に、確定拠出年金に加入したい場合は、国民年金に任意加入すれば良いと思います。

この任意加入とは例えば大学生の時、または失業している時に、国民年金の保険料を納付していない期間がある場合、それを穴埋めするため、60歳以降も国民年金に加入して、保険料を納付できる制度です。

原則65歳から支給される老齢基礎年金の、受給資格期間を満たしている場合は65歳まで、満たしていない場合には70歳まで任意加入できます。

公的年金の上乗せを準備する制度として、確定拠出年金よりも歴史の長い国民年金基金は、すでに法改正が実施されたため、国民年金に任意加入している場合には、65歳まで加入できます。

おそらく後輩の確定拠出年金は、先輩の国民年金基金をお手本にすると思うので、国民年金に任意加入する事を条件に、65歳まで確定拠出年金に加入できるようにするはずです。

確定拠出年金というニンジンをぶら下げる事により、国民年金に任意加入する方や、60歳以降も厚生年金保険に加入する方が増えれば、保険料収入が増えるため、年金財政が以前より安定化すると思います。

加入資格の範囲を65歳まで拡大する背景には、このような厚生労働省の思惑も、存在しているのではないでしょうか?

ただ確定拠出年金は税制面での優遇が大きいため、年金財政は以前より安定化しても、税収は以前より減ってしまうかもしれません。

ですから65歳までは拡大できても、70歳まで拡大するのは、難しいような気がします。

いずれにしろ公的年金の支給開始年齢の近くになって、年金額が少ないと気が付いた時に、そこから新たに始められる制度が充実するのは、良い事ではないかと思います。

確定拠出年金の加入資格の範囲が拡大された場合、60歳から65歳になるまでの間に、公的年金の上乗せを準備できる制度の選択肢は、次のようになると考えられます。

■厚生年金保険に加入している方
・企業型の確定拠出年金(勤務先が実施しており、加入資格を満たす場合)
・個人型の確定拠出年金(iDeCo)

■国民年金に任意加入している方
・国民年金基金
・個人型の確定拠出年金(iDeCo)
・付加年金

この中で国民年金基金と付加年金は同時に加入できませんが、個人型の確定拠出年金(iDeCo)と付加年金は、同時に加入できるのです。

ですからまずは月々の保険料が400円の、お手頃な付加年金に加入し、それでもまだ金銭的に余裕がある場合には、個人型の確定拠出年金(iDeCo)に加入するのが良いと思います。
posted by FPきむ at 20:43 | 確定拠出年金で自分年金を作る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月16日

投資への強制参加はiDeCo加入者の、満足度を下げる要因になる

平成30年(2018年)6月2日の日経電子版を読んでいたら、確定拠出年金、初期設定にルール 新制度をチェックと題した記事が掲載されておりましたが、一部を紹介すると次のようになります。

『5月の改正で最も多くの加入者にかかわるのが、運用商品に関するルール変更だ。

DCの運用商品の品ぞろえは従来の「3本以上、うち1本は元本確保型」から「リスク・リターンの異なる3本以上35本以下の金融商品」に変わった。

イデコを取り扱う金融機関(運営管理機関)の中には品ぞろえが60本を超えるところもあり、「選択肢が多すぎて逆に選ぶのが難しい」との指摘が根強くあった。

5月の改正で商品数に上限を設けたほか、元本確保型は義務ではなくなった。現時点で商品が35本を超えている運営管理機関は、23年4月末までに減らす必要がある。

また、どの商品で運用するのかを指図していない人の掛け金を自動的に投じる「初期設定(デフォルト)商品」についてもルールを明確にした。元本確保型にとどまりがちな加入者に対して、分散投資を促す狙いがある。

DCは長期の資産形成を目的とする制度だが、現状では運用資産の約6割を預貯金、保険などの元本確保型が占める。

金利がほぼゼロに近い定期預金などで運用していても、将来の年金資産を十分に増やすことはできない。

改正後、イデコについては運営管理機関がデフォルト商品を選んで加入者に周知し、一定期間を経過しても商品を選択しない加入者の掛け金を自動的にデフォルト商品に回せるようになった』

以上のようになりますが、この記事は平成30年(2018年)5月から、iDeCo(個人型の確定拠出年金)の掛金の運用先となる金融商品に関して、2つの変更があった事を紹介するものになります。

まずiDeCoの掛金の運用先として、運営管理機関(窓口となる金融機関)が提供する金融商品が、多すぎて選ぶのが難しいという声が挙がっていたため、「35本以下」という上限が設定されました。

また下限の「3本以上」の中の1本は、元本確保型商品(定期預金、保険など)を提供しなければならなかったのですが、これは廃止されたようです。

ですからこれからは「元本確保型商品:0、投資信託:35本」というように、極端な形で提供しても良いわけです。

もっとも「リスク・リターンの異なる」という制約があるため、ハイリスク・ハイリターンの株式で構成された投資信託だけなく、ローリスク・ローリターンの債券(国債、社債など)で構成された投資信託も、選べるようにしておく必要があります。

2つめの変更点としては、掛金をどの金融商品で運用するのかを選択していない場合に、自動的に掛金の運用先となる、「デフォルト(初期設定)商品」に関するルールが明確化されました。

ただ掛金の運用先を選んでいない場合、デフォルト商品の投資信託が選ばれる可能性が高いため、ルールの明確化というよりも、投資への強制参加といった方が正しいのかもしれません。

現在は金利が低いため、定期預金などの元本確保型商品ばかりを選んでも、掛金は増えていきません。

ですから投資への強制参加は、悪くない話だと思うのですが、次のように納得できない点もあるのです。

(1)自分で選べるというメリットを薄めてしまう
iDeCoは掛金の金額、掛金の運用先、掛金とその運用益の受け取り方(年金、一時金)などを、自分で選べるというメリットがある制度です。

そのため掛金の運用先を自動的に決められてしまうのは、このメリットを薄めているように感じるのです。

また自分で選べるという点をメリットに感じない方、または自分で選ぶのが面倒という方は、そもそもiDeCoではなく、国民年金基金や個人年金保険に加入した方が良いと思います。

(2)元本割れに苦情を寄せる加入者が出てくる
投資信託は元本が保証されておりませんから、一時的に元本割れする可能性があります。

掛金の運用先がデフォルト商品の投資信託になった方は、これを理解していない場合があると思います。

また予期していなかった元本割れに納得できない加入者は、運営管理機関や消費者センターなどに苦情を寄せるかもしれません。

(3)主体的に選ばないと満足度は下がる
生命保険の顧客満足度調査を見てみると、大手の生命保険会社の顧客は満足度が低く、共済系の顧客の満足度は高いという結果が出ております。

このような結果になった理由のひとつとして、大手の生命保険会社の顧客は、保障内容をよく理解しないで、つきあいで加入している場合が多いのに対して、共済系の顧客は保障内容を十分に理解し、主体的に加入している場合が多い点が挙げられます。

デフォルト商品の投資信託を自動的に選ばされた方は、その商品内容を理解していない可能性があります。

また主体的に選んだ訳ではありませんから、大手の生命保険会社の顧客と同じように、iDeCoに対する満足度が下がってしまうと思うのです。
posted by FPきむ at 20:25 | 確定拠出年金で自分年金を作る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする