2019年12月20日

「老後2,000万円不足問題」+「日本終わってる」=老後のない社会

令和元年(2019年)12月2日のオリコンニュースを読んでいたら、『新語・流行語大賞』2019“年間大賞”「ONE TEAM」に決定 TOP10は「タピる」「闇営業」「令和」など選出と題した記事が掲載されておりましたが、一部を紹介すると次のようになります。

『その年話題となった新語・流行語を決定する年末恒例の『2019 ユーキャン新語・流行語大賞』(現代用語の基礎知識選)が2日に発表され、“年間大賞”に日本が初の8強入りを遂げ、列島が沸いたラグビーW杯日本大会のチームのスローガン「ONE TEAM(ワンチーム)」が輝いた。

トップ10には「計画運休」「軽減税率」「スマイリングシンデレラ/しぶこ」「タピる」「#KuToo」「◯◯ペイ」「免許返納」「闇営業」「令和」が選出された。

年間大賞となった「ONE TEAM」の受賞者は、日本列島を熱狂の渦に巻き込んだラグビー日本代表チーム。

「4年に一度じゃない。一生に一度だ。」の公式キャッチフレーズで始まった2019日本大会は、日本代表チームが開幕戦のロシアに勝利すると、アイルランド、サモアそしてスコットランドを撃破、予選プール4連勝で日本ラグビー史上初の決勝トーナメント進出を決めた。

熱狂の源となった「ONE TEAM」は、日本代表を率いるジェイミー・ジョセフヘッドコーチが掲げたテーマ。ジョセフ氏はチームに必要な選手たちを国籍問わず招集し、31人の代表選手を選んだ。

どんな強豪チームでも選手たちの思い、心が一つにならなければチームとして機能しない。7ヶ国15人の海外出身選手を含む31人はリーチマイケル主将を中心に桜の戦士ONE TEAMとして結束し、快進撃を続けた。

選定理由として「日本代表の快進撃と1個のボールを取り合う面白さは多くの人々を虜にした。テレビの視聴率はうなぎ上り、日本代表のレプリカジャージは完売し、ラグビーを始める子どもたちも急増した」と解説』

以上のようになりますが、ラグビー日本代表チームの快進撃は、多くの人々の注目を集めたので、「ONE TEAM」が新語・流行語大賞に選ばれたのは、当然の事だと思います。

また年金の世界でも悪い意味で、多くの人々の注目を集めた新語・流行語があり、それは「老後2,000万円不足問題」です。

金融庁が令和元年(2019年)6月頃に発表した報告書によると、夫が65歳、妻が60歳の高齢無職世帯は、年金収入と支出の差により、平均で毎月5万円くらいの金融資産の取り崩しが発生しているそうです。

そのため夫婦そろって30年間生きた場合には、約2,000万円(5万円×30年×12ヶ月)もの老後資金が必要になるのです。

このような内容についてマスコミは、「老後2,000万円不足問題」などと報道するようになりました。

またこの問題は令和元年(2019年)7月に実施された、第25回参議院議員通常選挙の、争点のひとつになったのです。

冒頭で紹介した記事を読むと、ラグビー日本代表チームの快進撃を見て、ラグビーを始める子どもたちが急増したと記載されております。

これと同じように、「老後2,000万円不足問題」を取り上げたマスコミ報道を見て、老後資金の準備を始めようとした方や、実際に何かを始めた方が急増したそうです。

現在はどうなっているのかはわかりませんが、例えばiDeCo(個人型の確定拠出年金)や、つみたてNISAであれば、最初に仕組みを作ってしまえば、基本的に放置できます。

ですから老後資金の準備のために、これらの制度を選択した方は、現在でも続けていると推測しております。

またここ最近の株高で、資産が増加しているはずですから、「老後2,000万円不足問題」が話題になった直後に、これらの制度を始めた方は、ホクホク顔で年末を迎えられたと思います。

ところで都内の企業に12年間も勤務しているのに、手取りの月給が14万円しかない会社員が、令和元年(2019年)10月頃に、ネットの掲示板に対して、「日本終わってますよね?」という投稿をしたのが、大きな話題になりました。

この「日本終わってる」についても、年金関連の新語・流行語として、取り上げても良いと思うのです。

その理由として会社員が、原則65歳から受給できる老齢厚生年金は、現役時代の月給と賞与の平均額を元にして算出するため、給与が上がっていかないと、将来に受給できる年金額が少なくなってしまうからです。

高齢の夫婦が普通に生活していくだけで、上記のように老後資金は2,000万円不足しております。

それに加えて「日本終わってる」という投稿が示すように、日本全体の給与が上がらず、年金額が増えないとしたら、老後はなくなると思います。

つまり老後という言葉が死語になるような、生涯に渡って働き続ける社会が到来するのです。

それが嫌だという方は、iDeCoやつみたてNISAなどを活用して、完全にリタイアできるだけの老後資金を、若いうちから準備する必要があるのです。
posted by FPきむ at 20:28 | 年金について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月03日

現状維持のままにしていると、「世界年金指数ランキング」は更に下がる

令和元年(2019年)11月26日の産経新聞を読んでいたら、年金減額基準、現状維持へ 働く65歳以上、月収47万円 政府、与党の批判根強くと題した記事が掲載されておりましたが、一部を紹介すると次のようになります。

『政府は25日、働いて一定以上の収入がある高齢者の年金を減らす在職老齢年金制度に関し、65歳以上の人が対象となる場合の月収の基準を見直さず現行の「47万円超」を維持する方針を固めた。

「51万円超」を検討したが、現在よりも高収入の人が年金を受給することになり「年金財政に悪影響」「高所得者優遇と言われかねない」との与党内の批判が根強く、軌道修正を迫られた格好だ。

近く自民、公明両党が意見集約するのを踏まえ、政府は決定する。在職老齢年金制度は65歳以上の場合、賃金と年金の合計が月47万円を上回ると減額される。

本来なら受け取れる年金を我慢してもらい、年金財政の維持につなげている。だが政府は高齢者雇用を促進しており、就業意欲を損なっているとの指摘を受けて見直しを進めていた』

以上のようになりますが、65歳以降も厚生年金保険に加入する場合、老齢厚生年金の月額と、月給の合計額が47万円を超えると、「在職老齢年金」の仕組みにより、老齢厚生年金の全部または一部が支給停止になります。

この制度は高齢者の就労意欲を損なっているという指摘があったため、政府は廃止する方向で議論を始めたのですが、議論の途中から廃止ではなく、47万円を62万円に引き上げするという案に変わったのです。

しかしこの金額は高いという事で、47万円を51万円に引き上げするという案に落ち着きました。

これで決着かと思っていたら、最終的には冒頭で紹介した記事の中に記載されているように、現状維持のまま行くそうです。

先日に厚生労働省から発表された年金財政検証では、在職老齢年金を廃止した場合や、47万円を62万円に引き上げした場合の、年金受給に対する影響などが試算されておりました。

ここまで手間と時間をかけておいて、最終的には現状維持というのは、おかしな話だと思うのです。

また冒頭で紹介した記事の中には、「年金財政に悪影響」や「高所得者優遇と言われかねない」という、与党内の批判が記載されておりましたが、そんなのは議論を始まる前からわかっていたと思うのです。

このようにして年金制度の改革を先送りしてきたから、国民からの信頼をなくすのだと思います。

そういえば米大手コンサルティング会社の「マーサー」が、「世界年金指数ランキング」というものを、定期的に発表しております。

このランキングは次のような3つの視点で、主要国の年金制度を評価したものです。

(1)国民の資産の充実度(40%)
老後への備え、預貯金や持家などの資産状況、福利厚生、税制面の補助などに関する評価(各国の年金制度だけでなく、各人の老後に対する自助努力も評価しているとわかります)

(2)年金制度の持続可能性(35%)
年金基金の資産状況、人口動態、政府の負債、国の経済成長の見通しなど

(3)規制など制度面全体の誠実度(25%)
監督規制、ガバナンス、制度運用コストなど

日本の令和元年(2019年)の順位は、37ヶ国中で30位という、かなり低いものでした。

数年前にこのランキングを見た時も、同じような順位だったので、驚きはなかったのですが、次のような日本の前後にある国を見た時には、かなりの驚きを感じたのです。

29位:韓国
30位:中国
31位:日本
32位:インド
33位:メキシコ
34位:フィリピン
35位:トルコ
36位:アルゼンチン
37位:タイ

その理由としては永遠のライバルである韓国より順位が低く、また日本の下には新興国しかなかったからです。

ただ欧米にある格付け会社の多くは、日本国債より韓国国債を高く評価している、つまり日本より韓国の方が、財政が健全と評価しているので、日本が韓国より順位が低いのは、やむを得ない面があるのかもしれません。

このように日本の順位が低い理由について調べてみたら、「(2)年金制度の持続可能性」に対する評価が低いからのようです。

日本では年金制度がいずれ破綻するのではないかと、心配する方がいるようですが、年金制度の持続可能性に対する評価が低い点から考えると、全くありえない話ではないと思えてきました。

ですから年金制度の持続可能性を高めるための改革が必要なのですが、在職老齢年金以外でも何だかんだと理由をつけて、現状維持のままにしております。

このような状態を続いていくと、世界年金指数ランキングの順位は更に下がっていき、何度も財政破綻しているアルゼンチンに、追い越される日が来るかもしれません。
posted by FPきむ at 20:23 | 年金について思うこと、考えること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする