2014年03月22日

国民年金の脱退一時金とは

日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者は、たとえ外国人であっても、国民年金に強制加入しなければなりません。

逆に言えば外国人であっても国民年金の保険料を納付して、原則25年の受給資格期間(6月27日のブログを参照)を満たせば、原則65歳から老齢基礎年金を受給できます。

注:受給資格期間を満たした後に帰国した場合、老齢基礎年金の請求は郵送か代理人によって行い、年金は海外送金になります。

ただ日本に短期間だけ在留する外国人は、受給資格期間を満たせない場合が多いので、納付した保険料が掛け捨てになってしまいました。

これを防止するため平成7年4月1日に「脱退一時金」が創設され、納付した保険料の一部を、帰国後に還付してもらえるようになりましたが、この脱退一時金のうち国民年金の脱退一時金とは、次のような制度になります。

(1)脱退一時金の受給要件
脱退一時金を受給するためには請求日の前日において、請求日の属する月の前月までの、国民年金の第1号被保険者(9月20日のブログを参照)の期間にかかわる、次のような期間の合計が、最低でも6ヶ月以上は必要になります。

注:第2号被保険者や第3号被保険者の期間に関しては、合計する事ができません。

■保険料納付済期間
国民年金の保険料を納付した期間になりますが、保険料納付済期間しかない場合には、それが最低でも6ヶ月は必要になります。

■半額免除期間(4月17日のブログを参照)
保険料納付済期間の2分の1として計算するので、半額免除期間しかない場合には、それが最低でも12ヶ月は必要になります。

■4分の1免除期間(4月15日のブログを参照)
保険料納付済期間の4分の3として計算するので、4分の1免除期間しかない場合には、それが最低でも8ヶ月は必要になります。

■4分の3免除期間(4月20日のブログを参照)
保険料納付済期間の4分の1として計算するので、4分の3免除期間しかない場合には、それが最低でも24ヶ月は必要になります。

以上のようになりますが、その他にも次のような要件を満たす必要があります。

・日本国籍を有していないこと

・帰国後、2年以内に請求すること

・老齢年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金など)や、退職年金(退職共済年金など)の、受給資格期間を満たしていないこと

(2)脱退一時金を受給できない場合
国民年金の保険料を、最低でも6ヶ月以上納付した外国人であっても、次のような者は脱退一時金を請求できません。

【日本国内に住所を有すること】
脱退一時金を請求できるのは帰国後になりますので、日本国内に住所を有しているうちは請求できません。

【障害基礎年金などの受給権を有したことがある】
障害基礎年金などを受給した事があれば、納付した保険料は掛け捨てにならならず、脱退一時金が創設された主旨から外れるので、脱退一時金を請求できなくなります。

【最後に第1号被保険者の資格を喪失した日から起算して、2年以上経過していること】
脱退一時金を請求できるのは、帰国してから2年以内になるからです。

(3)脱退一時金の金額
基準月が平成25年4月から、平成26年3月までにある場合の、脱退一時金の金額(平成25年度額)は、次のようになります。

注:上記のように免除期間がある方、例えば半額免除期間のみで12ヶ月の方は、保険料納付済期間は6ヶ月に減ってしまい、また第2号被保険者や第3号被保険者の期間は、含める事ができません。

■加入期間(保険料納付済期間)→脱退一時金の金額
6ヶ月以上12ヶ月未満→45,120円
12ヶ月以上18ヶ月未満→90,240円
18ヶ月以上24ヶ月未満→135,380円
24ヶ月以上30ヶ月未満→180,480円
30ヶ月以上36ヶ月未満→225,600円
36ヶ月以上→270,720円

なお基準月とは請求日の属する月の前月までの、国民年金の第1号被保険者の期間のうち、資格喪失日から一番近い保険料納付済期間の月、または免除期間の月を示しますが、請求日の前日で判断します。

つまり加入期間(保険料納付済期間)が同じ数であっても、基準月によって脱退一時金の金額は変わりますが、また年度が変わり平成26年度になれば、脱退一金の金額は変更されます。

(4)脱退一時金の請求方法
脱退一時金の請求書は日本年金機構のサイトから入手でき、またお近くの年金事務所や、市区町村の役場などでも入手できますが、この請求書を提出する際には、次のような書類を添付します。

・年金手帳
・パスポートの写し(出国年月日、氏名、生年月日が確認できるページの写し)
・銀行名、口座番号などが確認できる書類

以上のようになりますが、日本政府は諸外国と少しずつ、社会保障に関する協定を締結して、お互いの国の年金制度の加入期間を、通算できるようにしております。

また11月8日のブログに記載しましたように、原則25年もあった受給資格期間は、平成27年(2015)10月1日から、10年に短縮される予定です。

ですから脱退一時金を請求する前に、このような制度を利用して年金を受給できないかを、調べてみた方が良いのです。
posted by FPきむ at 21:24 | 老齢基礎年金 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月17日

老齢基礎年金の繰下げとは

原則25年(10年に短縮予定)の受給資格期間(9月6日のブログを参照)を満たしており、66歳に達する前に老齢基礎年金の裁定請求をしていない方は、任意の時点で厚生労働大臣に申し出る事により、本来は65歳になると国民年金から支給される老齢基礎年金を、繰下げて受給する事ができます。

つまり繰下げの申出ができるのは、最低でも66歳に達してからになるので、その前に申出を行っても老齢基礎年金に加算はなく、65歳から申出までの老齢基礎年金を、一時金で受給する事になります。

また繰下げの申出をするためには、65歳に達する月の前月になると日本年金機構から届く、ハガキ形式の「年金請求書(国民年金・厚生年金保険老齢給付)」に記載されている、「老齢基礎年金のみ繰下げ希望」を○で囲んで送付するだけですので、特に難しい手続きは必要ありません。

なお国民年金だけに加入した方には、上記のようなハガキは届きませんが、このような方は65歳に達した時に、老齢基礎年金の裁定請求書を年金事務所などに提出しなければ、繰下げを希望しているとみなされます。

ところで老齢基礎年金を繰下げした場合の加算率は、昭和16年4月1日以前に生まれた方については、次のように年単位で決まっていました。

・66歳→12%の加算
・67歳→26%の加算
・68歳→43%の加算
・69歳→64%の加算
・70歳→88%の加算

つまり66歳0ヶ月で申し出ても、66歳11ヶ月で申し出ても、加算率は同じになります。

ただ昭和16年4月2日以降に生まれた方については、年単位から月単位に変更され、1ヶ月繰下げるごとに0.7%の割合で加算されますが、上記と同じ時期に繰下げ受給すると次のようになります。

・66歳→8.4%の加算(1年×12ヶ月×0.7%)
・67歳→16.8%の加算(2年×12ヶ月×0.7%)
・68歳→25.2%の加算(3年×12ヶ月×0.7%)
・69歳→33.6%の加算(4年×12ヶ月×0.7%)
・70歳→42%の加算(5年×12ヶ月×0.7%)

注:「年単位」であっても「月単位」であっても、老齢基礎年金に加算が行われるのは、最長で70歳までになりますが、年数にすると最長で5年(60月)になります。

この比較からわかるように、昭和16年4月2日以降に生まれた方については、繰下げの加算率が低くなりましたが、その他の注意点としては次のようになります。

【繰下げの期間中はいつでも、65歳に遡って老齢基礎年金を受給する事ができます】
これは例えば70歳になってから、老齢基礎年金を繰下げ受給しようと思っていた方が、67歳になった時点で繰下げを止めようと思った場合、繰下げはなかった事にして、65歳から67歳になるまでの老齢基礎年金を、一時金で受給する事ができます。

なお65歳になった時点で、ハガキ形式の「年金請求書(国民年金・厚生年金保険老齢給付)」を送付している方が、66歳になるまでに繰下げを取り消す場合は、「老齢基礎年金請求取消申立書」を使いますが、66歳以降の場合は「老齢基礎・厚生年金裁定請求書(65歳支給)」を使います。

また66歳に達するまでの間に、上記のハガキ形式の年金請求書を送付していない場合、「繰下げ希望」を○で囲まずに送付すれば、65歳からの老齢基礎年金を遡って受給できます。

【65歳に達した時に、障害基礎年金、遺族基礎年金、障害厚生年金、遺族厚生年金、障害共済年金、遺族共済年金の受給権者である方は、繰下げの申出ができません】
この理由として例えば、65歳から70歳になるまで遺族厚生年金を受給して、70歳から加算された老齢基礎年金に切り替えて受給すると、65歳から途切れる事なく、何らかの年金を受給できます。

これでは受給を遅らせた分だけ年金を加算するという、繰下げ制度の主旨から外れてしまいますので、このような定めが作られたと考えられます。

なお66歳に達するまでに、上記のような年金の受給権を取得した場合にも、繰下げの申出ができなくなります。

また66歳に達した後に、上記のような年金の受給権を取得した場合には、その受給権を取得した時に厚生労働大臣に対して、繰下げの申出があったとみなされます。

これは例えば70歳まで繰下げしようと思っていたが、67歳になった時に遺族厚生年金の受給権が発生した場合、その時点で次の2つの中から選択する事になります。

・67歳まで繰下げ加算された老齢基礎年金と、遺族厚生年金を併せて受給する

・繰下げはなかった事にして、65歳から67歳になるまでの老齢基礎年金を遡って一時金で受給して、その後は加算がない老齢基礎年金と遺族厚生年金を併せて受給する

【繰下げ期間中に死亡した場合には、未支給年金として遺族に支給される事になります】
繰下げ期間中に死亡した場合には、生計を同じくしていた配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹が、未支給年金(7月28日のブログを参照)として受給できます。

なおこの場合には65歳に到達した月の翌月から、死亡した月までの年金が、未支給年金として取り扱われます。

【付加保険料を納付していた場合、付加年金(7月27日のブログを参照)の支給時期は老齢基礎年金と共に繰下がり、その加算率も老齢基礎年金と同じになります】
なお振替加算(2月9日のブログを参照)の支給時期も、老齢基礎年金と共に繰下がりますが、付加年金のように加算は行われません。

以上のようになりますが、例えば70歳で繰下げの申出を行った場合は、81歳と11ヶ月程度まで生きると老齢基礎年金の受取総額が、繰下げの申出を行わなかった方と逆転します。

なお昭和16年4月1日以前に生まれた方の場合は、76歳と9ヶ月程度まで生きると老齢基礎年金の受取総額が、繰下げの申出を行わなかった方と逆転しました。

追記:
例えば請求が遅れて72歳になった場合、70歳から72歳になるまでの老齢基礎年金は受給できなくなるのですが、11月18日のブログに記載しましたように法改正が行われ、70歳から72歳になるまでの老齢基礎年金を、遡って受給できるようになりました。
posted by FPきむ at 20:32 | 老齢基礎年金 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする