2014年05月01日

旧法時代の障害基礎年金の歴史と法改正の概要

昭和61年3月まで会社員や公務員の方などは、厚生年金保険や共済年金といった、国民年金とは全く別の年金制度に加入しておりましたが、昭和61年4月からは、それらに加入すると同時に、国民年金にも加入する事になりました。

そのため厚生年金保険や共済年金の加入者が受給する年金は、国民年金から支給される、障害基礎年金などの基礎年金をベースに、厚生年金保険や共済年金から、給与に比例した上乗せ(障害厚生年金、障害共済年金など)が支給される、2階建ての構造に変わりました。

このように昭和61年4月から、公的年金に大きな変化がありましたので、昭和61年4月から施行された年金法を「新法」、それ以前を「旧法」と区別しております。

この旧法時代における障害基礎年金の歴史と法改正の概要は、次のようになっております。

■昭和36年4月
公務員や会社員の方などを対象にした公的年金は、戦前から存在しておりましたが、自営業者の方などを対象にした公的年金は、まだ存在しておりませんでした。

そこで昭和34年に国民年金法が制定され、自営業者の方なども公的年金の対象になりましたが、実際に国民年金が始まり、保険料の徴収が始まったのは、昭和36年4月からになります。

注:国民年金手帳などに記載されている、国民年金への加入日が、昭和36年4月より前という方もおりますが、これは昭和35年10月から始まった、準備期間に加入手続きを済ませたという意味であり、そこから国民年金の被保険者期間が始まる訳ではありません。

現在の障害基礎年金の支給要件については、8月11日のブログで紹介しましたが、国民年金が始まった頃の支給要件は、次のようになっておりました。

・初診日の前に継続して1年以上、保険料を完納していること

・内科的疾患に基づくものは、障害基礎年金の対象にならない

・病気やケガによる障害が固定した時に、障害認定を行う

・国民年金に加入する前の障害を、併合認定(4月20日のブログを参照)という形で取り入れる

なおそれに先立つ昭和34年11月に国民年金から、「障害福祉年金(無拠
出年金)
」が支給されましたが、これは保険料を納付していなくても受給できる、福祉的な要素の強い年金になります。

この障害福祉年金の対象は、昭和36年4月前に発生した病気やケガによる障害、明治44年3月以前に生まれた方の障害、20歳未満に発生した病気やケガによる障害になります。

注:昭和61年4月に新法が始まった際、20歳未満に発生した病気やケガによる障害に支給される障害福祉年金は、「20歳前に初診日のある障害基礎年金」に裁定替えされましたが、詳細については4月3日のブログを参照して下さい。

■昭和39年8月
内部的障害のうち精神病質、神経症、精神薄弱を除く精神障害のすべて、結核による身体の障害および症状も、障害基礎年金の支給対象になりました。

また障害認定日(3月29日のブログを参照)が、初診日から起算して3年を経過した日、または3年を経過するまでに治った場合は、その日になりました。

■昭和40年8月
障害の範囲に、すべての精神障害が含まれる事になりました。

■昭和41年12月
残されていた障害(心臓、腎臓などの新内部障害)のすべてが、障害基礎年金の適用範囲に含まれる事になりました。

また保険料の納付要件を初診日ではなく、障害認定日で判断する事になりました。

その他として事後重症の制度(4月10日のブログを参照)が、創設される事になりました。

■昭和44年
障害の程度が軽快して、障害等級の1級または2級に該当しなくなり、障害基礎年金の受給権を失権した場合、再び障害の程度が増進しても、その受給権が復活する事はありませんでした。

そのため障害の程度が軽快しても、観察期間を置いて、その間は支給停止とし、厚生大臣の定める程度の障害の状態に該当しなくなった時に、失権すると改正されました。

■昭和46年11月
障害等級の1級または2級の障害者に対して、通常70歳から支給される老齢福祉年金が、65歳までの範囲で繰り上げて、支給される事になりました。

■昭和48年10月
物価スライド制が導入されましたが、当時の物価スライド制は、対前年度比の全国消費者物価指数が、5%を超えて上下した場合に、その変動率に応じて、年金額を改定する仕組みでした。

その後は昭和60年の法改正で、それまでの対前年度比から、対前年比の全国消費者物価指数に改められ、また平成元年の法改正では5%の枠を外し、対前年比の全国消費者物価指数の変動率に応じ、翌年の4月から年金額を改定する、いわゆる「完全自動物価スライド制」になりました。

また障害の程度が軽快して、障害等級の1級または2級に該当しなってから3年以内に、厚生大臣の定める程度の障害の状態に該当しなくなった場合、障害基礎年金の受給権を失権する事になっておりましたが、3年間の支給停止に改正されました。

■昭和51年8月
国民年金の保険料を納付した期間と、他の公的年金の加入期間を合算した期間が1年以上ある場合には、保険料の納付要件を満たす事になりました。

また障害認定日については「初診日から3年を経過した日」ではなく、「初診日から1年6ヶ月を経過した日」に改正され、保険料の納付要件を判断する日については、障害認定日から初診日の前日に改正されました。

その他として同一の障害について、厚生年金保険などの他の公的年金から、障害年金を受けられる場合には、これを優先して、障害基礎年金の方が多い場合には、その差額が支給されるようになりました。

■昭和60年7月
昭和41年12月に事後重症が創設された後も、それを請求できる期間は「初診日から5年」になっておりましたが、この年から現在のように、「65歳に達する日の前日」に改正されました。
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2014年04月29日

無年金障害者に支給される特別障害給付金とは

国民年金が昭和36年4月に始まってから昭和61年3月まで、会社員や公務員などの配偶者であった期間は、国民年金に強制加入する必要はなく、希望者だけが任意加入できるようになっておりました。

また国民年金が昭和36年4月に始まってから平成3年3月まで、大学などの学生であった期間は、国民年金に強制加入する必要はなく、希望者だけが任意加入できるようになっておりました。

そのためこういった方の中には、国民年金に加入していない方が多数おりましたが、任意加入できるのに、任意加入していなかった期間に、病気やケガが発生して、それが治ゆした時に、障害等級の1級または2級に該当しても、障害基礎年金を受給する事はできません。

その理由として障害基礎年金の支給要件の一つに、「初診日において、国民年金の被保険者であること」という、初診日の要件があるからですが、詳細については8月11日のブログを参照して下さい。

こういった障害基礎年金を受給できない、無年金障害者を救済するため、法改正により平成17年4月から、特別障害給付金が支給される事になりましたが、その仕組みは次のようになります。

(1)支給対象者(特定障害者)
昭和36年4月から昭和61年3月までの、会社員や公務員などの配偶者であった期間は上記のように、国民年金に強制加入する必要はなく、希望者だけが任意加入できるようになっておりました。

こういった国民年金に任意加入できたのに、任意加入していなかった期間内に初診日があり、障害等級の1級または2級に該当している者は、特別障害給付金の支給対象者(以下では「特定障害者」で記述)になります。

注:65歳に達する日の前日までに、障害等級の1級または2級に該当している必要があります。

その他に次のような者の配偶者も、昭和36年4月から昭和61年3月まで、国民年金に強制加入する必要はなく、希望者だけが任意加入できるようになっていたので、初診日と障害等級の要件を満たせば、特定障害者になります。

老齢給付(老齢基礎年金、老齢厚生年金など)を受給している者、もしくは老齢給付の、受給資格期間(6月27日のブログを参照)を満たしている者】
国民年金の通算老齢年金(2月22日のブログを参照)、厚生年金保険の通算老齢年金(2月19日のブログを参照)などを受給している者、もしくはこれらの受給資格期間を、満たしている者は除きます。

【障害年金を受給している者】

【国会議員】

【地方議会議員】
他とは少し取り扱いが違い、昭和37年12月から昭和61年3月までになります。

また昭和36年4月から平成3年3月までの、大学などの学生であった期間は上記のように、国民年金に強制加入する必要はなく、希望者だけが任意加入できるようになっておりました。

そのため会社員や公務員などの配偶者と同じように、任意加入していなかった期間内に初診日があり、障害等級の1級または2級に該当している者は、特別障害給付金を受給できます。

なお「大学など」とは大学、大学院、短大、高等学校、高等専門学校を示しますが、昭和61年4月から平成3年3月までは、専修学校や一部の各種学校も含まれます。

以上のようになりますが、障害基礎年金や障害厚生年金などといった障害年金を受給できる者は、特別障害給付金を受給する事はできません。

また原則的な障害認定日(3月29日のブログを参照)に、障害等級の1級または2級に該当していなくても、65歳に達する日の前日までに、そのような障害状態に該当していれば良いのです。

そのため基準障害と他の障害の合併(4月16日のブログを参照)、もしくは事後重症(4月10日のブログを参照)により、障害等級の1級または2級に該当した場合にも、特別障害給付金を受給する事ができます。

(2)支給額と支給月
障害等級の1級に該当する方の特別障害給付金は、1ヶ月あたり50,000円(2級の1.25倍)になり、また障害等級の2級に該当する方の特別障害給付金は、1ヶ月あたり40,000円になります。

ただこの月額は毎年度、前年の消費者物価指数の変動に応じて、自動的に見直しされるので、平成26年度の1級は49,700円、2級は39,760円になりました。

なお特別障害給付金は他の年金と同じように、毎月支給される訳ではなく、2月、4月、6月、8月、10月、12月といった偶数月に、前2ヶ月分が支給されます。

(3)所得制限
特別障害給付金を受給している者の所得が一定以上ある場合には、支給額の全額、または2分の1が停止されますが、この所得の基準については、20歳前に初診日がある障害基礎年金(4月3日のブログを参照)と、同様の考え方になります。

(4)支給調整
特別障害給付金を受給している者に、次のような年金が支給される場合、それが特別障害給付金を下回る時には、その差額が支給され、逆にそれが特別障害給付金を上回る時は、特別障害給付金は支給されません。

・老齢年金や遺族年金など、老齢や死亡を理由とする年金

・労災保険などから支給される年金

なおこのような年金が、全額支給停止されている時は、特別障害給付金は支給停止されません。

その他として次のような状態に該当する場合には、特別障害給付金は支給されません。

・日本に住んでいないとき

・監獄、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されているとき

(5)請求手続き
特別障害給付金を受給するためには、原則として65歳に達する日の前日までに、次のような書類を添付して「特別障害給付請求書」を、住所地を管轄する市区町村の役場に提出します。

・年金手帳または基礎年金番号通知書
・障害の原因となった病気やケガに関する診断書
・病歴等申立書
・特別障害給付金所得状況届
・戸籍抄本または住民票
・在学証明書
・任意加入であったことを証明するもの

以上のようになりますが、手続きが完了すると年金証書の代わりに、「特別障害給付金受給資格者証」が送付されます。

なお特別障害給付金は請求年金のため、請求手続きを済ませた月の翌月から支給される、つまり障害になった時まで遡って、支給される訳ではありません。

注:障害の程度が軽快したり、増進したりした場合の額の改定も、その月の翌月からになります。

そのため早めに手続きを行う必要があるのですが、添付書類がすべて揃っていなくても特別障害給付請求書だけは、先に受け付けてくれるようです。

(6)保険料の免除
特別障害給付金を受給している者は、国民年金の保険料の納付を免除されますが、障害基礎年金のように法定免除(4月3日のブログを参照)にはなりませんので、免除を受けるため毎年度、申請が必要になります。
posted by FPきむ at 20:25 | 障害基礎年金 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする