2013年06月12日

基礎年金番号とは

日本の公的な年金制度には、自営業者などが加入する「国民年金」、会社員などが加入する「厚生年金保険」、公務員などが加入していた「共済年金」などがありますが、基礎年金番号とはこれらの年金制度において共通して使用できる番号で、1人1番号となっております。

この基礎年金番号は4桁の課所符号と6桁の一連番号の、計10桁で構成されておりますが、基礎年金番号通知書、青色の年金手帳、年金証書のいずれかに記載されております。

また基礎年金番号は平成9年1月から使用されるようになりましたが、それ以前はそれぞれの年金制度ごとに年金手帳が発行され、そこには基礎年金番号ではなく、それぞれの年金制度ごとの「記号番号」が記載されておりました。

つまり例えば「公務員→会社員→自営業者」という転職経験がある方は、3つの年金手帳と記号番号を所持しておりました。

ただ会社員の方が別の会社に転職した場合など、加入する年金制度が変わっていないのに、手続き上のミスにより、新たな年金手帳と記号番号が発行されたケースもあります。

ところで平成8年12月まで、国民年金や厚生年金保険の加入者には、オレンジ色の年金手帳が発行されておりましたが、そこにはそれぞれの年金制度だけで使える、記号番号が記載されておりました。

ただ平成9年1月からは上記のように、記号番号が基礎年金番号に変更されましたので、オレンジ色の年金手帳を持っていた方には、基礎年金番号通知書が送付されました。

注:平成9年1月以降は年金手帳が、オレンジ色から青色に変わりましたが、そこには初めから基礎年金番号が記載されております。

またその時に記号番号で管理されていた複数の年金記録は、基礎年金番号のみで管理されるようになりましたが、これには次のようなメリットがあります。

(1)年金相談において正確で迅速な回答が得られる
公務員から自営業に転職するなどの理由で複数の年金制度した場合、もしくは本人が年金の加入記録を忘れてしまった場合などには、年金事務所で年金相談を受けても、十分な回答を得られない場合がありました。

しかしこのような方でも、1人1個の基礎年金番号で年金記録が管理される事により、正確で迅速な回答が得られるようになりました。

(2)保険料の未納と年金額の減額を防ぐ
例えば会社などを退職して国民年金に加入すべき方が、その手続きをしなかった場合、記号番号の時代にはその手続きの忘れを、日本年金機構は把握できませんでした。

しかし基礎年金番号が導入されてからは、日本年金機構はそれをすぐに把握できますので、保険料の未納により原則25年(10年に短縮予定)の受給資格期間(9月6日のブログを参照)を満たせない方が減り、また年金額が減額するのを防げるようになりました。

(3)年金制度どうしの提携が適切に行われる
例えば「国民年金」から支払われる、遺族基礎年金(8月14日のブログを参照)を受給している方の末子が、18歳に達する日以後の最初の3月31日を過ぎた場合、この遺族基礎年金を受給できなくなります。

ただ一定の要件を満たしていれば遺族基礎年金の代わりに、「厚生年金保険」から支払われる中高齢寡婦加算(9月18日のブログを参照)を、引き続き受給する事ができます。

このような場合に年金記録が基礎年金番号で管理されていないと、遺族基礎年金から中高齢寡婦加算への切り替えが、スムーズにできなくなりますが、つまり基礎年金番号により年金制度どうしの提携が、適切に行われるようになりました。

(4)各種の届出が簡素化される
基礎年金番号を年金事務所のパソコンに入力すると、名前や住所、これまでの職歴などが出力されますが、こういった機能により年金に関する各種の届出は、簡素化されるようになりました。

(5)ねんきん定期便が送付できる
平成21年4月から法律上の誕生月になると毎年、日本年金機構からねんきん定期便(2月8日のブログを参照)が送付されますが、こういった事が可能なのも年金記録が、 1人1個の基礎年金番号で管理されているからです。

ただ平成8年12月までの共済年金に関する年金記録は、基礎年金番号への統合が進められており、作業が終了するまでの間は、ねんきん定期便に記載しない事になっておりますが、詳細については2月19日のブログを参照して下さい。

以上のようになりますが、オレンジ色の年金手帳を複数持っているという方は、基礎年金番号に統合されていない年金記録がある可能性がありますので、ねんきん定期便などで年金記録を調べてみます。

もし統合されていない年金記録があった場合には、所持しているすべての年金手帳や基礎年金番号通知書を添付して、「基礎年金番号重複取消届」という書類を年金事務所に提出します。

また会社などで働いている方は、このような手続きを年金事務所に行うよう、人事総務部などに属する社会保険事務の担当者に依頼します。

なお年金手帳や基礎年金番号通知書に記載されている名前、または生年月日が違っていた場合には、「被保険者氏名変更(訂正)届」や「被保険者生年月日訂正届」を年金事務所に提出しますが、年金の請求は戸籍謄本の氏名と生年月日で行いますので、これらを戸籍謄本の方に合わせます。
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2013年03月07日

退職時に一時金を受け取っても年金を受給できる場合とできない場合

会社員や公務員などとして過去に働いており、退職する時に厚生年金保険や共済年金などから、何らかの一時金を受け取った方もいるかと思いますが、この一時金を受け取っても次のように、年金を受給できる場合とできない場合があります。

(1)退職一時金
公務員などが加入する共済年金の加入期間が短い場合、年金に結びつかず保険料の掛け捨てになってしまうので、その防止のため「退職一時金」という制度がありました。

この制度は昭和54年12月31日をもって廃止されましたが、昭和36年4月に通算制度が導入され、公的年金(国民年金、厚生年金保険、共済年金など)の加入期間が通算できるようになり、共済年金の加入期間が短い場合でも、年金(通算退職年金)に結びつく可能性が広がったからです。

この退職一時金を受け取った方が、後で年金の方が良かったと思った場合に、退職一時金(一定額の利子を加算)を返還する事により、年金に切り替える事ができます。

注:昭和36年4月より前に退職して、退職一時金を受け取った場合には、退職一時金を返還して年金に切り替える事はできません。

ただ退職一時金を全額受け取った場合と、通算退職年金の原資を残し、残りを受け取った場合では、次のような違いがあります。

【退職一時金を全額受け取った場合】
退職一時金の計算の基礎となった共済年金の加入期間と、その他の共済年金の加入期間を合わせた期間が20年以上ある時は、退職一時金を返還して年金を受給できます。

注:前後の共済年金の加入期間を合わせる事ができるのは、同一の共済年金の場合のみになりますが、国家公務員共済組合と地方公務員等共済組合は通算制度があるので、共済年金が違っても前後の期間を合わせる事ができます(以下でも同様の考え方になります)。

ただ退職一時金の計算の基礎となった共済年金の加入期間と、その他の共済年金の加入期間を合わせた期間が20年未満の時は、退職一時金を返還して年金を受給する事はできません。

【通算退職年金の原資を残し、残りを受け取った場合】
退職一時金の計算の基礎となった共済年金の加入期間と、その他の共済年金の加入期間を合わせた期間が、20年以上あるか否かにかかわらず、退職一時金を返還して年金を受給できます。

以上のようになりますが、昭和54年12月31日に退職一時金が廃止された事に伴い、昭和55年1月1日から「脱退手当金」という制度が始まりましたが、この制度も昭和61年3月31日に廃止されました。

この脱退手当金は(2)の厚生年金保険の脱退手当金と同じ取扱いになり、脱退手当金の計算の基礎となった共済年金の加入期間については、共済年金に加入していなかったものとみなされるので、退職一時金のように後で返還して年金に切り替える事はできません。

なお退職一時金を返還しなかった場合、退職一時金の計算の基礎となった共済年金の加入期間のうち、昭和36年4月から昭和61年3月までの期間については、合算対象期間(カラ期間)とされます。

注:合算対象期間(カラ期間)とは原則25年(10年に短縮予定)の、受給資格期間(老齢基礎年金を受給するために必要な加入期間)に反映されても、年金額には反映されない期間になります。

また昭和36年4月より前の共済年金の加入期間についても、昭和36年4月からの加入期間と途切れる事なく継続していれば、合算対象期間(カラ期間)とされます。

(2)脱退手当金
昭和61年3月以前の旧法では、厚生年金保険(船員保険も含む)の加入期間が短いと年金に結びつかず、保険料の掛け捨てになってしまうので、その防止のため「脱退手当金」という制度がありましたが、結婚を期に退職してしまう女性などに利用されておりました。

しかし昭和61年4月以降の新法では、原則25年(10年に短縮予定)の受給資格期間を満たし、老齢基礎年金を受給できるようになれば、厚生年金保険の加入期間がたとえ1ヶ月でも、年金に結びつくようになりましたので、脱退手当金は存在意義がなくなり廃止されました。

また脱退手当金の金額は、厚生年金保険に加入していた期間に応じて決まりますが、脱退手当金の計算の基礎となった期間については、厚生年金保険に加入していなかったものとみなされます。

ですから(1)の退職一時金のように返還制度はなく、脱退手当金の計算の基礎となった期間が、年金に結びつく事はありません。

しかし退職前に勤務していた会社が、企業年金のひとつである厚生年金基金を実施しており、かつ脱退手当金の計算の基礎となった期間に、厚生年金基金の期間が含まれている場合、基金の規約や加入状況によっては企業年金連合会に記録が移管され、年金に結びつく事があります。

また昭和61年3月までに脱退手当金を受けた方が、昭和61年4月から65歳に達するまでの間に、年金制度に加入して保険料を納付した期間、また免除を受けた期間を有した場合、その脱退手当金の計算の基礎となった期間のうち昭和36年4月以後の期間については、合算対象期間(カラ期間)とされます。

なお日本の滞在期間が短くて、年金が受けられない外国人に対する保険料の掛け捨て防止策として、平成7年4月1日に創設された「脱退一時金」の制度は、脱退手当金とは違い現在でも利用できます。

(3)厚生年金基金の「加算年金」
厚生年金基金は9月29日のブログで紹介しましたように、本来は日本年金機構が支払う老齢厚生年金の一部を、代行して支払っております。

この代行部分と上乗せ部分を合わせ「基本部分」と言いますが、厚生年金基金によってはこの基本部分の他に、厚生年金基金が独自に設定した「加算部分」を支払っている場合があります。

また代行部分と上乗せ部分は年金でなければなりませんが、加算部分は厚生年金基金が独自に設定できるので、年金であっても一時金であっても構いません。

退職時に加算部分を一時金で受け取っている方は、もう厚生年金基金からは何も受給できないと思ってしまいますが、代行部分と上乗せ部分、つまり基本部分を受給する権利は残っております。

ですからこれらについてはきちんと請求する必要がありますが、厚生年金基金の加入期間が10年未満の場合には、加入していた厚生年金基金ではなく企業年金連合会に請求します。
posted by FPきむ at 20:03 | 年金記録の知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする