令和元年(2019年)7月5日のITMediaビジネスオンラインを読んでいたら、50代の6割が受け取れる年金額を知らない 日銀調査と題した、次のような記事が掲載されておりました。
『日本銀行が3月に行った調査で、50代の62%が受け取れる公的年金の金額を知らないことが分かった。退職後の生活費について意識している人は8割に達するが、必要額を認識している人は5割。実際に資金を確保している人は26%しかいなかった。
2016年に行われた前回の調査と比較すると、受け取れる金額の認識(60%)や必要額の認識(54%)、資金確保(28%)ともに大きな変化は見られなかった。
公的年金の受給額は、毎年誕生月に日本年金機構が「ねんきん定期便」としてはがきを送付している。50歳以上の場合、年金見込額も記載されている。
公的年金は、国民全員が加入する国民年金に加え、サラリーマンなどは本人と会社側が折半で拠出する厚生年金がある。
また、受給開始年齢は通常65歳だが、金額を減らして60歳から受け取ったり、金額を増やして70歳まで受給を遅らせることもできる。
本調査では、自分がどの年金を受け取れるのか(被保険者としての種類)についても、50代の51%が知っておらず、また支給開始年齢についても50%が知らないと答えた。
なお、退職後の生活費については、20代で47%、30代で63%が「意識している」と回答した。20代の19%、30代の25%が退職後の資金計画を策定していると答えており、年金不安を背景に、若いうちから老後に向けた行動を取りつつあることが分かる。
この調査は金融リテラシーの現状把握が目的。3月1日から20日にかけて、全国の18〜79歳の個人2万5000人を対象に、インターネットを用いたモニター調査で行われた。人口構成とほぼ同一の割合で収集した』
以上のようになりますが、50歳以上に送付されるねんきん定期便には、現在加入している年金制度(国民年金、厚生年金保険)に、60歳まで同じ条件で加入した場合の、年金見込額が記載されているのです。
そのため月給や賞与の金額が大きく変わらなければ、実際に受給できる金額に近くなります。
また50歳以上に送付されるねんきん定期便には、どんな種類の年金を、何歳から受け取れるのかも記載されております。
ですからねんきん定期便をきちんと見ていれば、「受け取れる金額」や「年金の支給開始年齢」がわからないというのは、ありえない話だと思うのです。
しかし上記の日銀の調査によると、50代の62.6%については、「受け取れる金額」がわからず、また50代の49.5%については、「年金の支給開始年齢」がわからないのです。
こういった基本的な事がわからないと、いくら老後資金を準備すれば良いのかについても、わからないのではないかと思ったら、やはり必要額を認識しているのは、54%にとどまりました。
ところで「年金問題」は嘘ばかり
その具体的な使い方について記載した部分を紹介すると、次のようになっております。
『なぜ、「ねんきん定期便」が大事なのか。それは、「ねんきん定期便」は国が発行する「レシート」だからです。
会社員の皆さんは、給料から厚生年金保険料を天引きされています。「天引きされているから、大丈夫。きちんと納めている」と思っているかもしれませんが、会社に天引きされただけで、会社が国(日本年金機構)に払い込みをしたかどうかは、確認していないはずです。
それを確認するための資料が「ねんきん定期便」です。会社からもらう給与明細には、天引き額が書いてありますが、それは会社が発行したレシートにすぎません。
本当に国に納付されたかどうかを証明する資料は、「ねんきん定期便」だけです。それゆえ、「ねんきん定期便」は国から発行されたレシートだということになるのです』
『「ねんきん定期便」の中に、「これまでの保険料納付額」という欄があるはずです。ここに累計の納付額が記載されていますが、これがレシートに相当します。労使折半で会社が半額を負担していますから、国はこの欄に書かれた数字の倍の金額を受け取っています…(中略)…
レシートの「明細」代わりになるページは「最近の月別状況です」と書かれた部分です。ここには、標準報酬月額(月給)、標準賞与額(ボーナス)とともに、保険料納付額が記入されています。
同欄の「厚生年金保険」の項に書かれている「標準報酬月額(千円)」「標準賞与額(千円)」を見てください。
自分がもらった月給、ボーナスの額と大きく違っていないか確認しましょう。あまりにも低い数字が書かれていたら、会社が月給や賞与の数字をごまかして、低い保険料しか納付していない可能性があります』
以上のようになりますが、給与から天引きされた保険料を、事業主が運転資金などに使ってしまったため、未納になったケースや、天引きされた金額より低い金額しか納付されていないケースがあったのです。
また事業主が正直に納付しても、日本年金機構の職員のミスにより、または日本年金機構の職員の着服により、未納になったケースもありました。
ですからこの本の中に記載されているように、国から届くレシート(ねんきん定期便)を見て、給与から天引きされた保険料が、きちんと納付されているのかを、確認する必要があるという訳です。
公的年金を信頼していない方は特に、こういった確認をしっかりと行って、自分の身は自分で守った方が良いと思います。